1944年9月、戦時統制下の「電気工事業整備要綱」のもとで㈱協立興業社ほか7社が統合され、関東配電(戦後の東京電力の前身)が参加して、資本金300万円の関東電気工事株式会社が設立された。設立と同時に関東1都7県へ8支店を開き、東京電力エリアの送配電工事を担う体制で営業を開始した。1961年10月に東京証券取引所市場第二部へ上場し、資本金は3億5千万円となった。1970年には東証一部へ指定され、土木・空調管工事へ業容を広げた。1979年7月には東京電力の原子力発電所建設に合わせ、原子力関連工事の営業を始めた。電気工事専業から総合設備工事業者へと姿を変えた40年の到達点として、1984年9月、社名を関東電気工事から株式会社関電工へ改めた。
1984年の関電工改称後、同社は東京電力の安定発注を背景に事業領域を広げた。1985年5月、第1回無担保転換社債100億円を発行し、銀行借入依存から直接金融へ資金調達を移した。1988年12月には本社を東京都港区芝浦4丁目8番33号(現在地)に移転した。1990年代に名古屋・九州支店を置き、1997〜1998年に東京電力エリア各県へ施工子会社「ケイテクノ」9社を配置して地域別の受注体制を組み立てた。2003年に阪急電気工事、2004年に㈱TLC、2008年に川崎設備工業へ資本参加し、エリア外の同業を子会社化して売上規模を広げた。2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、東京電力46.4%株主のもとで廃炉・復旧・再エネ需要を呼び込んだ。
3.11後のエネルギー政策転換を受け、関電工は施工請負業から発電事業者へ転じた。2012年10月、銚子風力開発㈱に資本参加して発電事業を始め、太陽光・バイオマスを加えた再生可能エネルギー3領域へ広げた。2015年7月には福島原子力事故からの復興工事を担う福島本部を設置した。2016年3月にはユーロ円建転換社債200億円を発行し、2022年4月に東京証券取引所のプライム市場へ移行した。震災復興と再エネ工事の拡大で2025年3月期は連結売上高6,718億円・純利益423億円と過去最高益を更新した。2025年公表の中期経営計画「Milestone2030」は2030年度売上高8,000億円を掲げ、発電事業者への業態転換を創立100周年への課題として残した。
決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く
- Q なぜ1944年に発注者である電力会社が自ら出資して関東電気工事をつくったのか
- A 戦時下では電気工事の人員と資材を分散したまま放置できず、政府は施工力を一社に束ねる必要があった。1944年9月、「電気工事業整備要綱」に基づき協立興業社ほか7社が統合され、これに送電を担う関東配電(戦後の東京電力)が参加して関東電気工事が設立された。発注者が施工会社の株主を兼ねる関係はここで生まれ、関電工は親会社の発注に乗って送配電工事を継続受注する出自を得た。創業から80年後の2024年も東京電力グループが46.4%を握る筆頭株主であり続け、この資本構造が現代まで残る。
- Q なぜ2012年に施工を請け負う会社が発電事業に進出したのか
- A 工事は請け負うたびに収入が一度で終わり、いくら受注しても継続収入が積み上がらない請負業の限界があった。2011年3月の東日本大震災後、2012年7月の固定価格買取制度施行で再生可能エネルギーの採算が見込めるようになると、関電工は同年10月に銚子風力開発へ資本参加し、自ら施工した設備を売り渡さずに所有・運営して発電収入を得る発電事業へ進んだ。2013年に嘉麻太陽光発電、2015年に前橋バイオマス発電を設立し、風力・太陽光・バイオマスの3領域へ広げた。東京電力との請負関係は保ったまま、稼ぎ方を一過性の工事収入から継続収入へ加えた決断である。
- Q なぜ2025年に「グリーンイノベーションカンパニー」への業態転換を中期計画に掲げたのか
- A 発電事業に進んだものの利益の大半はなお電気工事の請負が生み、脱炭素需要を新たな収益の柱に育てなければ請負一本の限界は消えなかった。2025年、関電工は再エネ発電・蓄電池・EV充電をグリーンイノベーション本部に集約し、中期計画「Milestone2030」で2030年度に売上高8,000億円・営業利益600億円、温室効果ガスを2020年度比50%削減する目標を掲げ、2044年の創立100周年に「グリーンイノベーションカンパニー」を名乗る到達点に置いた。2025年3月期は売上高6,718億円・純利益423億円と過去最高益で、好業績のうちに新領域へ投資を振り向ける判断である。
- 歴史詳細 3章・6,404字
メインコンテンツ。一次資料をベースに歴史を紐解く
- 沿革年表 44件
主要な出来事を重要度別に時系列で整理
- 長期業績 1971〜2026年(56カ年)
有価証券報告書などの公開データに基づく長期データ
- 直近の業績
業績推移と経営体制
- 歴代社長 5名
代表取締役社長・CEO の在任期間・経歴・在任中の施策
- 取締役一覧 2018〜2025年(8カ年)
取締役の構成バランスと社外独立性
- 大株主・株主構成 1980〜2024年(45カ年)
上位10名の入れ替わりと所有者区分7区分の推移
- 組織と給料 2011〜2025年(15カ年)
連結/単体の年次変化と業界他社の平均給与比較