サンドラッグ の歴史

更新:

1957年、多田幸正氏が東京都世田谷区でフタバ薬局を個人開業。1980年の郊外型ドラッグストア、才津達郎氏の20期連続増収増益、ダイレックス買収とキリン堂提携までの沿革と経緯を執筆。

創業

1957年

創業者

多田幸正

創業地

東京都世田谷区

直近売上高(2026/3)

8,425億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ30〜50店規模だった1985〜1991年に、物流センターとPOSへ先行投資したのか
A 当時のドラッグストア業界ではコンピュータシステムの本格導入はまだ一般的でなかった。サンドラッグは店舗数が30〜50店の段階だった1985年から1991年にかけ、受発注のオンライン化、国立市のピッキング物流センター、全店POSを順に整えた。1985年から1991年の6年間に進めた投資は、店舗あたりの取扱品目と回転率を引き上げ、特売中心の集客でも採算が取れる構造を作った。これが後年の低い販管費比率の源流となる。
Q なぜ2009年にディスカウント店ダイレックスを買収し、二業態化したのか
A 2009年12月、サンドラッグは九州・中四国でディスカウントストアを展開するダイレックス株式会社を約95億円で子会社化した。当時のダイレックスは年商約896億円で、生鮮を含む品揃えと郊外大型店を強みとしていた。人口の多い都市圏はドラッグストア、人口の少ない地方は生鮮を加えたディスカウントストアという業態の棲み分けが買収の狙いだった。これにより同社はドラッグストアとディスカウントストアの二業態体制へ移行する。
Q なぜ2024年の業界再編で、統合せずキリン堂と持分法提携にとどめたのか
A マツキヨココカラ&カンパニーやウエルシア・ツルハの連合が売上1兆〜2兆円規模で動くなか、貞方社長は完全子会社化を伴う統合には踏み込まず、自社の出店とゆるやかな資本提携を組み合わせる中間路線を選んだ。2024年2月には関西地盤のキリン堂ホールディングスの間接持分33.4%を取得して持分法適用会社とした。店舗エリアの重複が少ないキリン堂との関係を完全子会社化ではなく持分法にとどめたのは、互いの独立性を保ちながらプライベートブランドの共同開発などで協力する設計だった

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1957年〜 世田谷の薬局からチェーン化と店頭登録まで

サンドラッグの業績推移:単体

売上高(億円)
  1. 1957年 故名誉会長多田幸正氏が「フタバ薬局」を個人開業
  2. 1965年 サンドラッグを設立しチェーン展開を開始
  3. 1980年 有限会社サンドラッグを株式会社に改組し株式会社サンドラッグを設立
  4. 1980年 郊外型ドラッグストアを開店
  5. 1985年 売上・受発注情報のオンライン化を開始
  6. 1986年 ピッキングシステムの物流センターを開設
  7. 1987年 本社を移転

個人薬局から有限会社・チェーン展開へ

1957年12月、多田幸正氏が東京都世田谷区千歳船橋で「フタバ薬局」を個人開業した[1]。わずか5坪(約16.5㎡)の小さな薬局からの出発だった[2]。創業者の多田氏は1927年生まれで、戦後復興期の東京で事業を始めた。8年後の1965年4月に有限会社サンドラッグへと改め[3]、ここからチェーン展開を始めた。社名「サンドラッグ」を名乗るのはこの法人化からで、それまでは個人薬局として営まれた創業期があったことをうかがわせる。

  • 証券アナリストジャーナル 32(9)(日本証券アナリスト協会・1994年9月, 多田幸正)
    • [1]1957年12月 世田谷区千歳船橋で「フタバ薬局」として個人開業(社名「サンドラッグ」は1965年4月の有限会社化から)
    • [2]創業店は世田谷区千歳船橋の5坪(約16.5㎡)の個人薬局
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [3]1965年4月 有限会社サンドラッグへ改組(社名サンドラッグの起点・チェーン展開開始)

1980年7月、有限会社を株式会社に改組し、株式会社サンドラッグが発足した[4]。同年12月には東京都八王子市に郊外型ドラッグストアを開店した[5]。市街地の薬局とは立地条件の異なる郊外型の店舗形態へと舵を切った選択である。1957年の創業から23年を経て、サンドラッグは複数店舗チェーンとしての形を整えた。創業者の多田氏は1980年から1994年まで社長を務め[6]、チェーン化の基盤を作った。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [4]1980年7月 株式会社サンドラッグへ改組(発足)
    • [5]1980年12月 八王子市に郊外型ドラッグストアを開店
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [6]多田幸正が1980〜1994年に社長(1994年に才津達郎へ交代)
  • 証券アナリストジャーナル 32(9)(日本証券アナリスト協会・1994年9月, 多田幸正)
    • [1]1957年12月 世田谷区千歳船橋で「フタバ薬局」として個人開業(社名「サンドラッグ」は1965年4月の有限会社化から)
    • [2]創業店は世田谷区千歳船橋の5坪(約16.5㎡)の個人薬局
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [3]1965年4月 有限会社サンドラッグへ改組(社名サンドラッグの起点・チェーン展開開始)
    • [4]1980年7月 株式会社サンドラッグへ改組(発足)
    • [5]1980年12月 八王子市に郊外型ドラッグストアを開店
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [6]多田幸正が1980〜1994年に社長(1994年に才津達郎へ交代)

物流とPOSへの先行投資 ── 1985年のオンライン化

1985年2月、サンドラッグは売上・受発注情報のオンライン化を開始[7]した。1980年代前半は流通業全般でPOS導入が始まった時期にあたるが、ドラッグストア業界ではコンピュータシステムの本格導入はまだ一般的でなかった。1986年12月には東京都国立市にピッキングシステムを備えた物流センターを開設し[8]、1991年11月には全店舗にPOSレジを導入した[9]。創業者の多田氏が率いる時期に、チェーンとして比較的早い段階でこれらの設備投資を実施したことは、後の高効率店舗運営の前提となった。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [7]1985年2月 売上・受発注情報のオンライン化を開始
    • [8]1986年12月 国立市にピッキングシステムの物流センターを開設
    • [9]1991年11月 全店舗にPOSレジを導入

物流センターとPOSの整備は、人件費比率と販管費比率を業界水準より低く抑える土台になった。後年のサンドラッグが達成した低い販管費比率の源流は、1980年代後半のシステム投資[10]にさかのぼる。1985年から1991年の6年間に進めた投資は[11]、店舗あたりの取扱品目と回転率を引き上げ、特売中心の集客でも採算が取れる構造を作った。ドラッグストア業態では、粗利率の高い医薬品と粗利率の低い食品・日用品を組み合わせて店舗全体の収益を確保するのが一般的だが、サンドラッグはこの構造をシステム投資で支えた。

  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [10]後年の低い販管費比率(販管費比率20%以下)の源流が1980年代のシステム投資
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [11]1985〜1991年の6年間にシステム・物流投資を実施(1985/2 オンライン化〜1991/11 全店POS)
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [7]1985年2月 売上・受発注情報のオンライン化を開始
    • [8]1986年12月 国立市にピッキングシステムの物流センターを開設
    • [9]1991年11月 全店舗にPOSレジを導入
    • [11]1985〜1991年の6年間にシステム・物流投資を実施(1985/2 オンライン化〜1991/11 全店POS)
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [10]後年の低い販管費比率(販管費比率20%以下)の源流が1980年代のシステム投資

1994年店頭登録時の事業基盤 ── 売上279億円・資本金26億円

1994年8月19日、サンドラッグは日本証券業協会に株式[12]を店頭登録し、資本金は26億8百万円となった[13]。創業から37年、株式会社化から14年を経ての公開だった。この間、サンドラッグはチェーン展開と物流・POS投資を並行して進め、店舗運営のコスト構造を業界平均より低い水準に持ち込んでいた。後年の才津社長のインタビューによれば、店頭登録の時期の売上高は279億円規模だったという[14]。店頭登録は資本市場からの調達手段を得る制度的な意味を持ち、続く全国展開と物流網拡大の資金源となった。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [12]1994年8月19日 日本証券業協会に株式を店頭登録(店頭公開)
    • [13]店頭登録時 資本金26億8百万円
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [14]店頭登録時の売上高は279億円規模(才津社長 後年談)

創業者の多田氏は店頭登録と同じ1994年に社長を退き、後任には専務だった才津達郎氏が昇格した[15]。創業期から店頭登録までの37年は、創業家による経営の延長線上で進められた時代で、業態は東京近郊のドラッグストアチェーンに限定されていた。次の段階で必要だったのは、関東以外への展開と、医薬品以外の領域(食品・日用品の比率拡大、ディスカウントストア業態への進出)である。1994年8月の店頭登録と同年の社長交代が重なったことで、続く20年の高度成長を支える事業基盤と経営体制の引き継ぎが完了した。創業者の多田氏は2001年に逝去し[16]、創業期の経営判断を直接知る人物は経営から退いた。創業家との関係は、多田直樹氏・多田高志氏を取締役として残す形で継続した[17]

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [15]1994年 多田幸正が社長を退き才津達郎が昇格
    • [17]多田直樹・多田高志が取締役として継続(多田直樹は2001年6月に非業務執行取締役、多田高志は2017年6月に取締役就任)
    • [16]多田幸正名誉会長が2001年1月24日に肺がんで逝去(社葬2月28日 築地本願寺・参列約1,100人)
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [12]1994年8月19日 日本証券業協会に株式を店頭登録(店頭公開)
    • [13]店頭登録時 資本金26億8百万円
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [14]店頭登録時の売上高は279億円規模(才津社長 後年談)
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [15]1994年 多田幸正が社長を退き才津達郎が昇格
    • [17]多田直樹・多田高志が取締役として継続(多田直樹は2001年6月に非業務執行取締役、多田高志は2017年6月に取締役就任)
    • [16]多田幸正名誉会長が2001年1月24日に肺がんで逝去(社葬2月28日 築地本願寺・参列約1,100人)

1994年〜 才津達郎社長の20期連続増収増益とダイレックス買収

サンドラッグの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1994年 1994年8月19日、日本証券業協会に株式を店頭登録(店頭公開)
  2. 1994年 サンドラッグのローコスト高収益モデルと20期連続増収増益 創業家の外から来た二代目社長は、なぜ20年にわたり増収増益を続けられたのか——才津達郎が磨いた低コスト経営
  3. 1996年 タイセーホームエイドを子会社化
  4. 1996年 スーパーマーケットのクイーンズ伊勢丹とフランチャイズ契約を締結
  5. 1998年 栃木県エリアに展開のコミネを子会社化
  6. 2004年 展開している清水ドラック(サンドラッグ東海)とフランチャイズ契約を締結
  7. 2009年 ダイレックス買収による二業態化 ── ドラッグストアとディスカウントストアの二本立てへ 首都圏で磨いた低コストのドラッグストアが、なぜ九州のディスカウントストアを丸ごと取り込んだのか

創業家外初の社長が築いた20期連続増収増益

1994年8月の店頭登録と同じ年、専務だった才津達郎氏が社長に昇格し、創業家以外[18]から初めて経営トップに就いた。才津氏は就任時に279億円だった連結売上高を[19]、退任する2013年度までに4,478億円へと16倍に伸ばし、営業利益も同じ期間に12倍以上へ拡大させた[20]。就任からの20期連続増収増益は[21]、後年まで小売業で突出した記録として語られ、その成長率は年平均約15%に達した。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [18]1994年 才津達郎が専務から社長に昇格(創業家以外から初)
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [19]就任時(1994年度) 連結売上高279億円
    • [20]才津社長期 営業利益12倍以上(〜2013年度 280億円)
    • [21]20期連続増収増益・才津社長期 年平均成長率約15%

成長の中身は、地方の中堅事業者を取り込む店舗網拡大と既存店の高効率運営だった。1996年に千葉県のタイセーホームエイド(現サンドラッグファーマシーズ)を子会社化したのを皮切りに[22]、栃木県のコミネ、神奈川県のアクト、新潟県の星光堂薬局、愛知県の清水ドラック[23]、北海道のサンドラッグプラスなどをフランチャイズと子会社化で順次取り込み、本社主導の一律展開ではなく地域の既存事業者をネットワーク化する形で全国へ広げた。並行して、1980年代に整えた物流・POS基盤の上に低コスト運営を積み上げ、販管費比率20%以下を保ちながら[24]、2009年時点で経常利益率6.5%を記録した[25]

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [22]1996年2月 タイセーホームエイド(現サンドラッグファーマシーズ)を子会社化
    • [23]地方中堅をFC・子会社化で取り込み(コミネ1998/4・アクト2007/3・星光堂薬局2009/9・清水ドラック2004/4・サンドラッグプラス1999/9)
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [24]販管費比率20%以下
    • [25]2009年時点 経常利益率6.5%
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [18]1994年 才津達郎が専務から社長に昇格(創業家以外から初)
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [19]就任時(1994年度) 連結売上高279億円
    • [20]才津社長期 営業利益12倍以上(〜2013年度 280億円)
    • [21]20期連続増収増益・才津社長期 年平均成長率約15%
    • [24]販管費比率20%以下
    • [25]2009年時点 経常利益率6.5%
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [22]1996年2月 タイセーホームエイド(現サンドラッグファーマシーズ)を子会社化
    • [23]地方中堅をFC・子会社化で取り込み(コミネ1998/4・アクト2007/3・星光堂薬局2009/9・清水ドラック2004/4・サンドラッグプラス1999/9)

ダイレックス買収による二業態化と経営の承継

2009年12月、サンドラッグは九州[26]・中四国でディスカウントストアを展開するダイレックス株式会社を約95億円で子会社化した[27]。当時のダイレックスは年商約896億円で[28]、生鮮を含む品揃えと郊外大型店を強みとしており、人口の多い都市圏はドラッグストア、人口の少ない地方は生鮮を加えたディスカウントストアという業態の棲み分けが買収の狙いだった。これにより同社はドラッグストアとディスカウントストアの二業態体制へ移行する。2015年3月期にドラッグストア事業3,017億円・ディスカウントストア事業1,440億円(売上比率32%)だった構成は、2025年3月期にはディスカウントストア事業が3,423億円・営業利益179億円まで拡大し、ドラッグストア事業4,596億円と合わせた売上の43%を占めるに至った。

  • ダイヤモンド・チェーンストアオンライン(2009年11月, ダイヤモンド・リテイルメディア)
    • [26]ダイレックス取得額 約95億円
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [27]2009年12月 ダイレックス株式会社を子会社化
  • 流通ニュース(2009年11月)
    • [28]買収当時のダイレックス年商 約896億円

2013年、才津氏は社長を退いて会長に就き、3代目社長として赤尾主哉氏が昇格した[29]。その赤尾社長が2018年に在任中に急逝したため[30]、才津会長が2019年まで社長を一時兼任して後継体制を整え[31]、2019年5月に貞方宏司氏が4代目社長に就任した[32]。才津氏は2021年4月に会長を退任し[33]、20年以上にわたって経営をけん引した創業家以外の経営者が同社を去った。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [29]2013年 才津達郎が社長退任・会長就任、赤尾主哉が3代目社長に就任
    • [31]才津会長が2018年8月〜2019年5月に代表取締役会長兼社長として社長を一時兼任
    • [32]2019年5月 貞方宏司が4代目社長に就任
  • 日本経済新聞(2018年8月7日)
    • [30]赤尾主哉社長が2018年8月に在任中に逝去
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [33]2021年4月 才津達郎が会長を退任
  • ダイヤモンド・チェーンストアオンライン(2009年11月, ダイヤモンド・リテイルメディア)
    • [26]ダイレックス取得額 約95億円
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [27]2009年12月 ダイレックス株式会社を子会社化
  • 流通ニュース(2009年11月)
    • [28]買収当時のダイレックス年商 約896億円
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [29]2013年 才津達郎が社長退任・会長就任、赤尾主哉が3代目社長に就任
    • [31]才津会長が2018年8月〜2019年5月に代表取締役会長兼社長として社長を一時兼任
    • [32]2019年5月 貞方宏司が4代目社長に就任
  • 日本経済新聞(2018年8月7日)
    • [30]赤尾主哉社長が2018年8月に在任中に逝去
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
    • [33]2021年4月 才津達郎が会長を退任

2019年〜 業界再編下の貞方体制 ── キリン堂提携と売上1兆円目標

サンドラッグの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2019年 物流センターを開設
  2. 2020年 島忠への商品供給を開始
  3. 2022年 四国地区に展開している大屋(フランチャイジー)を子会社化
  4. 2023年 BCPE KNIGHT HOLDINGS CAYMAN L.P.と資本提携契約を締結
  5. 2024年 完全子会社化に踏み込まず、キリン堂と持分法で組む 大手が1兆円・2兆円の連合へ束ねるなか、貞方宏司社長はなぜ統合ではなく持分法を選んだか

業界再編期の選択とキリン堂提携

2019年に貞方宏司氏が社長へ就いた頃[34]、ドラッグストア業界は本格的な再編期に入っていた。2021年10月にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが統合して売上高1兆円規模のマツキヨココカラ&カンパニーが発足し[35]、2024年2月にはウエルシアホールディングスとツルハホールディングスが2027年末までの経営統合協議を発表して売上高2兆円規模[36]の連合が動き出した。2025年3月期に連結売上高8,018億円のサンドラッグは、こうした大型統合とは距離を置く位置にあった。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [34]2019年 貞方宏司が社長に就任
  • 東洋経済オンライン ドラッグストア再編特集(2024年2月, 東洋経済新報社)
    • [35]2021年10月 マツキヨココカラ&カンパニー発足(売上高1兆円規模)
    • [36]2024年2月 ウエルシアHD・ツルハHDが経営統合協議を発表(売上高2兆円規模・2027年末合意目標)

業界再編の渦中で、貞方社長は完全子会社化を伴う統合には踏み込まず、自社の出店とゆるやかな資本提携を組み合わせる中間路線を選んだ。2023年11月にBCPE KNIGHT[37] HOLDINGS CAYMAN, L.P.と資本提携契約を結び、2024年2月には関西地盤のキリン堂ホールディングスの間接持分33.4%を取得[38]して持分法適用会社とした。店舗エリアの重複が少ないキリン堂との関係を完全子会社化ではなく持分法にとどめたのは、互いの独立性を保ちながらプライベートブランドの共同開発などで協力する設計で、再編を急がない姿勢を示すものだった。

  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [37]2023年11月 BCPE KNIGHT HOLDINGS CAYMAN, L.P.と資本提携契約を締結
    • [38]2024年2月 キリン堂HDの間接持分33.4%を取得し持分法適用会社化
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [34]2019年 貞方宏司が社長に就任
  • 東洋経済オンライン ドラッグストア再編特集(2024年2月, 東洋経済新報社)
    • [35]2021年10月 マツキヨココカラ&カンパニー発足(売上高1兆円規模)
    • [36]2024年2月 ウエルシアHD・ツルハHDが経営統合協議を発表(売上高2兆円規模・2027年末合意目標)
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
    • [37]2023年11月 BCPE KNIGHT HOLDINGS CAYMAN, L.P.と資本提携契約を締結
    • [38]2024年2月 キリン堂HDの間接持分33.4%を取得し持分法適用会社化

中期経営計画と中堅独立路線の継続

サンドラッグは中期経営計画で、2026年3月期に売上高1兆円・営業利益600億円・店舗数[39]1,750店という目標を掲げた。2025年3月期実績の売上高8,018億円・営業利益445億円からは、売上で約25%増・営業利益で約35%増を要する高い目標である。自然成長だけでは届きにくい水準で、キリン堂ホールディングスとの協業の深化と追加のM&Aが、目標と実績の差を埋める打ち手と位置づけられた。

  • サンドラッグ 統合報告書2025
    • [39]中期経営計画目標(2026年3月期)売上高1兆円・営業利益600億円・店舗数1,750店

財務面では、2025年3月期で23期連続の増配を達成し、2026年3月期も24[40]期連続の増配を予定して年間配当130円(予定)を掲げた[41]。配当性向を引き上げて続けるのではなく利益額そのものを伸ばし続けて実現してきた増配で、2012年3月期に126億円だった親会社株主に帰属する当期純利益は、2025年3月期には308億円へと2.5倍に拡大している。才津社長時代に固めた高収益体質と財務規律は貞方体制にも受け継がれ、業界再編の波のなかでサンドラッグはコスト効率と顧客接点を経営の核に置く中堅独立路線を続けた。

  • サンドラッグ 統合報告書2025
    • [40]2025年3月期 23期連続増配・2026年3月期 24期連続増配予定
    • [41]2026年3月期 年間配当130円(予定)
  • サンドラッグ 統合報告書2025
    • [39]中期経営計画目標(2026年3月期)売上高1兆円・営業利益600億円・店舗数1,750店
    • [40]2025年3月期 23期連続増配・2026年3月期 24期連続増配予定
    • [41]2026年3月期 年間配当130円(予定)

サンドラッグの沿革1957〜2024年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
故名誉会長多田幸正氏が「フタバ薬局」を個人開業★★
サンドラッグを設立しチェーン展開を開始★★
有限会社サンドラッグを株式会社に改組し株式会社サンドラッグを設立
郊外型ドラッグストアを開店★★
売上・受発注情報のオンライン化を開始
ピッキングシステムの物流センターを開設
本社を移転
全店舗にPOSレジを導入
才津達郎1994年8月19日、日本証券業協会に株式を店頭登録(店頭公開)
才津達郎サンドラッグのローコスト高収益モデルと20期連続増収増益創業家の外から来た二代目社長は、なぜ20年にわたり増収増益を続けられたのか——才津達郎が磨いた低コスト経営 詳細を読む★★★
才津達郎タイセーホームエイドを子会社化
才津達郎スーパーマーケットのクイーンズ伊勢丹とフランチャイズ契約を締結
才津達郎栃木県エリアに展開のコミネを子会社化
才津達郎展開している清水ドラック(サンドラッグ東海)とフランチャイズ契約を締結
才津達郎展開のアクトを子会社化
才津達郎首都圏に展開のビーアンドエッチアメミヤを子会社化
才津達郎新潟県・展開している星光堂薬局(フランチャイジー)を子会社化
才津達郎ダイレックス買収による二業態化 ── ドラッグストアとディスカウントストアの二本立てへ首都圏で磨いた低コストのドラッグストアが、なぜ九州のディスカウントストアを丸ごと取り込んだのか 詳細を読む★★★
才津達郎サンドラッグ・ドリームワークスを設立
才津達郎展開しているサンドラッグ東海(フランチャイジー)を子会社化
赤尾主哉展開しているサンドラッグプラス(フランチャイジー)を子会社化
赤尾主哉アークスとの合弁会社サンドラッグエースを設立
貞方宏司物流センターを開設
貞方宏司島忠への商品供給を開始
貞方宏司四国地区に展開している大屋(フランチャイジー)を子会社化
貞方宏司BCPE KNIGHT HOLDINGS CAYMAN L.P.と資本提携契約を締結
貞方宏司完全子会社化に踏み込まず、キリン堂と持分法で組む大手が1兆円・2兆円の連合へ束ねるなか、貞方宏司社長はなぜ統合ではなく持分法を選んだか 詳細を読む★★★
出典・参考
  • 証券アナリストジャーナル 32(9)(日本証券アナリスト協会・1994年9月, 多田幸正)
  • サンドラッグ公式ニュース(2001年3月29日。web.archive.org 2001年8月7日アーカイブ)
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【沿革】
  • サンドラッグ 有価証券報告書 第62期(2025年3月期)【役員の状況】
  • 東洋経済オンライン(2021年5月13日, 東洋経済新報社)
  • ダイヤモンド・チェーンストアオンライン(2009年11月, ダイヤモンド・リテイルメディア)
  • 流通ニュース(2009年11月)
  • 日本経済新聞(2018年8月7日)
  • 東洋経済オンライン ドラッグストア再編特集(2024年2月, 東洋経済新報社)
  • サンドラッグ 統合報告書2025

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