サンドラッグ キリン堂と持分法提携 完全子会社化に踏み込まない、持分法にとどめた資本参加
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2024年2月、サンドラッグは関西を地盤とするキリン堂ホールディングスの間接持分33.4%を取得した。議決権の所有割合は55.6%と過半に達しながら、連結子会社とはせず持分法適用会社にとどめている。大手の大型統合が相次ぐドラッグストア業界で、上位連合の外に立ちながらゆるやかな資本提携で規模と商品力を補う、中堅独立の道を選んだ経営判断。
- 背景
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2021年10月にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが株式交換で経営統合し、2024年2月にはイオン、ウエルシアホールディングス、ツルハホールディングスの3社が資本業務提携契約を締結した。ウエルシアの売上高は1兆2,173億円、ツルハは1兆274億円。連結売上高7,517億円のサンドラッグは、大手同士の業界再編で経営環境は一層厳しさを増していると記していた。
- 内容
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2023年11月29日の臨時取締役会でキリン堂ホールディングス株を持つBCJ-47の33.4%にあたる間接持分をベインキャピタルが投資助言する投資ファンドから取得すると決議し、2024年2月29日に完了した。原資として短期借入金を350億円積み増し、投資有価証券の取得による支出は353億77百万円。出店エリアの重複が少ない関西の400店舗超と、キリン堂側が強みとするPB(自主企画)商品で手を組んだ。
- 含意
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議決権の過半を持ちながら連結子会社とはせず持分法にとどめたのは、互いの独立を保ったまま調達と商品開発を補い合う設計だった。売上高1兆円という中期目標へ、自社の出店とゆるやかな提携を重ねる中堅独立の路線を明確にした。
いつ何が起きたか 5件
筆者の見解
独立と規模は両立するか
この判断の核心は、1兆円を超える大手同士が統合へ動いていくなかで、あえて完全子会社化を避け、独立と補完を選んだ点にある。取得したのは親会社BCJ-47の33.4%にあたる間接持分で、キリン堂ホールディングスに対する議決権の所有割合は55.6%と過半に届いた。それでも貞方宏司社長はキリン堂グループを連結子会社とはせず、持分法の適用にとどめている。持株比率ではなく実質的な支配が及ぶかどうかで線を引き、相手の経営の自主性を残した形である。店舗の重ならない関西のチェーンと、独立を保ったまま調達とPB開発で組む。上位連合に呑まれずに規模を補う一つの解を、才津達郎社長の時代から続く自立志向の延長線上に置いた選択だった。
もっとも、持分法は影響力に限りがあり、完全統合ほどの調達力は生まれにくい。独立を残すぶん、統合が生む果実は薄くなる。売上高1兆円の目標との差を、この提携と追加のM&Aだけで詰め切れるかは、まだ見えない。1兆円超の大手が連合を組む業界で、中堅が独立と規模をどう両立させるか。キリン堂との持分法提携は、その問いを残している。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
提携の条件
提携の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 提携の相手 | キリン堂ホールディングス | 大阪府大阪市淀川区に本社を置く資本金100百万円のドラッグストア事業会社 |
| 相手の事業規模 | 400店舗以上・売上高約1,400億円 | 関西地区を中心にドラッグストアと保険調剤薬局を展開する |
| 取得したもの | BCJ-47の33.4%に相当する間接持分 | BCJ-47はキリン堂ホールディングスの親会社にあたる投資事業会社 |
| 取得先 | ベインキャピタルが投資助言を行う投資ファンド | Bain Capital Private Equity, LP(そのグループを含む) |
| 決議日 | 2023年11月29日 | 臨時取締役会で決議し、同日付でPURCHASE AND SALE AGREEMENTを締結した |
| 取得完了日 | 2024年2月29日 | 同日にBCPE KNIGHT CAYMAN,L.P.の持分を取得し持分法適用の範囲に含めた |
| 議決権の所有割合 | 55.6% | うち間接所有が33.4%。親会社のBCJ-47も同じ割合で記載される |
| 会計上の取扱い | 持分法適用関連会社 | 連結子会社とはせず、BCJ-47など計9社を持分法の適用範囲とした |
| 持分法適用会社への投資額 | 35,390百万円 | 全額がドラッグストア事業セグメントに属する |
| 取得による支出 | 35,377百万円 | 連結キャッシュ・フロー計算書の投資有価証券の取得による支出 |
| 取得の財源 | 短期借入金35,000百万円 | 前期末の残高は無い。平均利率0.15%で、翌期に長期借入金へ借り換えた |
| 役員の兼任 | 当社役員中2名 | 当社役員がキリン堂ホールディングスの役員を兼務する |
| 持分法適用会社の決算日 | 2月末日 | 連結決算日と異なるため2月29日現在の財務諸表を使用して連結する |
| 債務保証 | 44,500百万円 | 実行日は2024年4月16日で保証期間は2031年4月16日まで。借換えが目的 |
持分法適用会社への投資額と投資損益の推移
サンドラッグ:持分法適用会社への投資額と投資損益の推移
| (百万円) | 持分法適用会社への投資額 | 投資有価証券 | 持分法による投資損益 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | − | 334 | − | 持分法を適用する関連会社は無い。投資有価証券は第61期の前期列 |
| 2024年3月期 | 35,390 | 35,808 | − | 2024年2月29日に間接持分を取得。損益の取込みは翌期から始まる |
| 2025年3月期 | 33,810 | 34,013 | △1,567 | 持分法による投資損失を営業外費用に計上した最初の期 |
| 2026年3月期 | − | 32,762 | − | 投資有価証券は連結貸借対照表の残高。投資額と投資損益は有報の逐語で照合していない |
出所:サンドラッグ 有価証券報告書 第61期・第62期(セグメント情報・連結貸借対照表・連結損益計算書) / サンドラッグ 有価証券報告書 第63期(連結貸借対照表)
連結売上高と経常利益の推移
サンドラッグ:連結売上高と経常利益の推移
| (百万円) | 売上高 | 経常利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2019年3月期 | 588,069 | 35,800 | 期末店舗数は1,147店 |
| 2020年3月期 | 617,769 | 37,159 | 期末店舗数は1,168店 |
| 2021年3月期 | 634,310 | 38,228 | 期末店舗数は1,216店 |
| 2022年3月期 | 648,734 | 34,734 | 期末店舗数1,281店。収益認識会計基準を当期から適用し前期と連続しない |
| 2023年3月期 | 690,462 | 38,134 | 期末店舗数は1,380店 |
| 2024年3月期 | 751,777 | 41,728 | 期末店舗数は1,473店。キリン堂グループの損益は含んでいない |
| 2025年3月期 | 801,811 | 43,835 | 期末店舗数は1,542店。持分法による投資損失1,567を控除した後 |
| 2026年3月期 | 842,512 | 46,220 | 中期経営計画が目標年度とした期。営業利益は468億31百万円 |
出所:サンドラッグ 有価証券報告書 第56期〜第62期(主要な経営指標等の推移) / サンドラッグ 有価証券報告書 第56期〜第62期(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析) / サンドラッグ 有価証券報告書 第63期(連結損益計算書)
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参考文献
- サンドラッグ 統合報告書「統合報告書2024」
- サンドラッグ 統合報告書「統合報告書2025」
- サンドラッグ 有価証券報告書「第61期(2024年3月期)【経営上の重要な契約等】【関係会社の状況】」
- サンドラッグ 有価証券報告書「第61期(2024年3月期)【連結貸借対照表】【連結キャッシュ・フロー計算書】【セグメント情報】【重要な後発事象】」
- サンドラッグ 有価証券報告書「第62期(2025年3月期)【連結損益計算書】【連結貸借対照表関係】【セグメント情報】【関連当事者情報】」
- サンドラッグ 有価証券報告書「第56期〜第62期(2019年3月期〜2025年3月期)【主要な経営指標等の推移】【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】」