1943年〜 戦時統制で生まれた地銀の優等生ポジション
しずおかフィナンシャルグループの業績推移
- 1943年 静岡三十五銀行と遠州銀行が合併し静岡銀行が発足
- 1950年 外国為替業務取扱開始
- 1961年 東京証券取引所市場第一部に上場
- 1974年 葵リース(1993年1月 静銀リースに商号変更)設立
- 1978年 葵信用保証(1993年1月 静銀信用保証に商号変更)設立
- 1993年 信託業務取扱を開始
- 1997年 邦銀初の自己株式取得と消却の実施 資本は厚く積むべきか、株主へ返すべきか——公的資金が飛び交う金融危機のさなかに、地銀最上位行はどちらを選んだか
一県一行主義が残した地銀のスタートライン
1943年3月、戦時金融統制下の銀行集約政策に沿って、静岡三十五銀行と遠州銀行が合併して株式会社静岡銀行が発足した。当時の銀行行政は「一県一行主義」のもとで県内地銀を1つに集約して戦時金融を効率化する方針を取り、全国で同種の統合が進んだ。静岡銀行もその枠組みで生まれ、静岡県の地銀市場の主要プレーヤーとして戦後を迎えた。1950年代に東京店頭売買銘柄への登録を経て、1961年10月には東京証券取引所市場第一部へ上場し、地銀としての資本調達力と知名度を全国金融市場で確かなものとした。1974年には葵リース(後の静銀リース)を設立し、銀行本体の周辺業務を担うグループ会社の地ならしに着手した。 [1][2][3][4]
- [1]1943年3月 静岡三十五銀行と遠州銀行が合併し株式会社静岡銀行が発足
- [2]戦時の銀行集約は一県一行主義の方針だが、静岡県では駿河銀行(現スルガ銀行)が合併を拒否し清水銀行も存続したため実際は1行集約に至らず3行が鼎立した
- [3]1961年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
- しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1期(2023年3月期)【沿革】
- [4]1974年3月 葵リース株式会社(1993年1月 静銀リース株式会社に商号変更)を設立
戦後の静岡銀行は県内経済の主要な資金供給者として、東海道ベルト地帯の製造業集積、県西部の自動車・楽器産業、県東部の観光・食品産業という多様な産業基盤へ根を下ろした。全国地銀のなかでも預金量・貸出金とも上位に位置し、自己資本比率の高さと高格付けに支えられた保守的な経営で知られる「優等生地銀」の地位を長く維持した。製造業集積地帯を抱える静岡県の経済構造そのものが、地銀としての資金需要と取引先ポートフォリオの幅を支え、健全性と収益性を同時に確保しやすい土台となった。首都圏と中京圏を結ぶ東海道の大動脈上にある地理的優位も同時に効いた。
- [1]1943年3月 静岡三十五銀行と遠州銀行が合併し株式会社静岡銀行が発足
- [2]戦時の銀行集約は一県一行主義の方針だが、静岡県では駿河銀行(現スルガ銀行)が合併を拒否し清水銀行も存続したため実際は1行集約に至らず3行が鼎立した
- [3]1961年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
- しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1期(2023年3月期)【沿革】
- [4]1974年3月 葵リース株式会社(1993年1月 静銀リース株式会社に商号変更)を設立
公的資金を受けなかった財務体質の源流
戦後から2000年代初頭までの静岡銀行は、厚い自己資本と高格付けを土台に、県内中小企業融資と個人住宅ローンを主軸とする伝統的な地銀ビジネスを続けた。バブル崩壊後の不良債権処理期にも、他地銀のような経営危機に直面せず、相対的に健全な財務を維持した。他地銀のように公的資金の注入を受けず、自力で不良債権処理を完遂した数少ない地銀上位行の1つで、県内外の金融市場で高い信用力を保った。BIS規制に基づく自己資本比率も国内地銀のなかで上位を保ち、ムーディーズ・S&Pの格付けでも国内地銀屈指の評価を受け続けた。それが後のアライアンス交渉における交渉力の源泉となり、持株会社化後のガバナンス設計にも反映される原体験となった。
預貸金中心の収益モデルは低金利環境下で成長余地が限られ、リース・証券・カード等のグループ会社を抱えつつも、本体銀行へ収益が偏る構図が続いた。2000年代初頭まで静岡銀行は「地盤の良さと堅い財務」と「成長性の乏しさ」という両面の評価を抱える地銀で、次の経営改革に向けた土台が水面下で積み上がった。地銀再編の議論が全国で高まった2000年代前半、静岡銀行は財務体力の面で急な経営統合を迫られる立場になかった半面、将来の収益成長をどう描くかという課題は同業他行以上に重く、次世代の経営トップへ課題として引き継がれた。2005年の中西勝則頭取就任と同時に、業務プロセス改革として解答が求められた。 [5]
- しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1期(2023年3月期)【沿革】
- [5]2005年6月 中西勝則が静岡銀行第10代頭取に就任(2017年まで12年間在任)
- しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第1期(2023年3月期)【沿革】
- [5]2005年6月 中西勝則が静岡銀行第10代頭取に就任(2017年まで12年間在任)