しずおかフィナンシャルグループの直近の動向と展望
しずおかフィナンシャルグループの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
「金利のある世界」を前提にしたALMの組み替え
2025年3月期の連結経常収益は3,412億円、経常利益1,020億円、親会社株主帰属純利益746億円で、しずおかFG発足後3期の間に純利益は523億円から746億円へ約42%伸びた。金利上昇のもとで円貨資金利益の増加と政策投資株式の縮減に伴う売却益(年間150〜200億円規模の計画)が収益を押し上げ、銀行本体の利鞘回復と資本政策の見直しが並行して進む。2024年9月には新たなコア預金内部モデル(平均満期6.4年)を導入し、2025年5月には全国地銀が参加する「バランスシート・マネジメント・コンソーシアム」を設立してコア預金分析を精緻にする体制を整えた。金利のある世界を前提としたALM運営の高度化を、業界全体を巻き込んで進める動きは、地銀上位行としてのしずおかFGの新しい役割を示している。
2025年6月の中計見直しではROE目標を8.5%に置き、インオーガニック成長に向けたM&Aロングリストの検討着手を公表した。柴田久は「事業領域を広げるためのインオーガニックな投資に加えて、システムや人的資本への投資にもバランスよく振り向けていきたい」(決算説明会 FY2025)と、金融に偏らないM&Aを検討対象へ置く方針を示した。CET1比率13%を安定経営の目線とし、保有する政策投資株式の含み益を経営のバッファに位置付けつつ、その縮減も並行して進め、売却益を配当原資と成長投資原資の双方に充てる構図が固まった。資本コストを意識した資本政策の高度化と、連結経常利益1,000億円の中計目標を早期に達成した実績を踏まえた次の収益目標の設定が、しずおかFGの次の経営課題となっている。
- 有価証券報告書
- 決算説明会 FY2025
- 決算説明会 FY2025-2Q
- 決算説明会 FY2025-3Q
- 決算説明会 FY2026-3Q
金利ボーナス剥落後の3軸成長への賭け
2026年2月、執行役員CFO梅原弘充は決算説明会で「足元の銀行セクターの株価上昇は、政策金利上昇に伴う金利ボーナスによる部分が大きく、円金利上昇の一服に伴い、その成長率は鈍化していくと考えている」(決算説明会 FY2026-3Q)と述べ、金利ボーナス剥落後の成長戦略が次の課題だと明言した。続けて「ROE10%台に到達していくためには、金利以外のインオーガニックな成長を既存の事業領域の外から取り込んでいくことが必要」(決算説明会 FY2026-3Q)と指摘し、金融以外の領域も含めたM&Aや新事業の比重を高める方針を示した。広域アライアンスや非金融事業の積み上げに加え、事業領域外からの収益源取り込みという新しい軸が、次期中計に向けた議論の中心へ据えられた。
貸出金約10兆円・預金約12兆円を抱える地銀上位行として、しずおかFGは資金利益の拡大と同時に、預金金利追随率(政策金利引上げに対して普通預金は40%程度、円貨調達コスト全体は50%程度)のコントロールを経営の重要指標に据える。配当性向50%以上への累進的引き上げ(2027年度目標)と、広域アライアンス・非金融事業・M&Aの3軸による成長という構図のもとで、戦時統制から生まれた地銀は、地銀連邦型グループとしての姿を固めつつある。1943年の一県一行主義から始まった80年余の歴史は、2022年の持株会社化で得た器を実質的な成長装置へと育て直している最中で、金利上昇と広域連携の拡張が同時に進む現在は、改革の成否が数字で検証される段階へ入った。
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- 決算説明会 FY2025-3Q
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