2010年〜 NKSJという過渡期ブランドから再出発した損保ジャパン連合
SOMPOホールディングスの業績推移:連結
- 2010年 NKSJHD設立
- 2010年 佐藤正敏が初代社長に就任
- 2011年 設立初年度に当期純損失▲129億円
- 2012年 2期連続で当期純損失▲922億円
- 2012年 櫻田謙悟が第2代社長に就任
業界2位連合が初年度から赤字だった理由
2010年4月、損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が共同株式移転により持株会社NKSJホールディングスを設立した。三井住友海上グループとあいおいニッセイ同和損保の合併でMS&ADが同じ2010年4月に発足し、損保業界は東京海上ホールディングスを含む3メガ体制に再編された。自動車保険を中心とする国内損保は市場規模が伸び悩み、各社は合併で規模とコスト競争力を確保する必要に迫られていた業界構造の転換点だった。NKSJは設立と同日に東京証券取引所と大阪証券取引所の一部に上場し、初代社長には旧損保ジャパン出身の佐藤正敏氏が就いた。発足時の連結保険料収入で見ると、業界2位の損保ジャパンと4位の日本興亜の組み合わせで、首位の東京海上を追う2位グループの一角を占める規模感だった。 [1][2][3]
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [1]2010年4月 損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が共同株式移転でNKSJホールディングスを設立
- [2]2010年4月 NKSJは設立と同日に東証・大証市場第一部に上場
- [3]初代社長は旧損保ジャパン出身の佐藤正敏氏
しかし統合初年度の経常収益2兆6,216億円に対して当期純損失は129億円、翌2012年3月期はタイ洪水と東日本大震災に伴う自動車保険等の支払いが重なり、純損失922億円まで膨らんだ。両社のシステム・商品・代理店網は別々のまま運用されており、収益基盤が外的ショックに耐えきれなかった。同じ年に発足したMS&ADも初年度に赤字を計上したが、SOMPO側は2期連続の純損失となり、市場には統合の遅さに対する懸念が広がった。当時のNKSJは持株会社のスタッフ部門と両事業会社の本部機能が並存し、グループの意思決定スピードと現場の業務オペレーションの双方で重複コストが残ったままだった。 [4][5][6][7]
- NKSJホールディングス 有価証券報告書(連結)
- [4]統合初年度(2011年3月期)の経常収益2兆6,216億円
- [5]2011年3月期 当期純損失129億円
- [6]2012年3月期 純損失922億円
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [7]2012年3月期の純損失要因にタイ洪水・自然災害(東日本大震災等)
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [1]2010年4月 損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が共同株式移転でNKSJホールディングスを設立
- [2]2010年4月 NKSJは設立と同日に東証・大証市場第一部に上場
- [3]初代社長は旧損保ジャパン出身の佐藤正敏氏
- [7]2012年3月期の純損失要因にタイ洪水・自然災害(東日本大震災等)
- NKSJホールディングス 有価証券報告書(連結)
- [4]統合初年度(2011年3月期)の経常収益2兆6,216億円
- [5]2011年3月期 当期純損失129億円
- [6]2012年3月期 純損失922億円
事業会社の合併に4年を要した「同等合併」の代償
NKSJは設立当初、損保ジャパンと日本興亜損保という二つの事業会社を別々に残したまま、持株会社のもとで両社を束ねる構図を選んだ。生命保険子会社の合併は2011年10月にNKSJひまわり生命として一体化されたが、本丸である損保事業会社が「損害保険ジャパン日本興亜」として一本化されたのは2014年9月で、持株会社の設立から4年4か月後の遅さだった。自動車保険の契約システムや損害調査の拠点網、商品設計の体系までが旧2社別々のまま維持されたため、合併直後の4年間は規模の効果を収益に落とし込めない構造が続き、代理店の現場も旧社ごとの運用を引きずった。生保会社の統合が先行して損保本体が遅れた順序には、グループ収益の柱である損保事業に対して「同等合併」の体面が重くのしかかった事実がそのまま表れている。 [8][9]
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [8]2011年10月 生命保険子会社が合併しNKSJひまわり生命として一体化
- [9]2014年9月 損保事業会社が「損害保険ジャパン日本興亜」として一本化(持株会社設立から4年4か月後)
同じ時期に発足したMS&ADが2010年の時点で三井住友海上とあいおい損保の枠組みを比較的早く整えたのと比べ、SOMPO側の事業会社統合は明らかに遅かった。「同等合併」を掲げた対等性への配慮が、商品統合・システム統合・人事制度統合に関する意思決定を引き延ばした事情がある。この4年間の停滞期に櫻田謙悟氏が2012年に第2代社長へ就任し、長期政権のもとで統合の主導権を握り直した。櫻田氏は経済同友会代表幹事も兼ねるなど財界活動に厚く、SOMPOの顔として10年間の経営を担う出発点となった。商品統合は2014年9月の事業会社合併と同じタイミングで進められ、自動車保険・火災保険・新種保険のラインアップが旧2社別々の体系から1本に統合された。設立から4年越しで、ようやく代理店現場の業務簡素化にも手が届いた。 [10][11]
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [10]2012年 櫻田謙悟氏が第2代社長へ就任
- [11]2014年9月 事業会社合併と同じタイミングで商品統合(自動車・火災・新種保険の体系一本化)
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [8]2011年10月 生命保険子会社が合併しNKSJひまわり生命として一体化
- [9]2014年9月 損保事業会社が「損害保険ジャパン日本興亜」として一本化(持株会社設立から4年4か月後)
- [10]2012年 櫻田謙悟氏が第2代社長へ就任
- [11]2014年9月 事業会社合併と同じタイミングで商品統合(自動車・火災・新種保険の体系一本化)
商号3回目の正直 ── SOMPOへの収斂
2014年9月、持株会社の商号もNKSJから「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」へと変更された。事業会社と持株会社がともに「損保ジャパン日本興亜」という名前で揃った瞬間だが、この社名は和文で12文字、英文でも長く読みにくい表記となり、海外拠点を増やす過程での国際展開には不向きだった。わずか2年後の2016年10月にはふたたび商号を書き換え、持株会社は現在の「SOMPOホールディングス」へと改められた。持株会社の設立から数えると、わずか6年余りのあいだに主要ブランド名が2回も入れ替わった計算になる。合併相手との対等性を演出するための社名と、海外事業を広げるうえで必要な短く覚えやすい社名とは、同時に満たしにくかった。 [12][13]
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [12]2014年9月 持株会社の商号をNKSJから「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」へ変更
- [13]2016年10月 持株会社を「SOMPOホールディングス」へ商号変更
設立から6年間で商号を2回変えた経緯は、対等合併で体面を守る要請と、海外展開を進めるうえでの現実的要請との折り合いに苦しんだ過程そのものだった。「NKSJ」「損保ジャパン日本興亜」「SOMPO」と3つのブランドが入れ替わったため、国内顧客と海外パートナーの双方に対する企業認知の構築は遅れた。SOMPOの呼称は最終的にグループ全体の英文表記とも整合し、2016年以降はブラジルのYasuda Maritima Segurosの「Sompo Seguros」化、2017年の海外持株会社「Sompo International Holdings」設立と同じ命名体系の下に揃えられた。トルコのSompo Sigorta、シンガポールのTenet Insurance(後のSompo Singapore)など、買収済みの新興国子会社にも順次「Sompo」の冠が付けられ、2016年の商号変更は呼称変更にとどまらず、海外子会社まで含めたブランド体系の統一作業の出発点となった。 [14][15][16][17]
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [14]「NKSJ」「損保ジャパン日本興亜」「SOMPO」の3ブランドが入れ替わった
- [15]2016年以降 ブラジルYasuda Maritima Segurosの「Sompo Seguros」化
- [16]2017年 海外持株会社「Sompo International Holdings」設立
- [17]トルコのSompo Sigorta(旧Fiba Sigorta)に「Sompo」の冠
- SOMPOホールディングス 有価証券報告書【沿革】
- [12]2014年9月 持株会社の商号をNKSJから「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」へ変更
- [13]2016年10月 持株会社を「SOMPOホールディングス」へ商号変更
- [14]「NKSJ」「損保ジャパン日本興亜」「SOMPO」の3ブランドが入れ替わった
- [15]2016年以降 ブラジルYasuda Maritima Segurosの「Sompo Seguros」化
- [16]2017年 海外持株会社「Sompo International Holdings」設立
- [17]トルコのSompo Sigorta(旧Fiba Sigorta)に「Sompo」の冠