2021 年5月

商号を「ANYCOLOR株式会社」へ変更し英語圏「NIJISANJI EN」を始動

歴史的意義
IPO直前の社名変更とNIJISANJI EN同時開始──「次フェーズ宣言」の意味

2021年5月に社名変更・本店移転・英語圏グループ始動を同時実行した判断は、IPO直前の意思表示として機能した。「いちから」から「ANYCOLOR」への商号変更は、創業期からの事業出発点を意味するブランドから、グローバル展開期のブランドへの転換を社内外に示すシグナルである。同月の英語圏「NIJISANJI EN」始動は、米Hololive Productionの英語圏事業との競争が予想される中で、ブランドの先行配置を確保する戦略的判断だった。1ヶ月で3軸を並行起動する経営判断のスピード感は、創業8ヶ月での事業転換(2018年1月)と同様の特徴を示している。

背景

IPO準備とグローバル展開の整合

2020年〜2021年にかけて、コロナ禍のライブ配信需要を背景にライバーのチャンネル登録者数・売上は急成長を続け、FY19(2020年4月期)売上34.7億円からFY20 76.4億円・FY21 141.6億円へと2期で4倍以上の拡大を見せていた。同時期、創業者・田角CEOはIPO準備を進めており、上場後のブランド統一・海外展開の本格化を意識する段階に入っていた。

旧社名「いちから株式会社」は「事業の出発点としての社名」として創業時の象徴的意味を持つが、グローバル展開・英語圏配信を中心とする事業構造とは整合が取りにくくなっていた。同時期、英語圏のVTuberファンの拡大・米Hololive Productionの英語圏事業(ホロライブEN)の競合参入が予想され、英語圏グループ「NIJISANJI EN」の早期立ち上げが戦略的必要性を増していた。

決断

社名変更と英語圏グループ同時開始

2021年5月、商号を「いちから株式会社」から「ANYCOLOR株式会社」へ変更、同時に英語圏向け「NIJISANJI EN」の活動を開始、東京都千代田区から港区へ本店も移転した。「ANYCOLOR」は「多様な色=個性のライバーが集う場」を意味し、創業時の「事業の出発点」を意味する社名から、グローバル展開期のブランドへの転換を象徴する判断であった。

同月の英語圏「NIJISANJI EN」始動は、2020年6月の英語圏向け公式YouTubeチャンネル開設からの伏線を回収する形であり、IPO前の事業ポートフォリオ整理と並行する戦略的判断であった。同年6月にはライバー育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」も開始し、ライバー人材獲得競争が激化する業界環境の中で内製育成パイプラインを整備した。

結果

上場準備と海外展開の同時加速

社名変更は社内外への「IPO準備とグローバル化を同時に進める」意思表示として機能し、続く2022年6月の東証グロース市場上場(公開価格1,530円→初値7,150円・4.67倍)の地ならしとなった。英語圏「NIJISANJI EN」は所属ライバー数を拡張し続け、後の決算説明会で繰り返し問われる「海外収益化進捗」の中核ブランドへ成長した。

FY21(2022年4月期)の単体売上高は14,164百万円(前期比+85.5%)、営業利益4,191百万円・経常利益4,149百万円と、コロナ特需の2期目で売上規模が一段階引き上がった。商号変更・英語圏進出・育成パイプライン整備の3軸を1ヶ月で並行起動した判断が、上場後の高成長を支える事業基盤となった。

関連する動き
  1. 「にじさんじ」英語圏向け公式YouTubeチャンネル開設
  2. 社名を「ANYCOLOR株式会社」へ変更
  3. 英語圏「NIJISANJI EN」の活動を開始
  4. 本店を千代田区から港区へ移転
  5. ライバー育成「バーチャル・タレント・アカデミー」開始