重要な意思決定
CITIC(中国中信集団)と戦略的業務資本提携を締結
背景
1972年の「友好商社」認定を起点とする伊藤忠の中国戦略
伊藤忠は1972年に中国に進出し、中国政府から「友好商社」の認定を受けた。以後、中国政府との関係性を深め、2011年1月にCITIC(中国中信集団)と包括戦略提携を締結した。CITICは中国の国営企業であり、2013年度の純利益は7300億円に達していた。金融業(主に信託・証券)を中心に、不動産・建設・資源開発・アルミ製造などを手掛けるコングロマリットであった。
2014年7月にはタイの財閥であるC.P.グループとの戦略的業務・資本提携を締結し、CITICへの共同出資の枠組みを整えた。伊藤忠とC.P.がそれぞれ50%を出資する合弁会社CTBを設立し、CTBを通じてCITICの株式を合計20%取得するスキームを構築した。伊藤忠の出資額は6890億円であり、日本企業による中国企業への投資としては過去最大規模であった。
決断
中国国営企業への6890億円の出資と減損1433億円の帰結
2015年1月に伊藤忠はCITICの株式10%を取得した。CITICは事業の8割を金融が占めており、今後は非金融分野の拡大を目指すとされた。伊藤忠はCITICのパートナーとして生活消費関連分野での協業を企図し、岡藤正広社長(当時)は「資本提携を行うことでより効果を上げる」と説明した。
しかし、CITICの業績悪化を受けて、2019年3月期に伊藤忠はCITIC関連で減損損失1433億円を計上した。6890億円の出資に対して約2割に相当する減損を強いられた形となった。1972年の中国進出から43年をかけて築いた関係が大型出資に結実したものの、国営企業の業績変動に連動するリスクを内包する構造であった。