重要な意思決定
ファミリーマートに出資
背景
食品流通の川下進出を図るファミリーマートへの段階的出資
伊藤忠は食品流通事業の強化を図るため、1998年にファミリーマート(当時は西友グループ)の株式29%を推定約1000億円で取得した。伊藤忠食品などグループ内の食品商社と連携し、コンビニエンスストアという小売業を通じて川下への事業展開を図った。その後、2014年と2016年に株式を追加取得し、2018年には約1200億円を投じて出資比率をさらに引き上げた。
2016年9月にはユニーグループHDとの経営統合で「ユニー・ファミリーマートHD」が発足し、2019年1月にユニーの株式をドンキホーテHDに売却してコンビニ事業への集中体制を整えた。2020年にはTOBを実施して株式94.7%を取得し、推定5800億円を投じてファミリーマートの連結子会社化を完了した。1998年の初期出資から22年にわたる段階的な買収であった。
決断
セブンイレブン1強体制のなかで業界2位に留まる構造的課題
伊藤忠の食品事業においてファミリーマートは中核的な存在となったが、国内コンビニ業界ではセブンイレブンの1強体制が確立していた。セブンイレブンはドミナント出店やベンダーとの協業による物流網の整備を通じて、他社を寄せ付けない収益力を構築しており、ファミリーマートはこれに対抗しきれず業界2位に留まっている。
伊藤忠は1998年から2020年にかけて累計で推計8000億円超をファミリーマートに投じたことになるが、業界首位との収益力格差を縮めるには至っていない。商社がコンビニ事業を直接運営する業態は、食品流通の川上から川下まで一気通貫で管理できる利点がある一方、小売業固有の競争環境に向き合い続ける構造でもある。