重要な意思決定
20164月

CEOにウェバー氏が就任

背景

グローバル経営を担う次世代トップの不在という構造的課題

武田薬品は長く武田家と小西家の創業家が経営を担ってきたが、2003年に非創業家出身の長谷川閑史が社長に就任し経営体制は大きく転換した。長谷川体制の下でミレニアム買収やナイコメッド買収など国際化と大型買収を軸に成長戦略が進められた。

一方で買収した海外企業を統治できるグローバル経営人材は社内に十分蓄積されていなかった。創業家支配からの脱却後も、欧米製薬企業での経営経験を持つ次世代トップの選択肢は限られており、戦略遂行力と人材育成の間に構造的なギャップが生じていた。

決断

長谷川会長がウェバー氏を約1年で社長兼CEOに登用

2014年、武田薬品は英グラクソ・スミスクライン出身のクリストフ・ウェバー氏をCOOとして招聘した。長谷川閑史会長はCOO就任時点からウェバー氏を将来のCEO候補と位置づけ、約1年間にわたり経営能力を見極めた上で2015年に社長兼CEOに任命した。

日本の製薬最大手のトップに外国人が就く判断はグローバル経営の必然であると同時に、社内で後継者を育てられなかったことの帰結でもあった。COO職を廃止し権限を集中させた点からも、明確なトップ交代の意思が読み取れた。

結果

大型買収の加速と財務悪化が経営の緊張関係を顕在化

ウェバー体制下の武田薬品は大型買収路線をさらに加速させ、2019年には約6.2兆円のShire買収を実行した。希少疾患・血漿分画製剤での事業基盤は拡大した一方、有利子負債が急増し財務体質は大きく悪化した。

巨額買収の継続は成長期待と引き換えに財務リスクを高め、創業家を含む旧来のステークホルダーとの関係にも緊張を生じさせた。ウェバーCEOは2026年6月に退任予定であるが約10年にわたりトップの座にあった。後任を務められる人材が社内に育っていなかったことが、結果として長期在任を可能にした構造的要因であった。