重要な意思決定
岸田光哉氏が社長就任
背景
創業者の後継者選定に向けた副社長5名の競争体制
2023年4月に日本電産(ニデック)は副社長5名体制を敷いた。北尾氏(元三井住友銀行出身)、小関氏(CTO)、岸田氏(元ソニー出身)、大塚氏(日本電産サンキョー社長)、西本氏(日本電産シンポ社長)の5名が副社長に就任し、創業者・永守重信の後継候補として抜擢された。外部登用人材、本社幹部、子会社社長と出自の異なる候補を広く募る形であった。
永守重信は過去にも複数の外部招聘社長を登用してきたが、いずれも短期間で退任に至っていた。後継者問題は日本電産の長年の経営課題であり、副社長5名体制は候補者間の競争を通じて最適な後継者を見極めるための仕組みであった。
決断
元ソニー出身の岸田光哉が代表取締役社長に就任
2024年2月に岸田光哉が代表取締役社長に就任した。創業者の永守重信は代表取締役グローバルグループ代表に就き、代表取締役2名の併存体制となった。永守から岸田への段階的な権限移譲を図る事業承継の枠組みであり、永守が直ちに経営の第一線を退くのではなく、並走しながら移行する体制が採られた。
岸田はソニー出身の外部人材であり、日本電産の生え抜きではない。永守は創業以来50年にわたり経営の中心にあり、日本電産の企業文化と意思決定の仕組みは永守個人と不可分に結びついてきた。代表権を持つ創業者が並存する中で、後継社長がどこまで独自の経営判断を行えるかが、この事業承継体制の実質的な論点となる。