重要な意思決定
1997

組織改革の実施

背景

持株会社移行を見据えて本社の機能を事業ポートフォリオの管理に再定義

1994年のROE経営への転換に続き、HOYAは1997年に本社機能の抜本的な再定義に着手した。持株会社への移行を見据えて、本社の業務を「事業ポートフォリオの経営」に限定し、全社戦略とファイナンスに特化させる設計を採用した。人事権は5つの事業別子会社に完全に委譲し、事業運営の権限を本社から切り離した。

この設計の背景には、事業の選択と集中を継続的に実行するためには、本社が個別事業の運営から離れ、投下資本に対する収益性を全社横断で評価する機能に特化する必要があるという判断があった。本社が事業運営に関与するほど、不採算事業からの撤退に組織的な抵抗が生じやすい。本社を軽量化することで、事業ポートフォリオの入れ替えを組織構造上も容易にする狙いがあった。

決断

本社人員を2020名から50名に削減し取締役会を8名体制に再編

組織改革の結果、HOYAの本社人員は2,020名から50名に削減された。約97.5%の削減率は日本企業の本社機能の軽量化として極端な水準であった。同時に取締役会の再編を実施し、1990年代前半に16名の社内人材で構成されていた取締役を、社内7名・社外1名の計8名体制に縮小した。

当時の日本企業では社外取締役の登用は稀であり、HOYAのボード改革は先駆的な取り組みとして注目された。本社の軽量化と取締役会の改革は、1994年のROE経営宣言を組織形態として具現化するものであった。事業運営を子会社に委譲し、本社をポートフォリオ管理に特化させることで、2000年代以降の事業撤退や企業買収を迅速に実行できる組織基盤が整えられた。