重要な意思決定
インテルと半導体製造装置で提携
背景
ASMLがシェア80%を確保する中、ニコンは単独での研究開発投資の継続が困難に
2000年代を通じてASML社は半導体露光装置(ステッパー・スキャナー)の世界シェアを80%まで拡大し、事実上の寡占状態を構築した。ニコンはシェアを大幅に落とし、装置の販売収益が縮小したことで研究開発費の原資が不足する構造的な問題に直面していた。半導体の微細化が進むにつれて露光装置の開発費は高騰し、次世代機の開発には数千億円規模の投資が必要とされた。ニコン単独ではこの投資負担を賄うことが困難な状況に追い込まれていた。
ASML社の寡占が進めば、半導体メーカーにとっても装置調達における交渉力が低下するリスクがあった。特にインテルは世界最大の半導体メーカーとして、露光装置の調達先が1社に集中することへの懸念を強めていた。
決断
インテルと450mmウエハ対応の次世代ステッパーを共同開発する提携を締結
2012年8月にニコンは米インテルと半導体製造装置に関する提携を発表した。具体的には、次世代の450mmウエハ対応ステッパーについて、ニコンとインテルが開発費を共同負担する枠組みであった。インテルにとってはASML社への依存度を下げるための牽制策であり、ニコンにとっては世界最大の半導体メーカーを顧客として確保し、製造装置事業の存続を図る意味があった。
ただし450mmウエハへの移行自体が業界の合意を得られておらず、この提携が想定した次世代規格の実現可能性には不透明さが伴っていた。ニコンの精機事業にとってインテルとの協業は事業存続への数少ない選択肢であったが、ASML社との技術格差が拡大する中で、提携だけでは構造的な劣位を覆すことは容易ではなかった。