東京証券取引所第2部に上場・再建完了
創業者5.68%・富士通28%が示す上場時の株主構造
1983年2月、タケダ理研は東京証券取引所第2部に株式を上場し、富士通主導の経営再建を完遂した。上場直前の1982年6月期における株主構成は、筆頭株主の富士通が28.00%を保有する一方、創業者の武田郁夫氏はわずか5.68%にとどまっていた。1975年のクーデターで株式の大半を放出させられた結果であり、自ら創業した会社の支配権を既に喪失した状態での上場であった。
上場時の事業面では、1981年度時点でLSI向けテスター市場(グローバル市場規模約1,000億円)においてタケダ理研は世界シェア3位(9.5%)を確保していた。トップシェアは米フェアチャイルド社が握っていたが、タケダ理研は1975年時点のシェア4位から着実に順位を上げ、ICテスタの専業メーカーとして世界市場での地位を確立しつつあった。
国内大手半導体メーカー2社を軸とした顧客基盤の形成
上場前の1982年3月期における売上構成は、日立製作所向けが30%、富士通向けが26%を占め、国内大手半導体メーカー2社で売上の過半を占める顧客構造であった。ICテスタは半導体の製造工程に不可欠な検査装置であり、顧客の半導体投資サイクルに業績が連動する事業特性を持つ。この顧客基盤は、富士通による再建期に形成されたものであった。
国内の電子計測器メーカーとしては、タケダ理研のほかに横河電機、アンリツ、安藤電気、岩崎通信機、松下通信工業の5社が存在していた。この中でタケダ理研はICテスタという成長市場に特化することで差別化を図り、電子計測器業界の中で独自の地位を築いた。1985年9月には東京証券取引所第1部への昇格を果たしている。
富士通による株式売却と1,000億円超の投資回収
上場後も富士通はアドバンテストの筆頭株主であり続けたが、2005年に保有比率20.45%のうち一部を売却して899億円を回収した。さらに2017年には残る11.35%の全株式を530億円で売却し、1976年から約40年にわたって続いた資本関係を完全に解消した。取得価額は非開示だが、合計1,429億円の売却収入から1,000億円を超える売却益を確保したと推定される。
富士通にとってアドバンテストへの出資は、病床の社長が決断した救済案件から始まったものであった。約40年の資本関係を通じて経営再建と事業成長を見届けた上での段階的な株式売却は、事業会社による長期投資の一つの形といえる。一方でアドバンテストにとっては、筆頭株主の離脱により名実ともに独立した経営体制への移行が進むこととなった。