重要な意思決定
20093月

リーマン・ショック後の緊急収益改善と豊田章男の社長就任

背景

創業以来初の営業赤字4610億円と純損失4369億円を計上

2009年3月期、リーマン・ショックの影響でトヨタは創業以来初の営業赤字4610億円と純損失4369億円を計上した。FY07に連結売上高26兆2892億円・営業利益2兆2703億円だった業績が、FY08には売上高20兆5295億円・営業損失4610億円へ急落した。自動車セグメントだけで営業損益が3948億円の赤字となり、金融セグメントも719億円の赤字に転落した。トヨタの収益構造の脆弱性が一気に露呈した局面であった。

決断

原価改善3400億円と設備投資36%削減を実行し研究開発費は温存

対応策として原価改善3400億円の積み上げ、設備投資の36%削減(8300億円)、ワークシェアリングによる雇用維持を実行した。一方で、環境技術や安全技術に関する研究開発費は削減対象とせず継続投資とした。全費目を一律に圧縮するのではなく、将来の競争力に直結する領域を選別的に温存する判断だった。2009年6月には創業家出身の豊田章男が社長に就任し、リーマン・ショック後の構造改革に加え、2010年の米国での大規模リコール問題にも対応した。

結果

豊田章男の14年間でグローバル販売首位と過去最高益を達成

豊田章男は2016年にカンパニー制を導入し、年間販売1000万台規模の組織を車種・技術領域ごとの経営単位に再編した。2017年以降はスズキ・マツダ・SUBARUとの業務資本提携を相次いで締結し、2020年にはパナソニックとの合弁で電池会社PPESを設立した。在任14年間でグローバル販売台数の首位を獲得し、FY23には営業利益5兆3529億円と過去最高を記録した。危機を費用構造の再設計の契機に転じさせた対応であった。