重要な意思決定
20162月

シエラゴルダ銅鉱山で損失計上

背景

住友商事とKGHMの3社共同でチリの銅鉱山に参画

2011年に住友金属鉱山と住友商事は、ポーランドの鉱業会社KGHMインターナショナル社が保有するシエラゴルダ銅鉱山(チリ北部)の権益を共同で取得した。権益比率はKGHMが55%、住友金属鉱山が31.5%、住友商事が13.5%とされ、KGHMが過半の権益を持つ運営体制のもとで鉱山の開発が進められた。シエラゴルダ銅鉱山はチリ北部に位置する大型の銅鉱山であり、住友金属鉱山にとって海外資源開発の一環として位置づけられた。

2015年7月にシエラゴルダ銅鉱山は生産を開始し、住友金属鉱山は持分法適用会社を通じて同鉱山の操業に参画した。権益取得から約4年を経ての操業開始であったが、フル操業への移行タイミングは国際的な銅価格の下落局面と重なることとなった。2014年から2016年にかけて銅の国際価格は大幅に下落しており、シエラゴルダ銅鉱山が本格稼働に入った時期は銅鉱山にとって厳しい市況環境にあった。

決断

銅価格の急落に伴い689億円の持分法投資損失を計上

操業開始のタイミングが銅価格の下落と重なった結果、シエラゴルダ銅鉱山における事業採算が悪化した。2016年2月に住友金属鉱山はシエラゴルダの開発プロジェクトに関連して、持分法による投資損失689億円を計上。2016年3月期の持分法投資損失は全体で732億円、翌2017年3月期には同859億円に達し、その大半がシエラゴルダ関連の損失によるものであった。

全社業績への影響も大きく、2017年3月期に住友金属鉱山は連結ベースで185億円の最終赤字に転落した。経営陣はシエラゴルダ銅鉱山における損失の責任を明確にするため、役員報酬の減額を実施した。シエラゴルダ銅鉱山は住友金属鉱山にとって海外資源開発の主要案件であったが、操業開始と銅価格の市況下落が重なったことで大規模な損失計上を余儀なくされる結果となった。

結果

豪South32への権益売却により745億円の売却益を計上

2020年10月に住友商事と住友金属鉱山は、シエラゴルダ銅鉱山の権益売却の検討を開始し、対外的に売却の意向を表明した。売却検討の背景には、鉱山の生産量が安定しないことに加え、非鉄金属の国際市況が高騰して権益の売却価値が上昇していたことがあった。操業を継続して採算改善を目指すよりも、市況の好転を捉えて権益を売却する方針が選択された。

2021年10月に権益の売却が成立し、売却先はオーストラリアの資源会社South32 Limitedであった。2022年3月期に住友金属鉱山は子会社売却益として745億円を計上した。シエラゴルダ銅鉱山への参画は、権益取得から約10年を経て売却による撤退という帰結をたどり、操業期間中に計上した投資損失と売却時の745億円の回収は、資源開発における市況変動の影響の大きさを示すものとなった。