重要な意思決定
20224月

セメント事業を統合・UBE三菱セメントを発足

背景

1990年の合併で取得したセメント事業と段階的な切り離し

三菱マテリアルにおけるセメント事業は、1990年2月の三菱金属と三菱鉱業セメントの合併により取得されたものであった。セメント事業はもともと三菱金属の事業ではなく、合併相手の三菱鉱業セメントが石炭事業からの転換として育成した事業である。合併から約30年が経過する中で、セメント事業の分離は合併時に組み入れた事業の整理という意味合いを持つこととなった。

セメント販売の領域では、1998年7月にすでに三菱マテリアルと宇部興産がセメント販売の統合を実施し、宇部三菱セメントを設立していた。この販売統合が2022年のセメント事業全面統合への布石となった。2020年9月に三菱マテリアルは宇部興産とセメント事業の全面統合を決定し、生産・販売を一体化した新会社の設立に踏み切った。

決断

宇部興産との折半出資でUBE三菱セメントを発足

2022年4月に三菱マテリアルと宇部興産は折半出資により「UBE三菱セメント」を設立し、両社のセメント事業を新設会社に移管した。統合の狙いは、国内セメント市場における過剰生産能力の是正にあった。財務面では、三菱マテリアルはUBE三菱セメントに対する投資として1606億円を貸借対照表上で認識しており、同社の業績次第では減損が発生する可能性を伴う投資であった。

UBE三菱セメントでは統合後に生産能力の縮小が進められ、2023年3月までに青森工場の閉鎖および伊佐セメント工場の1号キルン停止を決定した。設備廃棄に伴い、2023年3月期に三菱マテリアルは持分法による投資損失として83億円を計上した。過剰設備の整理は、セメント事業統合の目的に沿った施策であった。

結果

合併から30年を経たセメント事業の実質的な切り離し

セメント事業の統合は、三菱マテリアルにとって実質的なセメント事業の切り離しであった。1990年の三菱鉱業セメントとの合併でセメント事業を取得してから約30年が経過し、合併時に組み入れた事業を折半出資会社に分離する判断が下された。この経緯は、1990年の合併がもたらした事業ポートフォリオの膨張と、その後の事業絞り込みという三菱マテリアルの経営課題を象徴するものであった。

UBE三菱セメントの設立は、1998年の販売統合から約24年を経ての全面統合であり、段階的にセメント事業を外部化していく過程の集大成であった。三菱マテリアルは2020年の中期経営戦略でセメント事業を縮小対象に位置づけており、UBE三菱セメントの発足はこの方針に沿った施策となった。