重要な意思決定
2013

四輪車に参入(凍結)

背景

二輪・マリン依存の収益構造に成長の限界が見えた局面

ヤマハ発動機は2000年代を通じて二輪車事業を中核に事業規模を拡大してきたが、2010年代に入ると先進国市場の成熟と新興国市場での価格競争激化により、販売台数と利益の成長余地は限定的になりつつあった。二輪事業は景気や為替変動の影響を受けやすく、収益の振れ幅が大きい構造を抱えていた。

こうした環境下で、同社は2010年代初頭から既存事業に依存しない新たな成長領域の検討を進めていた。エンジン、車体設計、制御といった自社技術を横断的に活用でき、二輪・マリンに隣接する分野として四輪車が候補に挙げられ、事業ポートフォリオ分散の選択肢として位置付けられていた。

決断

エンジンと車体設計の技術蓄積を足がかりに四輪車参入を表明

2013年、同社は普通乗用車分野への新規参入を表明し、四輪車の研究開発に着手した。既存自動車メーカーと同様の大量生産体制を前提とするのではなく、独自構造の車体や軽量化技術を起点とした差別化を構想し、研究段階から事業化可能性を検証する進め方を採用した。

海外拠点を中心に研究体制を整備し、試作車やコンセプトモデルの開発を通じて量産技術と採算性の検討を進めた。四輪車事業は主力事業とは切り離された探索的位置付けとされ、段階的に知見を蓄積しながら事業化の可否を判断する方針が取られていた。

結果

量産移行の壁に直面し2018年に四輪車事業を凍結

参入表明後、同社は四輪車に関する研究開発を継続し、複数の試作車やコンセプトカーを公表した。新構造車体の検討や生産プロセスの検証を通じて技術的知見は蓄積されたが、量産段階に移行するための工程確立や投資規模の面で課題が残っていた。

2018年12月、新中期経営計画(2019〜2021)の発表にあわせ、同社は普通乗用車の事業化を凍結する判断を公表した。研究開発体制は解散され、普通乗用車分野への参入は中止ではなく凍結と位置付けられた。