重要な意思決定
中期ASV経営を策定
背景
事業間の成長率とROIC格差が単年度型中計の限界を露呈
味の素は2020年代初頭にかけて事業利益の回復とアセットライトを進めたが、事業ごとの成長率とROICには依然として差が残っていた。食品系事業はキャッシュ創出を担う一方で売上成長は限定的であり、アミノサイエンス系事業では成長機会が見込まれる反面、投下資本の増加が資本効率管理の論点となっていた。
こうした状況下で単年度積み上げ型の中期計画では、長期の企業価値最大化と資源配分の合理性を示しにくくなっていた。事業特性の異なる複数領域を抱える中で、短期の業績数値ではなく長期視点の資本配分方針を明示する枠組みが求められていた。
決断
2030年逆算型のロードマップで成長領域への資源集中を設計
2023年に策定された2030ロードマップでは、成長領域をヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーンの4分野に整理し、将来の成長を担う事業に資源を集中させる方針が示された。効率性の低い事業は機能分離や撤退も視野に入れ、投下資本の再配分を進める判断が明確化された。
財務面では2030年にROIC約17%、ROE約20%、EPS約3倍(FY2022比)を目標に掲げ、設備投資とM&Aを成長投資の中核に据えた。キャッシュフロー改善と資本コスト低減を併走させ、成長投資と株主還元の両立を図る設計とした。単年度の業績改善ではなく、2030年のありたい姿から逆算して経営を再構築する位置づけにある。