重要な意思決定
20223月

検査不正により赤字転落

背景

二十年にわたるエンジン認証申請の不正と北米での発覚

2003年から日野自動車は、商用車のエンジン認証申請において不正行為を開始した。認証試験とは、車両が排出ガス規制や燃費基準を満たしていることを国の機関に証明する手続きであり、その申請データに意図的な操作が施された。不正は約二十年にわたって社内で継続されたが、外部に露呈することなく長期間にわたって隠蔽された。2020年に北米においてエンジンの認証申請に関する不正が確認されたことで、問題が初めて表面化した。

北米での発覚を端緒として、2022年3月には国内市場においてもエンジン認証申請の不正が確認された。対象は排出ガスや燃費に関するデータの改ざんであり、日野自動車が製造する商用車の幅広い車種に及んだ。不正の範囲が拡大するにつれて、日野自動車の品質管理体制に対する信頼が大きく揺らぎ、国土交通省からの行政処分や取引先からの信用低下といった影響が広がった。

決断

出荷停止と認証損失の計上がもたらした経営基盤の喪失

不正の確認を受けて、日野自動車はグローバルで対象車種の出荷停止およびリコールを決定した。FY2020からFY2022にかけて、特別損失として「認証損失」を計上し、3期連続の最終赤字に転落した。認証損失の累計額は巨額に上り、日野自動車の財務基盤を毀損した。出荷停止による売上の減少と、リコール対応や損害賠償に伴う費用の増大が重なり、事業運営の継続そのものが困難な状況に追い込まれた。

親会社であるトヨタ自動車は、認証不正の露呈を受けて日野自動車に対する経営支援の中止を決定した。トヨタグループの商用車事業を担う位置づけにあった日野自動車であったが、認証不正により信頼関係の前提が崩れた。親会社からの支援が打ち切られたことにより、日野自動車は単独での存続が困難な状況に置かれ、同業の商用車メーカーとの経営統合や合併を模索する局面へと移行した。