社長交代と仙洞田体制への移行
15年間の成長を経た経営承継の時期
岡林理は2009年の社長就任以来、FPD事業の縮小と半導体集中、EUV検査装置の開発という二つの構造的な意思決定を経て、レーザーテックを売上高86億円の中堅企業から2,000億円超のグローバル企業へと成長させた。5フェーズにわたる中期経営計画を策定・推進し、最終フェーズ「フェーズ3+」ではACTIS A300の開発に一定の成果を収めた。在任15年間で売上高は約29倍、営業利益は約175倍に拡大し、株価は100倍超となった。
一方、同社は経営の属人性が高い組織でもあった。創業者・内山康の急逝(1992年)以来、2代目の粟村大吉から岡林理まで4人の社長が順次経営を継承してきたが、いずれも社内からの昇格であった。売上高が2,000億円を超え、従業員も1,000人規模に拡大し、TSMC・サムスン電子・インテルという世界の3大半導体メーカーを顧客に持つグローバル企業となった中で、次世代への計画的な経営委譲が課題となっていた。
エンジニア出身の仙洞田哲也を後任に選定
2024年4月、岡林理は自身の6月末での社長退任と、副社長の仙洞田哲也の社長昇格を発表した。仙洞田は1977年生まれ、学習院大学理学部卒業後にNECの半導体子会社でエンジニアとして勤務し、2008年にレーザーテックに入社した。フォトマスク検査装置の開発を担当し、米半導体装置大手KLAから市場シェアを奪還した実績を持つ。技術者でありながら営業も統括し、技術とマーケットの双方を理解するリーダーとして選ばれた。
2024年7月、仙洞田が6代目社長に就任し、岡林は代表取締役会長に就いた。就任1年目の2025年6月期は売上高2,514億円、営業利益1,228億円と過去最高を更新し、営業利益率は48.8%に達した。新体制のもとで発表された6カ年の中期経営計画は、2030年6月期に売上高4,000〜5,000億円、営業利益率35%以上を目標に掲げている。EUV以外の新規事業領域への投資拡大と、後工程やSiC材料検査など新たな成長分野の開拓を重点課題として位置づけた。