重要な意思決定
20107月

Transports Godfroyを取得

背景

国内低温物流モデルの成熟と欧州市場における成長機会の模索

2000年代後半、ニチレイは国内において低温物流事業の高度化を進めていた。大型冷蔵倉庫のスクラップアンドビルド、物流サービスセンター化、共同配送の拡充により、保管と輸送を一体化した低温物流モデルが確立しつつあった。国内では主要都市圏を中心に拠点網が整備され、成長余地は次第に限定的となっていた。

一方、欧州では冷凍食品・畜産物・水産物の流通量が大きく、国境をまたぐ低温物流の需要が構造的に高い市場であった。ニチレイはすでにオランダを拠点に欧州事業を展開していたが、フランスは生産・消費の両面で重要な市場でありながら直接的な事業基盤を持っていなかった。

決断

フランスの低温物流会社4社を一括取得し保管と輸送の一体体制を構築

2010年7月、ニチレイロジグループの欧州子会社であるNichirei Holding Holland B.V.は、フランスの低温物流事業会社4社を買収した。中核はフランス全土で配送網を持つTransports Godfroy S.A.S.であり、冷蔵倉庫3社を組み合わせることで保管と輸送を一体で提供できる体制を構築した。

買収金額は株式取得で15百万ユーロ、不動産取得を含めて総額約24百万ユーロであった。対象会社はいずれも北フランスを拠点とし、ルアーブル港など主要港湾と内陸部を結ぶ立地を有していた。ゼロから拠点を構築するのではなく既存の運送・倉庫機能を一体で取り込むことで、短期間で低温物流ネットワークを確立する選択が行われた。

結果

フランスを起点とした西欧域への低温物流展開基盤の確立

4社の買収によりニチレイはフランス国内のみならず、西欧域への低温物流展開も視野に入る事業基盤を整えた。国内で磨いた保管と輸送の一体運営ノウハウを、欧州の異なる市場環境に適用する試みであった。

総額24百万ユーロという投資規模は、国内の大型冷蔵倉庫1拠点の建設費と比較しても抑制的であり、既存事業者の買収によってリスクを限定しながら海外展開の足がかりを築く判断であった。