重要な意思決定
2007

岩手県で養鶏場を直営

背景

原種鶏の99%を海外輸入に依存する養鶏産業の構造リスク

2000年代半ば、日本の養鶏産業は重大な構造リスクを抱えていた。肉用鶏の生産を支える原種鶏・種鶏の約99%を海外輸入に依存しており、特定国・地域への集中度が極めて高かった。2006年前後の鳥インフルエンザ発生を受けて日本政府が輸入停止措置を取ったことで、原種鶏の供給量は大きく減少した。供給不安は一過性ではなく再発の可能性が高いと認識されていた。

ニチレイフレッシュにとっても鶏肉は重要な原材料であり、調達の不安定化は事業継続リスクに直結していた。調達先を分散するだけでは感染症リスクや政策リスクを回避できず、安全性と安定供給を同時に確保するには原料段階からの関与が必要との判断が強まっていた。

決断

岩手県に直営養鶏場を設立し純国産鶏「純和鶏」の育成体制を構築

2007年5月、ニチレイフレッシュはイシイと合弁で「ニチレイフレッシュファーム」を設立し、岩手県九戸郡洋野町に洋野農場を建設した。独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場で育種改良された原種鶏を導入し、純国産品種「純和鶏」として育成・販売する体制を整えた。原種鶏から孵化・飼育までを一貫して管理する直営養鶏に踏み出した。

この取り組みは調達の内製化にとどまらず、全工程のトレーサビリティ確保を目的としていた。生産履歴を可視化し、安全性と品質をブランド価値として訴求する戦略であった。2012年には処理・加工・販売を担う「フレッシュチキン軽米」を設立し、生産から加工までを自社グループ内で完結させる体制を構築した。

結果

年間150万羽規模の出荷体制と川上統合型の鶏肉調達モデルの確立

直営養鶏の開始により、ニチレイフレッシュは年間150万〜160万羽規模の出荷を想定した純国産鶏の生産体制を整えた。海外からの原種鶏輸入に依存しない調達モデルは、鳥インフルエンザ等の供給途絶リスクに対する構造的な対策として機能した。

食品メーカーが原料の川上まで遡って事業を直営化する判断は、調達コストの最適化だけでなく、供給の安定性と品質のトレーサビリティを経営資源として内製化する選択であった。