重要な意思決定
水産部門で赤字転落
背景
200カイリ規制と原料価格高騰による水産事業の構造的悪化
1970年代後半から1980年代初頭にかけて、日本の水産業は200カイリ規制の導入により遠洋漁業の操業環境が大きく制限された。原料魚の調達コストは上昇し、市況変動も激しく、従来の大量漁獲・大量流通モデルは成立しにくくなっていた。ニチレイの水産部門は漁業権益を保有せず買付中心の事業モデルであったため、原料価格の変動を直接受けやすい構造にあった。
輸入依存度の上昇や為替変動も重なり、加工・販売マージンでは吸収できないコスト増が発生した。水産部門は1980年前後に赤字へ転落し、取扱量の拡大を前提とした事業モデルの限界が顕在化した。水産加工は創業以来の事業であったが、外部環境の構造変化によって収益性の維持が困難となっていた。
決断
取扱量拡大から採算性重視への方針転換と不採算品目の整理
赤字を受けてニチレイは水産事業の抜本的な構造改革に着手した。取扱量の拡大を前提としたモデルを見直し、不採算な取引や品目の整理を進める方針を明確にした。価格変動の大きい原料や収益性の低い加工領域については縮小・撤退を検討し、残す事業については高付加価値化と用途の再設計を進めた。
この方針転換は、水産部門を量の事業から選別された事業へ位置づけ直すものであった。経営資源をより成長性の高い冷凍食品や物流分野へ配分する判断が下され、ニチレイの事業ポートフォリオにおける水産事業の比重は段階的に縮小していった。創業以来の事業を聖域とせず、収益性に基づいて資源配分を見直した点が構造改革の核心であった。