重要な意思決定
200712月

スタッフサービスHDを買収

背景

派遣市場拡大と劣位

1987年の参入以降、リクルートは子会社リクルートスタッフィングを通じて人材派遣事業を拡大し、2000年代半ばには売上高1500億円規模へ到達していた。規制緩和と企業の固定費削減需要を背景に市場は急拡大し、派遣は同社の中核事業の一つへと成長していた。 しかし、業界内の順位は5位前後にとどまり、首位企業との差は埋まらなかった。特にスタッフサービスHDは、非上場ながら積極的な営業と大量動員型モデルで規模を拡大し、売上規模で先行していた。単独での成長のみで首位を狙うには時間を要する状況にあった。

決断

首位企業の一括取得

こうした状況を受け、2007年12月にリクルートは業界1位のスタッフサービスHDを買収する決断を下した。既存のリクルートスタッフィングと合わせることで、規模・拠点網・顧客基盤を同時に拡充し、派遣市場における競争地位を一気に引き上げる狙いであった。 自前主義ではなく、外部企業の取得によって順位を逆転させる戦略である。派遣業は登録スタッフ数と取引社数の量的確保が競争力を左右する市場であり、首位企業の買収は時間を買う施策でもあった。情報誌中心の企業像から総合人材企業への転換を明確にする一手となった。

結果

環境急変と統合課題

しかし、買収直後の2008年にリーマンショックが発生し、企業の雇用抑制が急速に進んだ。国内では派遣契約の終了が相次ぎ、派遣各社の業績は大きく悪化した。リクルートの派遣2社においても売上減少が顕在化し、拡大前提で描いた成長シナリオは修正を迫られた。 結果として、人員削減や拠点見直しなどの体制再構築を進めることとなり、買収は前途多難なスタートとなった。ただし、規模統合による基盤強化は残り、長期的には人材事業をグループの中核へ押し上げる契機ともなった。