フリーマガジン「R25」を創刊
男性向け無料誌の構想
2004年、リクルートは社内新規事業制度を通じて、25歳以上の都心勤務男性を対象とした無料情報誌「R25」を企画した。ホットペッパーが女性向け生活情報で成功していた一方、男性ビジネス層に特化した無料媒体は未成熟であり、広告市場の新領域を開拓できる余地があると判断したためである。誌面は編集記事を厚くし、読み物としての価値を高める設計とした。
当時は紙媒体広告が依然として有効であり、都市部の通勤導線を押さえれば大量接触が可能であった。そこで、駅ラックを中心とする配布モデルを前提に、一定規模以上でなければ広告媒体として成立しないとの認識のもと、創刊段階から大規模発行を志向した。
創刊直後から50万部へ拡大
2004年3月、R25は都内中心に20万部でプレ創刊された。そしてわずか4か月後の同年7月には、首都圏全域で50万部体制へ拡大する決断を下した。段階的検証ではなく、初期段階から規模を取りにいく判断であり、広告主に対して“都市型大規模媒体”としての存在感を示す狙いがあった。
配布場所は主要駅の通勤動線を中心に確保し、働く男性への高頻度接触を実現した。無料かつ高品質な誌面設計により発行部数は一時60万部規模まで拡大し、首都圏ビジネス層向け媒体として一定の認知を獲得した。
紙モデルの限界と売却
しかし広告主は大企業中心であり、高単価モデルの維持は容易ではなかった。2005年には電通と合弁でMedia Shakersを設立し営業力を補完したが、コミッション負担が収益を圧迫した。加えてスマートフォンの普及により、通勤時間の情報接触は紙からデジタルへ急速に移行した。
2014年に発行部数を縮小、2015年に紙媒体を休止しWebへ転換したものの、競争は激化していた。最終的に2017年、R25事業はサイバーエージェントへ売却され、紙無料誌モデルではなく、1つのブランドとして継承されることになった。