重要な意思決定
202311月

オートモーティブシステムの売却公表

背景

EV電池6000億円投資と車載事業の選択と集中

2023年5月、パナソニックホールディングスはEV向け電池事業に約6000億円を投資する方針を公表した。車載領域では電池を中核と位置づけ、それ以外の車載関連事業は資本効率と成長性を踏まえて再編する方針を明確にした。2023年3月期の連結売上高は8兆3,789億円、当期純利益は2,655億円と全社では黒字を確保していたが、事業ごとの収益力の差は顕在化していた。

パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)は売上高約1.4兆円規模を有していたが、収益性は低位にとどまり単体では損失を計上していた。競争が激化する車載部品市場で追加投資を続けるか、それとも資源を電池事業に集中するか。事業会社制への移行により事業別損益が可視化されたことで、売却の判断が経営の俎上に載りやすくなっていた。

決断

売上1.4兆円の事業をアポロに売却

2023年11月、パナソニックHDはPASの株式譲渡についてApollo Global Managementが投資助言するファンドとの基本合意を公表した。2024年3月には株式譲渡契約を締結し、企業価値約3,000億円規模での売却が決定した。売却額は簿価を下回り、約500億円規模の損失計上が見込まれた。

事業会社制に移行してからわずか1年半での大型売却であり、持株会社制のもとで不採算事業を切り出す仕組みが実際に機能した最初の事例となった。売上1.4兆円規模の事業を手放す判断は短期的には特別損失を伴うが、電池事業への6000億円投資の原資確保という実利と併せて評価される決断であった。