重要な意思決定
2019

南アフリカPJで三菱重工と和解・火力発電から撤退

背景

日立が受注した南アフリカの火力発電PJで工期遅延と損失が発生

南アフリカにおける火力発電所の新設プロジェクトは、もともと日立製作所が約5700億円で受注した案件であった。2014年に三菱重工と設立した合弁会社・三菱日立パワーシステム(三菱重工65%・日立35%)が事業を引き継いだが、工期の遅延と予算超過が発生して賠償責任が生じた。損失負担をめぐり三菱重工と日立製作所が対立し、三菱重工は2017年7月に約7700億円の支払を求めて日本商事仲裁協会に申立を行った。

三菱重工の主張は、もともと日立が単独で受注した案件である以上、プロジェクトの損失は全て日立が負担すべきというものであった。合弁会社の設立時に受注責任の所在が明確に整理されていなかったことが、パートナー間の紛争に発展する要因となった。請求額の7700億円は当初の受注額5700億円を上回る規模であり、仲裁の帰結は日立の財務に重大な影響を及ぼすものであった。

決断

和解損失3759億円を計上し合弁株式を三菱重工に譲渡

2019年に三菱重工と日立製作所の間で和解が成立した。日立製作所は和解に伴う損失として3759億円を計上し、合弁会社・三菱日立パワーシステムの保有株式を三菱重工に譲渡した。これにより日立は火力発電の合弁事業から完全に撤退し、2014年に開始した三菱重工との合弁に終止符を打った。

この和解は日立にとって財務上の打撃であると同時に、火力発電事業からの完全撤退を意味した。もともと日立が出資比率35%で参画していた合弁を、パートナーとの紛争を経て株式譲渡で解消するという結末は、合弁事業における受注責任の帰属が曖昧であった構造上の問題を露呈している。日立は祖業の一つであった発電事業の一角から手を引く形となった。