重要な意思決定
201912月

基幹システムの刷新開始

背景

6事業領域で異なるシステムが併存しIT投資でコマツに後れ

クボタは6つの事業領域を展開していたが、各事業領域で異なる基幹システムを個別に運用しており、全社横断的な経営情報の統合が課題となっていた。建機で競合するコマツは2000年代以降、建機の稼働率モニタリングなどITを活用した事業展開を本格化させていたのに対し、クボタはIT投資で出遅れていた。社内では「コマツとは20年遅れている」との認識が共有されていた。

こうした状況を受けて、2019年12月から2026年12月までの7ヵ年にわたる基幹システム刷新プロジェクトの始動を決定した。2020年3月にはSAP(SAP S/4HANAの導入)およびマイクロソフト(Microsoft Azureの活用)と提携し、SAPからの紹介により日本IBMが支援パートナーとなる体制を構築した。投資予定額は2026年までに370億円を見込んだ。

決断

370億円・7ヵ年を投じた全社システム統合基盤の構築

投資規模370億円は、人月単価100万円で換算すると約3.7万人月に相当する。7ヵ年の累計約84ヵ月で除すると、月平均400名前後の外部人員が更新作業に従事する規模の大型プロジェクトと推定される。6つの事業領域にまたがるシステムの統合であるため、各領域にチームを配置する必要があり、プロジェクト管理の複雑性は通常のシステム刷新を上回るものであった。

クボタにとって基幹システムの刷新は、事業領域ごとに分断されてきた経営情報の統合を意味した。コマツが先行して構築したIT基盤との格差を認識したうえで、段階的な更新ではなく7ヵ年の一括刷新を選択した判断は、約20年分の遅れを一気に取り戻す投資として設計されたものであった。SAP S/4HANAとMicrosoft Azureという2つのグローバル標準を採用した点に、自前開発ではなく外部プラットフォームに依拠する方針が表れている。