重要な意思決定
19272月

隅田川精鉄所を買収

背景

鋳鉄管シェア2位の隅田川精鉄所を85万円で買収

鋳鉄管の国内シェア2位であった隅田川精鉄所(東京都向島区寺島・従業員数600名)の買収を85万円で決定した。1926年頃の鋳鉄管シェアは、1位クボタ42%・2位栗本鐵工所27%・3位隅田川精鉄所16%・4位釜石鉱山15%であり、買収によってクボタのシェアは50%を超えた。

隅田川精鉄所はストライキや品質不良により経営難に陥っており、売却の背景となっていた。工場が位置する寺島町は左翼勢力の影響が強い地域であり、3回のストライキを経て従業員の勤労意欲は低く、生産性が大幅に低下した状態にあった。クボタはこの経営難の企業を、再建を前提として買収する判断を下した。

決断

36歳の小田原大造氏を派遣して隅田川精鉄所の経営再建を完遂

再建にはクボタから小田原大造氏(当時36歳)が派遣された。小田原氏は着任時、工場の惨状が予想をはるかに上回っていたと述べている。まず不良品在庫の処理に着手し、従業員に対しては再建後の給料引き上げを保証するなど、具体的な利益を提示して協力を取り付けた。加えて、能率改善によって得られた収益を即日支給するなどの施策でリーダーシップを発揮した。

小田原氏の手腕により、隅田川精鉄所の生産性はクボタの尼崎工場に匹敵する水準にまで回復した。1930年には4位の釜石鉱山が鋳鉄管製造から撤退したため、1930年代以降の鋳鉄管の国内シェアは「クボタ69%・栗本鐵工所31%」で長期にわたって固定化されるに至った。なお、小田原氏はこの再建での実績を経て、のちにクボタの社長に就任している。