米Goodmanを買収
グッドマンの買収交渉
北米において住宅向け空調でトップシェア(約25%・台数ベース)を持つグッドマン社について、ダイキンは同社の買収検討を開始。2011年頃からグッドマン社の大株主であるPEファンド(Hellman & Friedman)と買収交渉を開始した。当初は2011年1月にダイキンは買収計画を公表し、買収規模は42億ドルが程度と噂されていた。 ところが、2010年3月に発生した東日本大震災への対応に集中するために、ダイキンはグッドマン社の買収交渉を一度停止した。その後、2012年からグッドマン社からの要請で買収交渉を再開したが、一度中断した交渉の再開という形であり、信頼関係の再構築に苦労したと言われている。
グッドマン社の買収決定
2012年8月にダイキンは米グッドマン社の買収を決定。グッドマンの買収による業績影響は、売上高1595億円・営業利益212億円であり、同社は高収益企業であった。買収価格は37億ドル(2960億円)であり、ダイキンとしては過去最大額を投じた買収を決断した。買収による投資回収に至る金は「8年」と設定した。 ダイキンの狙いは北米市場におけるエアコンのシェア確保であった。1990年代までにダイキンは北米進出を試みたものの、販路構築に苦戦して撤退した経緯があった。これは、北米市場における空調設備は「ダクト方式」であり、住宅設備向けの販路をダイキンが確保できなかったことが原因であった。ダイキンは2006年のOYL社の買収によって、北米事業をマッケイ社を通じて運営したが、売上規模は約700億円でシェアは限定的であった。 そこで、北米の有力メーカーであるグッドマンの買収により、全米6万店のディーラーを掌握することで、市場シェアを確保する狙いがあった。
売上拡大の一方で収益性が低迷
ダイキン買収後のグッドマンの経営は苦戦した。FY2015からFY2018の4期連続で経常赤字に転落するなど、低収益の状況に陥った。 買収から約8年が経過したFY2020の時点でグッドマン社は売上高4465億円・経常赤字61億円となり、増収は果たしたものの、収益性の面で課題を残した。このため買収にかかった約3000億円の投資回収は困難を極めていると推察される。
ダイキンの北米市場攻略は、1990年代の自力進出失敗→2006年OYL社買収(シェア限定的)→2012年グッドマン買収という三段階で進んだ。北米特有のダクト方式と住宅設備販路の壁を、全米6万店のディーラー網を持つグッドマンの買収で一挙に突破する狙いだった。しかし買収後は4期連続経常赤字に陥り、投資回収期限の8年を経過してもFY2020時点で赤字が継続した。中国・欧州では成功した参入手法が北米では通用しなかった事実は、市場構造の違いが買収後統合の成否を分けることを示した。