重要な意思決定
199911月

欧州での製造販売に本格投資・買収で販売網を形成

背景

ベルギー法人設立から25年を経た欧州への本格参入

ダイキンは1973年にベルギーに現地法人を設立し欧州への足掛かりを築いていたが、長年にわたって本格的な事業展開には至っていなかった。1990年代後半に入り、ダイキンはグローバル戦略の一環として欧州市場での販売強化を経営方針に掲げ、1998年から本格的な投資を開始した。中国市場では1995年から直売代理店の自前構築によって参入していたが、欧州では異なるアプローチが求められた。

欧州市場の特性は、国ごとに気候条件や商習慣が大きく異なる点にあった。地中海沿岸の南欧では冷房需要が高い一方、北欧ではヒートポンプ暖房の需要が見込まれるなど、画一的な販売戦略が通用しない市場構造であった。加えて、各国の建築様式や流通慣行も異なるため、販売ノウハウをゼロから蓄積するには相当の時間を要する。この時間的コストを回避する手段として、ダイキンは既存の現地販売会社を買収する方式を選択した。

決断

現地販売会社の買収により6年で7カ国に展開

1998年のドイツを皮切りに、ダイキンは欧州各国で現地の販売会社を買収する形で拠点を展開した。2000年にスペイン、2001年にポーランド、2002年にイタリア、2003年にギリシアとイギリス、2004年にポルトガルと、6年間で7カ国に販売拠点を設けた。各国の気候やニーズに関する知見を持つ既存代理店を取得することで、販売網構築の時間を圧縮する狙いがあった。

拠点展開は南欧を優先する方針で進められた。空調需要が気温に依存する構造上、温暖な地中海周辺の市場が先行投資の対象として合理的であった。加えて、地球温暖化による気温上昇が欧州全域の冷房需要を構造的に押し上げる追い風となった。2003年にはチェコに製造拠点を新設して欧州での現地生産を開始し、販売だけでなく製造までを含めた欧州事業の基盤を構築した。