重要な意思決定
2009

人員削減を実施・国内工場の閉鎖へ

背景

エレクトロニクス事業の低迷が生んだ構造的な人員過剰

リーマンショック後の世界的な景気後退と円高の進行により、ソニーのエレクトロニクス事業は急速に収益性を悪化させた。テレビ事業は液晶パネルの価格競争に巻き込まれ、ブラウン管時代に構築した国内の生産体制は過剰設備と化していた。2008年3月期末時点でソニーの連結従業員数は約18万名に達していたが、事業構造の転換に伴い大規模な人員調整が不可避の状況であった。

2008年度から2014年度にかけて、ソニーは全社的な人員削減を推進した。希望退職の募集や事業売却を通じて、2015年3月期末時点の従業員数は約13.1万名となり、7年間で約5万名が減少した。この削減規模は日本の電機メーカーの中でも大きく、ソニーの事業構造が根本的に変質しつつあることを示していた。

決断

国内主力工場の段階的閉鎖と地域経済への波及

人員削減と並行して、国内工場の閉鎖が段階的に進められた。2009年にはブラウン管テレビの製造拠点であった一宮テックを閉鎖し、2013年には岐阜県の美濃加茂工場の閉鎖を決定した。美濃加茂工場では正社員840名に対して配置転換や希望退職の措置が取られたが、派遣社員・非正規雇用者約1600名は契約終了となった。

美濃加茂市には大規模な雇用を吸収できる事業所が他になく、工場閉鎖は地域経済に打撃を与えた。国内工場の閉鎖はその後も継続し、2023年には業務用ビデオの生産拠点であった湖西サイト(静岡県)の閉鎖が決定されている。ソニーの製造拠点の縮小は、エレクトロニクスの量産型製造業からエンタテインメント・半導体へと事業の重心が移行する過程を映し出している。