重要な意思決定
町田勝彦氏が社長就任・液晶テレビ宣言
背景
次世代テレビの規格争いの中で液晶への一点集中を宣言
1998年、町田勝彦がシャープの社長に就任した。就任と同時に「2005年までに国内で生産するテレビ全製品に液晶を採用する」という経営方針を打ち出し、ブラウン管テレビからの全面撤退と液晶テレビへの集中投資を宣言した。当時、次世代テレビの規格としては有機EL、プラズマ、液晶の3方式が競合しており、業界内でもどの方式が主流になるかは定まっていなかった。
液晶テレビの大型化は技術的に未解決の課題が多く、発表時点では実現可能性すら不透明であった。シャープの社内でも当惑する声があったとされる。他社が複数の方式に分散投資する中で、液晶への一点集中を打ち出した判断は、シャープが半導体と液晶デバイスの内製化で蓄積してきた技術基盤に賭けるものであった。
決断
「AQUOS」ブランドで液晶テレビ市場を先行開拓
2001年、シャープは本格的な液晶テレビとして「AQUOS」ブランドの展開を開始した。20V型、15V型、13V型の3サイズを投入し、ブラウン管テレビに代わる薄型テレビとしての市場を開拓した。社内では「液晶ビッグバン戦略」を策定し、量販店における販促活動を強化して液晶テレビの普及を推し進めた。
液晶テレビ宣言からAQUOS発売までの3年間で、シャープは液晶パネルの大型化と量産技術の確立に集中的に投資した。先行参入によるブランドの確立と市場シェアの獲得は、シャープがラジオ、テレビで繰り返してきた事業パターンの再現であった。ただし、この先行投資戦略が後に巨額の設備投資負担と市場環境の変化によって経営危機を招くことになるのは、この時点では想定されていなかった。