重要な意思決定
20173月

併用型ゲーム機「Nintendo Switch」を発売

背景

携帯機と据置機の分断が限界に到達

2010年代半ば、任天堂は携帯型ゲーム機と据置型ゲーム機を並行して展開していたが、両市場ともに課題を抱えていた。携帯機ではニンテンドー3DSが一定の販売実績を上げていたものの、スマートフォン向けゲームの普及により成長余地は縮小していた。一方、据置機のWii Uは、ソフト投入の遅れや製品価値の訴求不足によって販売が伸び悩み、後継機としての役割を十分に果たせていなかった。

この結果、任天堂は「携帯用」「テレビ用」という従来のゲーム機区分そのものが、ユーザーの利用実態と乖離しつつあるという状況に直面していた。家庭内と外出先を横断して同一のゲーム体験を提供できない構造は、ハードウェアの開発効率やソフト資産の活用面でも制約となっており、事業構造の再設計が求められていた。

決断

併用型ゲーム機Nintendo Switchを投入

2017年3月、任天堂は併用型ゲーム機「Nintendo Switch」を発売した。Switchは本体をドックに接続することでテレビ出力が可能であり、取り外せば携帯ゲーム機として利用できる構造を採用した。これにより、従来別系統であった携帯機と据置機の境界を取り払い、単一プラットフォームに集約する方針を明確にした。

Nintendo Switchは、3DSおよびWii Uの実質的な後継機として位置付けられ、希望小売価格は約33,000円に設定された。発売と同時に、プラットフォームの魅力を示すため、任天堂は有力な自社タイトルを計画的に投入する体制を整え、ハードとソフトを一体で立ち上げる戦略を採用した。

結果

ヒット作連鎖で業績回復へ転換

Nintendo Switchは、発売直後から有力タイトルの投入によって市場での存在感を高めた。2017年中には「ゼルダの伝説」「スプラトゥーン2」「スーパーマリオ オデッセイ」などの主要タイトルが相次いで発売され、ハード販売は堅調に推移した。その結果、2018年3月期には8期連続減収に終止符が打たれ、売上高は前年度比で大幅に増加した。

さらに2020年3月には「あつまれ どうぶつの森」が発売され、コロナ禍による室内娯楽需要の拡大と相まって大きな販売増につながった。これによりSwitchの累計販売台数は継続的に伸長し、2021年には有機ELモデルも投入された。Nintendo Switchは、長期低迷期にあった任天堂の業績を回復局面へ転換させる中核製品として位置付けられることとなった。