重要な意思決定
2006

家庭用TVゲーム機「Wii」を発売

背景

家庭用ゲーム機市場の変化

2000年代半ば、家庭用ゲーム機市場では高性能化を軸とした競争が進み、操作の複雑化や価格上昇が進行していた。一方で、ゲーム人口は必ずしも拡大しておらず、家庭内でゲームを楽しむ層と、それ以外の層との分断が生じていた。高性能機は一部の熱心なユーザーに支持される一方、家族全員で楽しむ娯楽としての位置付けは弱まりつつあった。

任天堂は、携帯ゲーム機ではニンテンドーDSを通じて利用者層の拡張に一定の成果を上げていたが、据置型ゲーム機では同様の広がりを実現できていなかった。このため、処理性能の競争から距離を置き、家庭内での利用シーンそのものを再定義する必要があるとの問題意識が形成されていた。

決断

2006年にWiiを発売

2006年、任天堂は家庭用テレビゲーム機「Wii」を発売した。Wiiは直感的な操作を可能とする専用コントローラーを採用し、ゲーム経験の有無にかかわらず参加できることを重視した設計であった。任天堂はファミリー層を主要な利用者として想定し、「Wii Sports」など、ハードウェアの特性を活かした自社ソフトと同時に市場投入した。

この方針により、Wiiは個人向けの高性能機とは異なるポジションを確立した。家庭内で複数人が同時に楽しむ利用シーンを前提としたことで、ゲームを日常的に遊ばない層にも訴求する構造を持っていた。任天堂はWiiを通じて、据置型ゲーム機においても利用者層の拡張を狙った。

結果

Wiiの成功とWii Uの苦戦

Wiiはファミリー層を中心に支持を獲得し、発売後から販売を伸ばした。2009年までに累計販売台数は5,000万台に達し、同時期のニンテンドーDSと並んで任天堂の業績を牽引する主力製品となった。2009年度においては、携帯機と据置機の双方でヒット商品を持つ構造が形成されていた。

一方、2012年12月に発売された後継機「Wii U」は、Wiiの成功を引き継ぐことができなかった。自社の有力ソフト投入が想定より遅れたことで、プラットフォームの勢いを維持できず、さらに「Wii」と「Wii U」の違いが十分に伝わらなかった。結果として、Wii Uは販売面で苦戦し、Wiiの販売減少を補うには至らず、2012年以降の業績悪化要因の一つとなった。