携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売
ゲームボーイ後継機を巡る転換点
2000年代初頭、任天堂の携帯ゲーム機事業は「ゲームボーイ」シリーズによって長期的な成功を収めていた。ゲームボーイアドバンスも一定の販売実績を上げていたが、携帯ゲーム機市場では性能向上や高精細化を軸とした競争が進みつつあり、従来型の延長線上にある後継機だけでは差別化が難しくなっていた。
また、携帯電話や携帯型電子機器の普及により、娯楽の選択肢は多様化していた。携帯ゲーム機は子供向け娯楽という位置付けが強く、需要層の拡大が課題となっていた。このため任天堂は、従来のゲーム体験とは異なる軸で新しい需要を喚起する必要に迫られていた。
2004年にニンテンドーDSを発売
2004年12月、任天堂は携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売した。DSは二つの画面を備え、そのうち一つにタッチ操作を採用するという、従来の携帯ゲーム機とは異なる構成を特徴としていた。これは処理性能の競争ではなく、操作性と体験の変化によって新しい遊び方を提示する狙いに基づくものであった。
発売当初、ニンテンドーDSは一定の注目を集めたものの、直後から爆発的なヒットに至ったわけではなかった。任天堂は、従来のゲームユーザーに限定されない利用シーンを想定し、ソフトウェア開発を進める方針を継続した。ハードウェアと同時に、操作特性を生かした新ジャンルのソフト投入を前提とした展開であった。
年齢層拡大と携帯機の長期ヒット
2005年5月に発売された「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、ニンテンドーDSの位置付けを大きく変える契機となった。従来は子供中心であった携帯ゲーム機の利用層が、このタイトルを通じて大人や高齢者へと広がり、DSの需要は急速に拡大した。
その後、ニンテンドーDSは改良機種であるDSiの投入などを経て販売を伸ばし、2009年には累計販売台数が1億台を突破した。一方で、2011年に発売された後継機「ニンテンドー3DS」は、立体視という新要素を打ち出したものの、DS期に見られたような決定的ヒットソフトに恵まれず、販売規模は前世代を下回った。DSは携帯ゲーム機における需要層拡張の象徴的な事例として位置付けられることとなった。