ポケモン株式会社を共同設立
携帯ゲーム機市場の成熟と停滞懸念
1990年代半ば、任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」は長期にわたり市場を牽引してきたが、発売から時間が経過し、ハードウェアとしての新規性は低下していた。携帯ゲーム機市場では、ハードの性能向上や次世代機への移行が意識される段階に入り、既存機種の販売持続性が課題となっていた。
また、ゲームボーイは子供向け娯楽として定着していたものの、利用シーンや遊び方は固定化しつつあり、新たな需要を喚起できなければ販売台数は頭打ちになる可能性があった。1990年代半ばの時点で、任天堂にとってゲームボーイ事業は依然として重要である一方、成長を継続できるかどうかは不透明な状況にあった。
ポケットモンスターを軸に展開を拡張
1996年、任天堂はゲームボーイ向けソフトとして「ポケットモンスター(赤・緑)」を発売した。続いて同年に「ポケットモンスター(青)」を投入し、ゲームソフトとしての展開を強化した。ポケットモンスターは通信機能を活用した対戦・交換要素を備え、従来の携帯ゲームとは異なる遊び方を提示した。
その後、1996年にはポケモンカードの販売を開始し、1997年にはテレビアニメの放映を開始するなど、ゲームの枠を超えたメディア展開が進められた。1997年には需要増加を受けてゲームボーイの増産を決定し、1998年には「ポケットモンスター(ピカチュウ)」を発売した。さらに同年、ポケモン関連事業を統合管理するため、ポケモンセンター株式会社(現・株式会社ポケモン)を共同設立し、任天堂は約32%を出資した。
ゲームボーイの販売回復と長期化
ポケットモンスターの展開は、ゲームボーイの販売動向に大きな影響を与えた。1998年には映画「ミュウツーの逆襲」が公開され、1999年には「ポケットモンスター(金・銀)」を発売するなど、継続的な話題創出によって需要が維持された。これにより、発売から年数が経過していたゲームボーイは再び市場で存在感を高めた。
2000年にはゲームボーイの販売が好調に推移し、累計販売台数は1億台を突破した。携帯ゲーム機として異例の長寿命化を実現した背景には、ハードウェア更新ではなく、ソフトウェアとキャラクター展開によって需要を喚起した点があった。2001年には後継機である「ゲームボーイアドバンス」が発売され、ゲームボーイ事業は次世代機への円滑な移行局面を迎えることとなった。