2006 年3月

財務状況が悪化・疑義注記を記載

歴史的意義
全方位投資の帰結としての継続企業の疑義注記

三洋電機の経営危機は単一事業の失敗ではなく、液晶・太陽電池・二次電池・半導体・デジカメという複数の巨額投資事業が同時に競争劣位に陥った構造的な問題であった。液晶だけで2000億円を投じながらシャープや韓国勢に押され、半導体は新潟県中越地震で被災するという不運も重なった。FY2005に特別損失3039億円を計上して自己資本比率が18.7%まで低下し、監査法人がゴーイングコンサーン注記を付す事態に至った。経営資源の全方位分散は、個別技術では優れていても事業規模で勝てないという三洋電機の宿命的な課題を露呈した。

背景

全方位の巨額設備投資が競争劣位を招き財務状況が悪化

2002年ごろから三洋電機の主力事業を取り巻く競争環境が一斉に悪化した。液晶ではシャープや韓国メーカー、二次電池ではソニーやパナソニック、白物家電では中国メーカー、デジタルカメラでは各社による熾烈な価格下落が進行し、三洋電機の事業全般が行き詰まった。いずれも巨額の設備投資を要するビジネスであり、全方位に経営資源が分散した三洋電機は各事業で競争劣位に陥った。

特に液晶では総額2000億円を投じながらシャープとの競争に押され、投資の回収が困難となった。加えてこれらの設備投資を銀行借入で賄っていたことから財務状況も急速に悪化し、2004年度の自己資本比率は11%にまで低下した。

決断

特別損失3039億円の計上により継続企業の疑義注記に至る

2005年度に三洋電機は当期純利益▲2056億円を計上した。特別損失3039億円の主な内訳は、関係会社株式評価損1498億円、構造改革費用825億円、減損損失421億円(うち半導体事業向け272億円)、関係会社損失引当金繰入175億円、固定資産処分損53億円であった。

これらの損失計上によって自己資本比率は18.7%に低下した。監査法人は三洋電機の経営上のリスクを総合的に勘案し、有価証券報告書において「継続企業の前提に関する注記」を記載するに至った。全方位に投資を展開しながらいずれの事業でも競争優位を確立できなかったことが、三洋電機の財務危機の構造的な要因であった。