重要な意思決定
二次電池に傾斜投資を開始
背景
家電市場の成熟に伴い収益拡大の活路として二次電池に着目
1980年代後半、家電市場は成熟化と価格競争の激化に直面し、従来のAV機器や白物家電だけでは収益拡大が困難になっていた。三洋電機は成長性と収益性を兼ね備えた分野として二次電池事業に着目し、1990年ごろからソフトエナジー事業本部を軸に設備投資を積極化した。日経ビジネス(1992年8月3日号)は、電池事業が三洋電機の「利益の大黒柱」に育ちつつあると報じている。
家電メーカーとしての従来の収益構造に限界が見えつつある中で、携帯電話やノートパソコンの普及を追い風にリチウムイオン電池やニッケル水素電池の需要拡大が見込まれた。二次電池は三洋電機が技術蓄積を有する分野であり、経営資源を集中させる判断が下された。
決断
淡路島の洲本工場を拠点に累計660億円の傾斜投資を断行
拠点である淡路島・洲本工場を中心に、三洋電機は数年間で累計660億円を投じて生産能力の拡張と専用設備の整備を進めた。1991年度の電池事業は利益ベースで80億円から100億円を確保し、全社利益の約80%を占めるまでに成長した。家電事業の収益力が低下する中、二次電池への傾斜投資は三洋電機の収益構造を電池中心へと転換させる分岐点となった。
ただし全社利益の大部分を単一の事業領域に依存する構造は、経営上のリスクを内包するものでもあった。二次電池の市場ではソニーやパナソニックといった競合も投資を拡大しており、三洋電機が技術面の優位を維持するにはさらなる設備投資と研究開発の継続が不可欠であった。