重要な意思決定
19996月

東邦レーヨンに資本参加

背景

炭素繊維分野での出遅れと技術取得の必要性

1990年代後半、帝人は高機能素材として注目されていた炭素繊維分野で、東レに後れを取っていた。航空機用途を中心に需要拡大が見込まれる中、既存の繊維事業とは異なる成長領域として炭素繊維は事業ポートフォリオ上の課題として認識されていた。一方で、ゼロからの新規立ち上げには設備投資、顧客開拓、技術蓄積の面で時間と投下資本を要する状況であった。

この時点で東邦レーヨンは、日清紡績の子会社として炭素繊維の生産と技術を見据えた事業基盤を保有していた。帝人にとっては、自社単独での研究開発よりも、既存プレイヤーへの資本参加を通じて生産設備と技術を同時に取得する選択肢が現実的な対応として整理されていた。

決断

段階的な資本参加から完全子会社化による炭素繊維事業の獲得

1999年6月、帝人は日清紡績から株式を取得し東邦レーヨンに資本参加した。目的は炭素繊維の生産能力と技術の獲得であり、東レとの差を短期間で縮める意図があった。2000年2月には株式の過半数を取得し、2001年7月には社名を東邦テナックスに変更して炭素繊維事業を中核に位置付けた。

2006年には三島事業所および米国拠点で合計200億円超の設備投資を実施し、生産能力の拡張を進めた。2007年8月には382億円で完全子会社化し、事業の一体運営に移行した。ただし、事業拡大に伴う投下資本は大きく、2013年には炭素繊維関連ののれんを中心に294億円の減損損失を計上する結果となった。