帝人の沿革・歴史的証言

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1918年〜2025

帝人の1918年〜2025年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言

年度売上高純利益年月区分出来事歴史的意義
1918
1-12月
帝国人絹を設立
商社が研究者を支援し事業化した人造絹糸の国産化モデル
1926
1-12月
広島工場を新設
試験生産から量産体制への移行を決定づけた岩国工場の設計思想
1927
1-12月
鈴木商店から独立
親会社倒産が生んだ独立企業への転換という逆説的な契機
1934
1-12月
三原工場の新設
1945
1-12月
大屋晋三氏が社長就任
終戦直後の1945年に大屋晋三が帝人の社長に就任した。以後、1980年に逝去するまで社長を歴任
1947
1-12月
組織再編
帝人化成を設立
高分子化学・樹脂事業の母体となる帝人化成株式会社を設立した。1960年にはポリカーボネート樹脂の生産を開始し、後年の素材事業拡大の起点となった。
1949
1-12月
株式上場
東京・大阪・名古屋証券取引所に上場
戦後の取引所再開に合わせて東京・大阪・名古屋の各証券取引所に株式を上場した。鈴木商店からの独立後の資本市場アクセスを実現した。
FY52
1952/3
売上高
153億円
当期純利益
31.6億円
FY53
1953/3
売上高
128億円
当期純利益
12.4億円
FY54
1954/3
売上高
147億円
当期純利益
23.9億円
FY55
1955/3
売上高
152億円
当期純利益
18.2億円
FY56
1956/3
売上高
161億円
当期純利益
19.8億円
アセテートに参入
競合回避の素材選択がかえって成長機会を逃した技術路線の誤算
FY57
1957/3
売上高
203億円
当期純利益
29.8億円
業務提携
ポリエステルに参入
ナイロンの後発経験がポリエステルの共同参入設計を導いた構図
FY58
1958/3
売上高
198億円
当期純利益
11.6億円
FY59
1959/3
売上高
201億円
当期純利益
1.6億円
FY60
1960/3
売上高
332億円
当期純利益
13.4億円
FY61
1961/3
売上高
574億円
当期純利益
28.1億円
FY62
1962/3
売上高
814億円
当期純利益
35.1億円
FY63
1963/3
売上高
1,000億円
当期純利益
47.3億円
業務提携
ナイロンに参入
10年遅れの後発参入と複数社の同時参入が招いた過当供給の構造
帝人に商号変更
FY64
1964/3
売上高
1,189億円
当期純利益
43.4億円
FY65
1965/3
売上高
1,337億円
当期純利益
36.1億円
FY66
1966/3
売上高
1,421億円
当期純利益
31.8億円
FY67
1967/3
売上高
1,514億円
当期純利益
40.8億円
FY68
1968/3
売上高
1,513億円
当期純利益
55.9億円
タイに現地法人を新設
組織再編
未来事業本部を発足
50超の新規事業を生み創薬だけを残した未来事業本部の顛末
FY69
1969/3
売上高
1,669億円
当期純利益
68.1億円
徳山工場を新設
FY70
1970/3
売上高
1,975億円
当期純利益
85.5億円
FY71
1971/3
売上高
2,147億円
当期純利益
92.3億円
愛媛工場を新設
FY72
1972/3
売上高
2,136億円
当期純利益
30.7億円
岐阜工場を新設
メタ系アラミド繊維「コーネックス」生産開始
岩国工場でメタ系アラミド繊維「コーネックス」の生産を開始した。1994年にはパラ系アラミド「テクノーラ」も松山工場で生産開始し、後の2000年アコーディス社買収によるアラミド繊維事業のグローバル化の足場となった。
レーヨン生産から撤退
FY73
1973/3
売上高
2,170億円
当期純利益
54.2億円
FY74
1974/3
売上高
2,912億円
当期純利益
163億円
FY75
1975/3
売上高
3,252億円
当期純利益
80.1億円
FY76
1976/3
売上高
3,510億円
当期純利益
30.7億円
FY77
1977/3
売上高
3,495億円
当期純利益
25.9億円
FY78
1978/3
売上高
3,461億円
当期純利益
4億円
事業売却
約2600名の人員削減
社員数の4分の1を半年で削減した繊維不況下の構造調整
FY79
1979/3
売上高
3,371億円
当期純利益
22.3億円
FY80
1980/3
売上高
4,033億円
当期純利益
72億円
新薬「ベニロン」を発売
帝人初の選択と集中
FY81
1981/3
売上高
4,491億円
当期純利益
60.2億円
FY82
1982/3
売上高
4,608億円
当期純利益
53.6億円
FY83
1983/3
売上高
4,127億円
当期純利益
71億円
FY84
1984/3
売上高
4,253億円
当期純利益
121億円
帝人システムテクノロジーを設立
FY85
1985/3
売上高
4,319億円
当期純利益
140億円
FY86
1986/3
宇都宮工場を新設
FY90
1990/3
岩国工場で医薬品の生産開始
FY92
1992/3
売上高
6,319億円
当期純利益
204億円
FY93
1993/3
売上高
6,184億円
当期純利益
120億円
FY94
1994/3
売上高
5,627億円
当期純利益
38億円
FY95
1995/3
売上高
5,667億円
当期純利益
20億円
FY96
1996/3
売上高
6,186億円
当期純利益
85億円
ナイロンをデュポン合弁に移管
FY97
1997/3
売上高
6,392億円
当期純利益
114億円
FY98
1998/3
売上高
6,081億円
当期純利益
98億円
FY99
1999/3
売上高
5,742億円
当期純利益
81億円
FY00
2000/3
売上高
6,042億円
当期純利益
71億円
ガバナンス改革
アドバイザリーボードを導入
PBR0.3倍が突きつけた経営評価不在という構造的課題への応答
企業買収
東邦レーヨンに資本参加
資本参加から完全子会社化まで8年を要した炭素繊維参入の投資設計
FY01
2001/3
売上高
7,614億円
当期純利益
160億円
企業買収
アコーディス社のアラミド繊維事業を買収
M&Aで世界シェア上位を一挙に獲得したアラミド繊維の参入設計
FY02
2002/3
売上高
9,234億円
親会社株主に帰属する当期純利益
9億円
フィルムをデュポン合弁に移管
FY03
2003/3
売上高
8,904億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-209億円
FY04
2004/3
売上高
8,745億円
親会社株主に帰属する当期純利益
84億円
杏林製薬の買収を撤回
株式統合比率で折り合いがつかず、買収を撤回へ
帝人製機をナブテスコに移管
FY05
2005/3
売上高
9,083億円
親会社株主に帰属する当期純利益
91億円
FY06
2006/3
売上高
9,380億円
当期純利益
248億円
FY07
2007/3
売上高
10,095億円
当期純利益
341億円
FY08
2008/3
売上高
10,366億円
当期純利益
126億円
FY09
2009/3
売上高
9,434億円
当期純利益
-429億円
FY10
2010/3
売上高
7,658億円
当期純利益
-356億円
FY11
2011/3
売上高
8,156億円
当期純利益
251億円
FY12
2012/3
売上高
8,543億円
親会社株主に帰属する当期純利益
119億円
痛風・高尿酸血症治療剤「フェブリク」を発売
研究者1名から始まった創薬が事業の収益柱に転化した構造
FY13
2013/3
売上高
7,457億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-291億円
FY14
2014/3
売上高
7,844億円
親会社株主に帰属する当期純利益
83億円
組織再編
持株会社体制へ移行
帝人本体を純粋持株会社へ移行し、新しいグループ体制を構築した。素材・ヘルスケア・繊維製品の3軸事業ポートフォリオを束ねるガバナンス枠組みとなり、2017年のCSP HD買収など以降の構造転換の前提となった。
FY15
2015/3
売上高
7,861億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-80億円
最終赤字に転落
電子材料・化成品(シンガポールおよび岐阜)を中心とした減損損失と、不採算事業撤退による構造改革費用により、巨額特損を計上
FY16
2016/3
売上高
7,907億円
親会社株主に帰属する当期純利益
310億円
FY17
2017/3
売上高
7,412億円
親会社株主に帰属する当期純利益
501億円
企業買収
米CSP HDを買収
素材メーカーが部品事業を買収して直面した現場運営の壁
FY18
2018/3
売上高
8,349億円
親会社株主に帰属する当期純利益
455億円
ポリエステルフィルムを事業譲渡
FY19
2019/3
売上高
8,885億円
親会社株主に帰属する当期純利益
450億円
FY20
2020/3
売上高
8,537億円
親会社株主に帰属する当期純利益
252億円
FY21
2021/3
売上高
8,365億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-66億円
FY22
2022/3
売上高
9,260億円
親会社株主に帰属する当期純利益
231億円
企業買収
武田薬品から4製品の販売権を買収
特許切れ補填のための1330億円という守りの大型投資
FY23
2023/3
売上高
10,187億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-176億円
FY24
2024/3
売上高
10,327億円
親会社株主に帰属する当期純利益
105億円
FY25
2025/3
売上高
10,496億円
親会社株主に帰属する当期純利益
78億円
  1. 帝国人絹を設立
    商社が研究者を支援し事業化した人造絹糸の国産化モデル
  2. 広島工場を新設
    試験生産から量産体制への移行を決定づけた岩国工場の設計思想
  3. 鈴木商店から独立
    親会社倒産が生んだ独立企業への転換という逆説的な契機
  4. 三原工場の新設
  5. 大屋晋三氏が社長就任

    終戦直後の1945年に大屋晋三が帝人の社長に就任した。以後、1980年に逝去するまで社長を歴任

  6. 組織再編
    帝人化成を設立

    高分子化学・樹脂事業の母体となる帝人化成株式会社を設立した。1960年にはポリカーボネート樹脂の生産を開始し、後年の素材事業拡大の起点となった。

  7. 株式上場
    東京・大阪・名古屋証券取引所に上場

    戦後の取引所再開に合わせて東京・大阪・名古屋の各証券取引所に株式を上場した。鈴木商店からの独立後の資本市場アクセスを実現した。

  8. アセテートに参入
    競合回避の素材選択がかえって成長機会を逃した技術路線の誤算
  9. 業務提携
    ポリエステルに参入
    ナイロンの後発経験がポリエステルの共同参入設計を導いた構図
  10. 業務提携
    ナイロンに参入
    10年遅れの後発参入と複数社の同時参入が招いた過当供給の構造
  11. 帝人に商号変更
  12. タイに現地法人を新設
  13. 組織再編
    未来事業本部を発足
    50超の新規事業を生み創薬だけを残した未来事業本部の顛末
  14. 徳山工場を新設
  15. 愛媛工場を新設
  16. 岐阜工場を新設
  17. メタ系アラミド繊維「コーネックス」生産開始

    岩国工場でメタ系アラミド繊維「コーネックス」の生産を開始した。1994年にはパラ系アラミド「テクノーラ」も松山工場で生産開始し、後の2000年アコーディス社買収によるアラミド繊維事業のグローバル化の足場となった。

  18. レーヨン生産から撤退
  19. 事業売却
    約2600名の人員削減
    社員数の4分の1を半年で削減した繊維不況下の構造調整
  20. 新薬「ベニロン」を発売
    帝人初の選択と集中
  21. 帝人システムテクノロジーを設立
  22. 宇都宮工場を新設
  23. 岩国工場で医薬品の生産開始
  24. ナイロンをデュポン合弁に移管
  25. ガバナンス改革
    アドバイザリーボードを導入
    PBR0.3倍が突きつけた経営評価不在という構造的課題への応答
  26. 企業買収
    東邦レーヨンに資本参加
    資本参加から完全子会社化まで8年を要した炭素繊維参入の投資設計
  27. 企業買収
    アコーディス社のアラミド繊維事業を買収
    M&Aで世界シェア上位を一挙に獲得したアラミド繊維の参入設計
  28. フィルムをデュポン合弁に移管
  29. 杏林製薬の買収を撤回

    株式統合比率で折り合いがつかず、買収を撤回へ

  30. 帝人製機をナブテスコに移管
  31. 痛風・高尿酸血症治療剤「フェブリク」を発売
    研究者1名から始まった創薬が事業の収益柱に転化した構造
  32. 組織再編
    持株会社体制へ移行

    帝人本体を純粋持株会社へ移行し、新しいグループ体制を構築した。素材・ヘルスケア・繊維製品の3軸事業ポートフォリオを束ねるガバナンス枠組みとなり、2017年のCSP HD買収など以降の構造転換の前提となった。

  33. 最終赤字に転落

    電子材料・化成品(シンガポールおよび岐阜)を中心とした減損損失と、不採算事業撤退による構造改革費用により、巨額特損を計上

  34. 企業買収
    米CSP HDを買収
    素材メーカーが部品事業を買収して直面した現場運営の壁
  35. ポリエステルフィルムを事業譲渡
  36. 企業買収
    武田薬品から4製品の販売権を買収
    特許切れ補填のための1330億円という守りの大型投資

歴史的証言

大屋晋三
1931年までは帝人の実質利益は、他の人絹会社すべてを合わせたものも凌いでいた
大屋晋三
能率の良い新鋭岩国工場があれば、旧式で能率の低い広島工場、むしろ原始的とさえいうべき米沢工場を併せ持っていた
大屋晋三
穏健にして常識的と目されたわが帝人は、はるかにその後塵を拝さねばならなくなった
大屋晋三
これがすなわち帝人が衰退した第一の原因である
大屋晋三
人絹ブームでもうけた利潤は、合繊に再投資されず、レジャーに再投資されていたのである
大屋晋三
そのころ、帝人では、ゴルフがうまくならないと、出世できないというので、上から下までゴルフに熱中した
大屋晋三
ポリエステル繊維先行を主張し、決定した。まさに、経営者としての重大責任である意思決定の厳粛なる決定的瞬間であった
大屋晋三
従来ぜんぜん手がけていなかったものを採り入れても、案外短時間に成功するポシビリティが出てきます
大屋晋三
単に繊維産業だけの範囲ではなく、なんでもいいから、我々の技術、経験から万能な範囲にある儲かるもの、資本効率のいいものを採り入れていこうとしているのです
大屋晋三
積極的な未来の可能性に挑戦するという、基本的態度がなければ、未来事業は成立し得ない
帝人経営陣
具体的な事業としては、向こう5年は医療、医薬関係を中心にしてやっていかなければならない。医薬は研究に着手して約10年になるが、研究開発費として膨大な資金を投じた
帝人経営陣
だからあれもこれもというわけにはいかない
大屋晋三
私は企業のトップ・マネージャーの座におる者は、たえず自分の座っている椅子の足を、誰かに、ノコギリで引かれているようなものだと思う

参考文献・出所

有価証券報告書
ダイヤモンド 1953/04
私の経営理念 1965
成功の秘訣 1963
経済人 1969/05
日経ビジネス 1980/10/20
日経産業新聞 1982/01/11
日経ビジネス 2017/06/19
ダイヤモンド・オンライン 2022/04
日経ビジネス 2022/06
日経ビジネス 2021/06
日経ESG 2024/10