沿革年表 1972〜2026年における重要度別の出来事(合計24件)

年月区分社長/CEO出来事年度売上高純利益
重要事項会社設立
滝崎武光氏がリード電機を創業
歴史的意義yutaka sugiura
キーエンスの創業期において最も特徴的な判断は、営業利益率20%超の祖業を利益率の差を理由に事業譲渡したことである。業績不振ではなく、センサー事業の営業利益率40%との比較で低いという理由で手放した。直販体制の採用と合わせて、創業から10年以内に「利益率の最大化」を経営の最上位基準に据える体制が確立された。2度の倒産を経た創業者が到達したこの原則が、以後50年にわたるキーエンスの高収益構造を規定している。
1972
1-12月
交流磁界センサに参入
歴史的意義yutaka sugiura
キーエンスのセンサー事業は、トヨタ自動車のプレス加工における金型保護という具体的な課題から始まった。標準品への特化によるコスト抑制と、顧客の費用対効果を基準とした価格設定の組み合わせが、高い営業利益率の源泉となった。数億円の金型破損を防ぐセンサーに対して8万5千円の価格設定が成立する構造は、原価積み上げではなく導入効果に基づく値付けの典型である。この価格構造の原型が1970年代に形成された。
1974
1-12月
リード電機株式会社を設立
光学センサーの販売を開始
1980
1-12月
センサに集中投資。切断機から事業撤退
1982年の時点でキーエンスの祖業であった「自動線材切断機」は営業利益率が20%(1989/5/22日経ビジネス)の高収益事業であったが。しかし、創業者の滝崎武光氏はセンサ事業(営業利益率40%)よりも収益性が低いことを理由に撤退を決断。また、顧客の一極集中によるリスクを防ぐために、当時、キーエンスの売上高の20%を占めていた某機械メーカーとの取引縮小を決断するなど、値下げ圧力を回避する方向にビジネスを変えた。
FY82
1982/3
売上高
9億円
電子部品業界向け光学センサの販売を開始
FY83
1983/3
本社を大阪府高槻市に移転
FY85
1985/3
売上高
42.25億円
当期純利益
7.57億円
クレポ株式会社を設立(製造子会社)
製造子会社としてクレボを設立し、全製品のうちノウハウが鍵を握る25%の製品を子会社で生産。残りの75%はファブレスとして協力会社に製造を委託した。キーエンスは製品開発・企画・販売に注力し、採算が悪化する受注生産はせずに、標準品を販売することで利益率の確保を目論んだ。なお、生産量の目安は月産50個〜1万個とレンジが広いが、他社比較で「より多く量産できる個数」を生産量として定義していた。
FY86
1986/3
売上高
60.88億円
当期純利益
10.73億円
半導体レーザーによるセンサの販売を開始
商号をキーエンスに変更
プログラマブルコントローラの販売を開始
FY87
1987/3
売上高
73.21億円
当期純利益
12.06億円
大阪証券取引所第2部に株式上場
歴史的意義yutaka sugiura
キーエンスの上場における資本政策は、大規模な資金調達と創業者の高い持分維持を両立させた点に特徴がある。上場時と2度の公募増資で計601億円を調達しつつ、滝崎家の持分を約45%に維持した。自己資本比率90%超の財務基盤と、株価上昇の恩恵を最大化する創業者持分の設計が、後にキーエンスの時価総額拡大と創業者の資産4.2兆円という結果を生んだ。上場時の資本設計が長期的な企業価値を規定した事例である。
FY88
1988/3
売上高
101.4億円
当期純利益
15.84億円
FY89
1989/3
売上高
146.6億円
当期純利益
27.84億円
重要事項組織再編
「利益率2割の事業も捨てた」——低採算事業を切り高付加価値へ集中する経営を確立
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FY90
1990/3
重要事項
営業利益を賞与で還元
キーエンスの給与体系は、営業利益の一部を社員に還元するルールとして創業3年目に設計された。基本給を抑え、業績連動賞与で報酬の大部分を支払う構造は、営業利益率の高さがそのまま社員の報酬水準に反映される仕組みである。高い報酬で優秀な人材を獲得し、その人材が高付加価値を生み出すという循環構造が、キーエンスの競争力を支えている。利益と報酬を直結させた制度設計が50年にわたって機能し続けた事例である。
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FY91
1991/3
売上高
262億円
大阪市に新本社・研究所を竣工
FY95
1995/3
売上高
387億円
当期純利益
77.9億円
重要事項
滝崎社長が「センサーメーカーは仮の姿」と語り、直販とファブレスの高粗利モデルを説く
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FY96
1996/3
売上高
490億円
当期純利益
112億円
FY97
1997/3
売上高
589億円
当期純利益
134億円
FY98
1998/3
売上高
709億円
当期純利益
164億円
大幅な減収減益へ
不況により主要顧客である国内製造業の設備投資がストップ。キーエンスも販売不審へ
FY99
1999/3
売上高
651億円
当期純利益
131億円
佐々木道夫
FY00
2000/3
売上高
788億円
当期純利益
193億円
佐々木道夫
佐々木道夫氏が代表取締役社長に就任
創業者の滝崎武光氏は会長として経営に従事。以後、キーエンス出身者が社長を歴任する体制へ
FY01
2001/3
売上高
1,011億円
当期純利益
274億円
佐々木道夫
FY03
2003/3
売上高
936億円
当期純利益
237億円
佐々木道夫
FY04
2004/3
売上高
1,172億円
当期純利益
352億円
佐々木道夫
FY05
2005/3
売上高
1,394億円
当期純利益
452億円
佐々木道夫
FY06
2006/3
売上高
1,582億円
当期純利益
504億円
佐々木道夫
FY07
2007/3
売上高
1,827億円
当期純利益
586億円
佐々木道夫
FY08
2008/3
売上高
2,006億円
当期純利益
632億円
佐々木道夫
リーマンショックにより大幅減益へ
リーマンショックによる経済不況で、企業の設備投資がストップ。設備投資動向に業績が依存するキーエンスは減収減益に至った。
FY09
2009/3
売上高
1,653億円
当期純利益
419億円
山本晃則
ジャストシステムの株式取得
経営不振に陥っていたジャストシステムを救済するため、第三者割当増資により株式44%を45億円にて取得。異業種ながらも、キーエンスはジャストシステムの開発力を評価して出資を決めた。
FY10
2010/3
売上高
1,361億円
当期純利益
376億円
山本晃則
山本社長が就任。グローバル展開を本格化
歴史的意義yutaka sugiura
キーエンスの海外展開は1985年に始まったが、本格的な成果が出たのは2010年代に入ってからである。新興国の生産合理化ニーズがリーマンショック後に顕在化し、20年以上維持してきた海外拠点が活きる市場環境が整った。国内の直販・即納モデルをそのまま移植する展開手法により、収益性を毀損せずにグローバル化を実現した。長期にわたる海外拠点維持が、市場環境の変化とともに成果に転じた構造である。
FY11
2011/3
売上高
1,848億円
当期純利益
553億円
山本晃則
FY12
2012/3
売上高
1,993億円
当期純利益
581億円
山本晃則
FY13
2013/3
売上高
1,658億円
親会社株主に帰属する当期純利益
520億円
山本晃則
FY14
2014/3
売上高
2,650億円
親会社株主に帰属する当期純利益
859億円
山本晃則
FY15
2015/3
売上高
3,340億円
親会社株主に帰属する当期純利益
1,210億円
山本晃則
IRの開示姿勢が投資家から不評
2015年ごろのキーエンスは株主との対話を避ける上場企業として投資家から問題視された。特に余剰となった現金の使い道に関する不透明さが不評を買った。
FY16
2016/3
売上高
963億円
親会社株主に帰属する当期純利益
324億円
山本晃則
FY17
2017/3
売上高
3,163億円
親会社株主に帰属する当期純利益
1,206億円
山本晃則
FY18
2018/3
売上高
5,268億円
親会社株主に帰属する当期純利益
2,105億円
中田有
FY19
2019/3
売上高
5,870億円
親会社株主に帰属する当期純利益
2,261億円
中田有
FY20
2020/3
売上高
5,518億円
親会社株主に帰属する当期純利益
1,981億円
中田有
FY21
2021/3
売上高
5,381億円
親会社株主に帰属する当期純利益
1,972億円
中田有
中田社長の再任賛成比率80%
高収益を確保する一方で、用途がない資金が株主に還元されないこと受けて、海外の機関投資家を中心にキーエンスの経営陣に対する不信感が増大。2022年6月の株主総会において、中田社長に対する取締役の再任賛成比率は80.88%、名誉会長(創業者)である滝崎武光氏の取締役の再任賛成比率は86.69%であり、投資家からの信頼を喪失しつつある。
FY22
2022/3
売上高
7,551億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,033億円
中田有
過去最高益を達成
海外展開の好調で過去最高益へ
FY23
2023/3
売上高
9,224億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,629億円
中田有
FY24
2024/3
売上高
9,672億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,696億円
中野鉄也
FY25
2025/3
売上高
10,591億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,986億円
FY26
2026/3
売上高
11,693億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4,452億円
  1. 会社設立
    滝崎武光氏がリード電機を創業
    キーエンスの創業期において最も特徴的な判断は、営業利益率20%超の祖業を利益率の差を理由に事業譲渡したことである。業績不振ではなく、センサー事業の営業利益率40%との比較で低いという理由で手放した。直販体制の採用と合わせて、創業から10年以内に「利益率の最大化」を経営の最上位基準に据える体制が確立された。2度の倒産を経た創業者が到達したこの原則が、以後50年にわたるキーエンスの高収益構造を規定している。
  2. 交流磁界センサに参入
    キーエンスのセンサー事業は、トヨタ自動車のプレス加工における金型保護という具体的な課題から始まった。標準品への特化によるコスト抑制と、顧客の費用対効果を基準とした価格設定の組み合わせが、高い営業利益率の源泉となった。数億円の金型破損を防ぐセンサーに対して8万5千円の価格設定が成立する構造は、原価積み上げではなく導入効果に基づく値付けの典型である。この価格構造の原型が1970年代に形成された。
  3. リード電機株式会社を設立
  4. 光学センサーの販売を開始
  5. センサに集中投資。切断機から事業撤退

    1982年の時点でキーエンスの祖業であった「自動線材切断機」は営業利益率が20%(1989/5/22日経ビジネス)の高収益事業であったが。しかし、創業者の滝崎武光氏はセンサ事業(営業利益率40%)よりも収益性が低いことを理由に撤退を決断。また、顧客の一極集中によるリスクを防ぐために、当時、キーエンスの売上高の20%を占めていた某機械メーカーとの取引縮小を決断するなど、値下げ圧力を回避する方向にビジネスを変えた。

  6. 電子部品業界向け光学センサの販売を開始
  7. 本社を大阪府高槻市に移転
  8. クレポ株式会社を設立(製造子会社)

    製造子会社としてクレボを設立し、全製品のうちノウハウが鍵を握る25%の製品を子会社で生産。残りの75%はファブレスとして協力会社に製造を委託した。キーエンスは製品開発・企画・販売に注力し、採算が悪化する受注生産はせずに、標準品を販売することで利益率の確保を目論んだ。なお、生産量の目安は月産50個〜1万個とレンジが広いが、他社比較で「より多く量産できる個数」を生産量として定義していた。

  9. 半導体レーザーによるセンサの販売を開始
  10. 商号をキーエンスに変更
  11. プログラマブルコントローラの販売を開始
  12. 大阪証券取引所第2部に株式上場
    キーエンスの上場における資本政策は、大規模な資金調達と創業者の高い持分維持を両立させた点に特徴がある。上場時と2度の公募増資で計601億円を調達しつつ、滝崎家の持分を約45%に維持した。自己資本比率90%超の財務基盤と、株価上昇の恩恵を最大化する創業者持分の設計が、後にキーエンスの時価総額拡大と創業者の資産4.2兆円という結果を生んだ。上場時の資本設計が長期的な企業価値を規定した事例である。
  13. 大阪市に新本社・研究所を竣工
  14. 大幅な減収減益へ

    不況により主要顧客である国内製造業の設備投資がストップ。キーエンスも販売不審へ

  15. 佐々木道夫氏が代表取締役社長に就任

    創業者の滝崎武光氏は会長として経営に従事。以後、キーエンス出身者が社長を歴任する体制へ

  16. リーマンショックにより大幅減益へ

    リーマンショックによる経済不況で、企業の設備投資がストップ。設備投資動向に業績が依存するキーエンスは減収減益に至った。

  17. ジャストシステムの株式取得

    経営不振に陥っていたジャストシステムを救済するため、第三者割当増資により株式44%を45億円にて取得。異業種ながらも、キーエンスはジャストシステムの開発力を評価して出資を決めた。

  18. 山本社長が就任。グローバル展開を本格化
    キーエンスの海外展開は1985年に始まったが、本格的な成果が出たのは2010年代に入ってからである。新興国の生産合理化ニーズがリーマンショック後に顕在化し、20年以上維持してきた海外拠点が活きる市場環境が整った。国内の直販・即納モデルをそのまま移植する展開手法により、収益性を毀損せずにグローバル化を実現した。長期にわたる海外拠点維持が、市場環境の変化とともに成果に転じた構造である。
  19. IRの開示姿勢が投資家から不評

    2015年ごろのキーエンスは株主との対話を避ける上場企業として投資家から問題視された。特に余剰となった現金の使い道に関する不透明さが不評を買った。

  20. 中田社長の再任賛成比率80%

    高収益を確保する一方で、用途がない資金が株主に還元されないこと受けて、海外の機関投資家を中心にキーエンスの経営陣に対する不信感が増大。2022年6月の株主総会において、中田社長に対する取締役の再任賛成比率は80.88%、名誉会長(創業者)である滝崎武光氏の取締役の再任賛成比率は86.69%であり、投資家からの信頼を喪失しつつある。

  21. 過去最高益を達成

    海外展開の好調で過去最高益へ