日本航空の沿革・歴史的証言
1951年〜2025年
日本航空の1951年〜2025年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言
| 年度 | 売上高 | 純利益 | 年月 | 区分 | 出来事 | 歴史的意義 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1951 1-12月 | 会社設立 | 日本航空株式会社(旧会社)設立 戦後初の民間航空会社。資本金1億円 | 戦後の民間航空復活の象徴。翌年10月から自主運航による国内線定期航空輸送事業を開始 | |||
1953 1-12月 | 会社設立 | 日本航空株式会社法に基づく新会社設立 旧会社と政府の折半出資で資本金20億円の半官半民会社を設立。旧会社の権利義務を継承 | 国策会社として国際線を独占する体制が確立。本邦唯一の国際線定期航空運送事業の免許会社 | |||
1954 1-12月 | 組織再編 | 東京〜ホノルル〜サンフランシスコ線開設 本邦企業初の国際線定期輸送を開始 | 日本の航空会社による国際線の幕開け | |||
1960 1-12月 | 初のジェット旅客機DC-8運航開始 | ジェット時代への参入 | ||||
1961 1-12月 | 組織再編 | 北周り欧州線開設 | ||||
株式上場 | 証券取引所に上場 東京・大阪・名古屋の市場第二部に上場 | |||||
1964 1-12月 | 組織再編 | 日本航空整備を吸収合併 | 整備部門の内製化 | |||
1965 1-12月 | ジャルパック販売開始 | |||||
1966 1-12月 | 組織再編 | ニューヨーク線開設 | 北米主要都市への直行便就航 | |||
組織再編 | 日本国内航空設立 日東航空・富士航空・北日本航空の3社合併 | のちの日本エアシステム(JAS)の前身 | ||||
1967 1-12月 | 組織再編 | 世界一周路線(西回り)開設 | グローバルネットワークの完成 | |||
1970 1-12月 | ボーイング747(ジャンボジェット)運航開始 | 大量輸送時代の到来。国内線・国際線の輸送能力が飛躍的に拡大 | ||||
1971 1-12月 | 組織再編 | 東亜国内航空設立 日本国内航空と東亜航空の合併 | ||||
FY83 1983/3 | IATA統計で旅客・貨物輸送実績世界一 1987年まで5年間世界一を維持 | 半官半民時代の日本航空の頂点。国際線独占と高度経済成長による需要拡大の帰結 | ||||
FY88 1988/3 | 組織再編 | 完全民営化 日本航空株式会社法の廃止。国の出資が解消 | 中曽根政権の民営化路線の一環。国策会社から民間企業への転換 | |||
組織再編 | 東亜国内航空が日本エアシステム(JAS)に社名変更 | |||||
FY92 1992/3 | 売上高 13,810億円 | 当期純利益 -133億円 | ||||
FY93 1993/3 | 売上高 12,838億円 | 当期純利益 -479億円 | マイレージプログラム導入 | |||
FY94 1994/3 | 売上高 12,566億円 | 当期純利益 -375億円 | ||||
FY95 1995/3 | 売上高 13,484億円 | 当期純利益 -146億円 | ||||
FY96 1996/3 | 売上高 14,490億円 | 当期純利益 -91億円 | ||||
FY97 1997/3 | 売上高 15,671億円 | 当期純利益 -145億円 | ||||
FY98 1998/3 | 売上高 15,816億円 | 当期純利益 -629億円 | ||||
FY99 1999/3 | 売上高 15,661億円 | 当期純利益 268億円 | ||||
FY00 2000/3 | 売上高 15,985億円 | 当期純利益 197億円 | ||||
FY01 2001/3 | 売上高 17,038億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 410億円 | ||||
FY02 2002/3 | 売上高 16,087億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -367億円 | ||||
FY03 2003/3 | 売上高 16,905億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 161億円 | 企業買収 | 日本エアシステムと経営統合 株式移転により持株会社・日本航空システムを設立。JASは完全子会社化 | 国内航空業界の大型再編。JALとJASの統合で全日本空輸(ANA)との2強体制が形成 | |
FY04 2004/3 | 売上高 14,486億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -874億円 | ||||
FY05 2005/3 | 売上高 15,380億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 593億円 | 組織再編 | 事業再編 JALインターナショナル(国際線)とJALジャパン(国内線)に分離 | ||
FY06 2006/3 | 事業収益 16,004億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -409億円 | 経常赤字494億円 FY05。JAS統合後の初の通期決算で大幅赤字 | JAS統合に伴う重複路線・人件費増が収益を圧迫 | ||
FY07 2007/3 | 事業収益 21,206億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -151億円 | ||||
FY08 2008/3 | 事業収益 21,974億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 123億円 | 組織再編 | ワンワールドに加盟 | ||
FY09 2009/3 | 事業収益 19,491億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -656億円 | 経常赤字856億円 FY08。リーマン・ショックと燃料高騰の影響 | 経営破綻に至る収益悪化の加速 | ||
FY10 2010/3 | 会社更生法の適用申立 JAL・日本航空・ジャルキャピタルの3社が申立。企業再生支援機構が支援決定 | 戦後最大の事業会社の経営破綻。半官半民の国策会社体質からの脱却を余儀なくされた | ||||
社長交代 | 稲盛和夫がJAL会長に就任 京セラ創業者。政府の要請を受けて無報酬で再建を引き受けた | アメーバ経営とJALフィロソフィの導入により、社員一人ひとりに経営者意識を植え付ける改革を実施 | ||||
FY11 2011/3 | 更生計画認可後初の通期決算で営業利益1,884億円 FY11。大幅なコスト削減と不採算路線撤退の効果 | 破綻から1年で世界の航空業界で最も高収益の会社に転換。稲盛改革の成果 | ||||
組織再編 | 株式会社日本航空を吸収合併 国際線のジャルウェイズ他2社も合併。組織を一本化 | 更生計画に基づくグループ再編の完了 | ||||
FY12 2012/3 | 営業収益 12,048億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,866億円 | ||||
FY13 2013/3 | 営業収益 12,388億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,716億円 | 社長交代 | 植木義晴が社長就任 パイロット出身の社長。稲盛改革を継承 | ||
株式上場 | 東京証券取引所市場第一部に再上場 破綻から2年8ヶ月で再上場 | 戦後最大の経営破綻からの異例の短期間での再上場 | ||||
FY14 2014/3 | 営業収益 13,093億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,662億円 | ||||
FY15 2015/3 | 売上高 13,447億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,490億円 | ||||
FY16 2016/3 | 売上高 13,366億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,744億円 | ||||
FY17 2017/3 | 売上高 12,889億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,641億円 | ||||
FY18 2018/3 | 売上高 13,832億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,354億円 | ||||
FY19 2019/3 | 売上高 14,872億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,508億円 | 社長交代 | 赤坂祐二が社長就任 | ||
ZIPAIR Tokyo設立 国際線中長距離LCC。2020年6月に貨物便、10月に旅客便運航開始 | フルサービスキャリアとLCCの二刀流戦略の開始 | |||||
FY20 2020/3 | 売上高 13,859億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 436億円 | 企業買収 | 春秋航空日本を子会社化 2021年11月にスプリング・ジャパンに社名変更 | LCC事業の拡充 | |
コロナ禍で売上収益が前年比66%減 FY20。売上収益4,812億円、純損失▲2,866億円 | コロナ禍による航空需要の消失。破綻後に積み上げた利益を大きく毀損 | |||||
FY21 2021/3 | 売上高 4,812億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -3,019億円 | ||||
FY22 2022/3 | 売上高 6,827億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -1,775億円 | ||||
FY23 2023/3 | 売上高 13,755億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 344億円 | ||||
FY24 2024/3 | 売上高 16,518億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 955億円 | ||||
FY25 2025/3 | 売上高 18,440億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,070億円 | 社長交代 | 鳥取三津子が社長就任 JAL初の女性社長。客室乗務員出身・旧JAS出身 | 多様性推進と現場視点の経営を象徴する人事 | |
コロナ後初の本格回復 FY24。売上収益1兆8,440億円、営業利益1,686億円、純利益1,070億円 | 売上収益はコロナ前のFY18(1兆4,872億円)を上回り過去最高を更新 |
- 日本航空株式会社(旧会社)設立
戦後初の民間航空会社。資本金1億円
戦後の民間航空復活の象徴。翌年10月から自主運航による国内線定期航空輸送事業を開始 - 日本航空株式会社法に基づく新会社設立
旧会社と政府の折半出資で資本金20億円の半官半民会社を設立。旧会社の権利義務を継承
国策会社として国際線を独占する体制が確立。本邦唯一の国際線定期航空運送事業の免許会社 - 東京〜ホノルル〜サンフランシスコ線開設
本邦企業初の国際線定期輸送を開始
日本の航空会社による国際線の幕開け - 初のジェット旅客機DC-8運航開始ジェット時代への参入
- 北周り欧州線開設
- 証券取引所に上場
東京・大阪・名古屋の市場第二部に上場
- 日本航空整備を吸収合併整備部門の内製化
- ジャルパック販売開始
- ニューヨーク線開設北米主要都市への直行便就航
- 日本国内航空設立
日東航空・富士航空・北日本航空の3社合併
のちの日本エアシステム(JAS)の前身 - 世界一周路線(西回り)開設グローバルネットワークの完成
- ボーイング747(ジャンボジェット)運航開始大量輸送時代の到来。国内線・国際線の輸送能力が飛躍的に拡大
- 東亜国内航空設立
日本国内航空と東亜航空の合併
- IATA統計で旅客・貨物輸送実績世界一
1987年まで5年間世界一を維持
半官半民時代の日本航空の頂点。国際線独占と高度経済成長による需要拡大の帰結 - 完全民営化
日本航空株式会社法の廃止。国の出資が解消
中曽根政権の民営化路線の一環。国策会社から民間企業への転換 - 東亜国内航空が日本エアシステム(JAS)に社名変更
- マイレージプログラム導入
- 日本エアシステムと経営統合
株式移転により持株会社・日本航空システムを設立。JASは完全子会社化
国内航空業界の大型再編。JALとJASの統合で全日本空輸(ANA)との2強体制が形成 - 事業再編
JALインターナショナル(国際線)とJALジャパン(国内線)に分離
- 経常赤字494億円
FY05。JAS統合後の初の通期決算で大幅赤字
JAS統合に伴う重複路線・人件費増が収益を圧迫 - ワンワールドに加盟
- 経常赤字856億円
FY08。リーマン・ショックと燃料高騰の影響
経営破綻に至る収益悪化の加速 - 会社更生法の適用申立
JAL・日本航空・ジャルキャピタルの3社が申立。企業再生支援機構が支援決定
戦後最大の事業会社の経営破綻。半官半民の国策会社体質からの脱却を余儀なくされた - 稲盛和夫がJAL会長に就任
京セラ創業者。政府の要請を受けて無報酬で再建を引き受けた
アメーバ経営とJALフィロソフィの導入により、社員一人ひとりに経営者意識を植え付ける改革を実施 - 更生計画認可後初の通期決算で営業利益1,884億円
FY11。大幅なコスト削減と不採算路線撤退の効果
破綻から1年で世界の航空業界で最も高収益の会社に転換。稲盛改革の成果 - 株式会社日本航空を吸収合併
国際線のジャルウェイズ他2社も合併。組織を一本化
更生計画に基づくグループ再編の完了 - 植木義晴が社長就任
パイロット出身の社長。稲盛改革を継承
- 東京証券取引所市場第一部に再上場
破綻から2年8ヶ月で再上場
戦後最大の経営破綻からの異例の短期間での再上場 - 赤坂祐二が社長就任
- ZIPAIR Tokyo設立
国際線中長距離LCC。2020年6月に貨物便、10月に旅客便運航開始
フルサービスキャリアとLCCの二刀流戦略の開始 - 春秋航空日本を子会社化
2021年11月にスプリング・ジャパンに社名変更
LCC事業の拡充 - コロナ禍で売上収益が前年比66%減
FY20。売上収益4,812億円、純損失▲2,866億円
コロナ禍による航空需要の消失。破綻後に積み上げた利益を大きく毀損 - 鳥取三津子が社長就任
JAL初の女性社長。客室乗務員出身・旧JAS出身
多様性推進と現場視点の経営を象徴する人事 - コロナ後初の本格回復
FY24。売上収益1兆8,440億円、営業利益1,686億円、純利益1,070億円
売上収益はコロナ前のFY18(1兆4,872億円)を上回り過去最高を更新
歴史的証言
松尾静麿(日本航空・社長)
最近アメリカの不定期航空会社が日本むけの観光客、団体客などを運ぶため運航回数をふやしているが、これは日米航空協定改定交渉の締結の際にも認めていないものであり、定期航空に与える影響も大きいので、これらの増便は認めるべきではない。
利光松男
欧米と違って、アジア・太平洋地域の需要はとても活発です。そのうえ、空港の受け入れ能力が限界に達していることが制約になって、運輸省による規制緩和が進まなかった。成田空港の2期工事、関西新空港の開設、羽田の沖合展開という3大空港プロジェクトがまだ完成していません。これが旺盛な需要に対して供給を抑える役割を果たし、競争激化から我々を守る防風林になってくれました。
利光松男
労使関係の安定と安全が当社の経営の車の両輪です。日航は35年間、政府が株を所有している特殊法人の時代が続きました。どんなことがあっても倒産しない保障があったのです。そして1987年11月に完全民営化された。これは環境によっては倒産することもある。普通の会社になったという意味です。
利光松男
目の前でECや米国の航空会社がすさまじいサバイバル競争を繰り広げています。大きな波にさらされた時、我々は生き残れるのか。そんな意識が少しずつ社内に出てきました。
参考文献・出所
有価証券報告書
読売新聞 1966/06/16
読売新聞 1966/08/09
日経済新聞 1991/05/20
日経新聞 1997/07/21
日本経済新聞 2023/4/1
日経ビジネス 2024/9/13
日経ESG 2022/2/18