村田製作所の沿革・歴史的証言
1944年〜2026年
村田製作所の1944年〜2026年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言
| 年度 | 売上高 | 純利益 | 年月 | 区分 | 出来事 | 歴史的意義 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1944 1-12月 | 会社設立 | 村田昭が京都市で村田製作所を創業 個人経営でセラミックコンデンサの製造を開始 | 戦時下の京都で電子部品専業メーカーが誕生。戦後の電子産業勃興の基盤 | |||
1950 1-12月 | 組織再編 | 株式会社村田製作所に改組 個人経営から法人化 | 個人商店からの脱皮と本格的な企業経営への転換 | |||
1961 1-12月 | 組織再編 | 本社を京都府長岡京市に移転 | ||||
1962 1-12月 | ㈱福井村田製作所に資本参加 地域分業型の生産体制の端緒 | 現在100%所有の中核生産子会社 | ||||
1963 1-12月 | 株式上場 | 大阪証券取引所市場第二部に上場 1970年2月に市場第一部へ指定替え | 公開会社として資本市場から成長資金を調達する体制に移行 | |||
1965 1-12月 | 米国販売会社を設立 現Murata Electronics North America, Inc. | 戦後初の海外拠点。米国電機産業への部品供給体制を構築 | ||||
1969 1-12月 | 株式上場 | 東京証券取引所市場第二部に上場 1970年2月に市場第一部へ指定替え | ||||
1972 1-12月 | シンガポールに生産・販売会社を設立 Murata Electronics Singapore (Pte.) Ltd. | アジア初の生産拠点 | ||||
1978 1-12月 | 欧州初の販売会社をドイツに設立 | |||||
企業買収 | 台湾の生産・販売会社を買収 現Taiwan Murata Electronics Co., Ltd. | 初の本格的な海外M&A。台湾電子産業との連携 | ||||
FY81 1981/3 | 企業買収 | カナダのErie Technological Products, Ltd.を買収 多国籍企業でセラミック部品を手掛ける。現在の米国・欧州子会社の一部 | グローバル展開を決定づける大型買収。北米・欧州の事業基盤を一気に獲得 | |||
FY88 1988/3 | 設備投資 | 野洲事業所を開設 | ||||
FY89 1989/3 | タイに生産会社を設立 Murata Electronics (Thailand), Ltd. | 東南アジア生産体制の拡充 | ||||
設備投資 | 横浜事業所を開設 | |||||
FY92 1992/3 | 売上高 2,805億円 | 当期純利益 272億円 | ||||
FY93 1993/3 | 売上高 2,721億円 | 当期純利益 237億円 | ||||
FY94 1994/3 | 売上高 2,792億円 | 当期純利益 247億円 | マレーシアに生産・販売会社を設立 Murata Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd. | |||
FY95 1995/3 | 売上高 3,175億円 | 当期純利益 379億円 | 中国に初の生産会社を設立 Wuxi Murata Electronics Co., Ltd. | 中国本土への製造拠点展開の嚆矢。後のMLCC供給体制の基盤 | ||
FY96 1996/3 | 売上高 3,219億円 | 当期純利益 372億円 | ||||
FY97 1997/3 | 売上高 3,306億円 | 当期純利益 326億円 | ||||
FY98 1998/3 | 売上高 3,623億円 | 当期純利益 394億円 | ||||
FY99 1999/3 | 売上高 3,670億円 | 当期純利益 289億円 | ||||
FY00 2000/3 | 売上高 4,591億円 | 当期純利益 616億円 | ||||
FY01 2001/3 | 売上高 5,840億円 | 当期純利益 1,049億円 | ||||
FY02 2002/3 | 売上高 3,947億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 349億円 | ||||
FY03 2003/3 | 売上高 3,950億円 | 当期純利益 395億円 | ||||
FY04 2004/3 | 売上高 3,949億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 394億円 | ||||
FY05 2005/3 | 売上高 4,142億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 485億円 | ||||
FY06 2006/3 | 売上高 4,907億円 | 当期純利益 584億円 | 中国・深圳に生産会社を設立 Shenzhen Murata Technology Co., Ltd. | |||
FY07 2007/3 | 売上高 5,668億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 713億円 | 社長交代 | 村田恒夫が代表取締役社長に就任 村田泰隆の後を継ぐ創業家3代目 | 創業家による経営継承 | |
FY08 2008/3 | 売上高 6,316億円 | 当期純利益 774億円 | 企業買収 | 米Murata Power Solutions(旧C&D Technologies電源事業)を買収 開発・生産・販売会社。ハイパワー電源技術を獲得 | 電源モジュール事業への本格参入。後のサーバー向け電源事業の技術基盤 | |
FY09 2009/3 | 売上高 5,239億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 35億円 | リーマンショックで初の大幅な営業赤字に転落 USGAAP連結ベースで営業損失を計上 | MLCC主軸の業績が世界金融危機の需要蒸発で直撃。単年度で大幅赤字に陥った | ||
FY10 2010/3 | 売上高 5,308億円 | 当期純利益 247億円 | ||||
FY11 2011/3 | 売上高 6,179億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 534億円 | ||||
FY12 2012/3 | 売上高 5,846億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 308億円 | 企業買収 | フィンランドのVTI Technologies(現Murata Electronics Oy)を買収 MEMS慣性力センサの開発・生産会社 | ADASレベル3以降を睨んだ戦略買収。後の減損の伏線となる投資 | |
企業買収 | ルネサスエレクトロニクスのパワーアンプ事業を譲受 高周波事業の拡充 | 高周波モジュール事業の強化。後に主力事業の一つに成長 | ||||
FY13 2013/3 | 売上高 6,810億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 423億円 | ||||
FY14 2014/3 | 売上高 8,467億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 931億円 | ||||
FY15 2015/3 | 売上高 10,435億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,677億円 | 企業買収 | 米pSemi Corporation(旧Peregrine Semiconductor)を買収 RF-SOI技術を持つ開発・生産・販売会社 | 高周波・RFフロントエンドモジュール事業の技術基盤を強化 | |
FY16 2016/3 | 売上高 12,108億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,037億円 | ||||
FY17 2017/3 | 売上高 11,355億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,560億円 | 企業買収 | 仏Murata Integrated Passive Solutions SASを買収 開発・生産・販売会社 | 集積パッシブデバイス分野の強化 | |
FY18 2018/3 | 売上高 13,718億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,460億円 | 企業買収 | ソニーグループの電池事業を譲受 リチウムイオン二次電池事業への参入 | 電池事業への本格参入。後に構造改革で苦しむ長期課題となる | |
FY19 2019/3 | 売上高 15,750億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,069億円 | ||||
FY20 2020/3 | 売上高 15,340億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,830億円 | 社長交代 | 中島規巨が代表取締役社長に就任 村田恒夫は代表取締役会長兼社長を経て会長に退任 | 創業家から非創業家への経営トップの移行 | |
FY21 2021/3 | 売上高 16,301億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,370億円 | 設備投資 | みなとみらいイノベーションセンターを開設 横浜市西区 | 研究開発拠点の集約 | |
FY22 2022/3 | 売上高 18,125億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 3,141億円 | 企業買収 | 米Resonant社を買収 XBAR技術による高周波フィルタ開発会社。Wi-Fi7/FR3対応 | XBAR技術獲得による次世代フィルタ戦略の要石。後に全額減損となる | |
FY23 2023/3 | 売上高 16,867億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,439億円 | 株式上場 | 東証プライム市場に移行 東京証券取引所の市場区分見直しに伴う | ||
FY24 2024/3 | 売上高 16,401億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,808億円 | 経営計画 | 中期経営計画MTD2024が終了、経済価値目標は未達 MTD2027として2兆円・営業利益率18%・ROIC12%を継承 | MLCC以外の第二層ビジネス(高周波・電池)の失速が未達の主因 | |
FY25 2025/3 | 売上高 17,433億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,338億円 | MEMS慣性力センサ事業の設備減損104億円を計上 VTI Technologies(2012年買収)事業。ADASレベル3の普及遅延が原因 | 2012年の成長投資の前提崩壊を公式に認める | ||
電池事業の構造改革費用を通期145億円計上 リチウムイオン二次電池事業のリストラ継続 | 2017年譲受の電池事業の収益化に苦戦 | |||||
経営計画 | 自己株式取得枠を過去最大の1,000億円に拡大 買収活用も視野に入れた方針転換 | キャピタル・アロケーション方針の柔軟化 | ||||
経営計画 | 米国政府とデータセンター供給でフレームワーク協定を締結 トランプ大統領来日時に署名。AIサーバー部品のサプライチェーン強靭化を約束 | 日本電子部品メーカーが米政府と直接協定を結ぶ異例の対応。AI覇権における日米連携の象徴 | ||||
2026 1-12月 | 企業買収 | Resonant社買収のれん全額438億円を減損 表面波フィルタ事業の中華圏競合台頭とFR3本格量産遅延(2030年以降)が要因 | 2022年買収から約3年での全額のれん減損。XBAR戦略の前提が崩壊 | |||
事業売却 | マイクロ一次電池事業をマクセルに譲渡 電池事業ポートフォリオの選択と集中 | 非中核事業の切り出しによるリソース集中 |
- 村田昭が京都市で村田製作所を創業
個人経営でセラミックコンデンサの製造を開始
戦時下の京都で電子部品専業メーカーが誕生。戦後の電子産業勃興の基盤 - 株式会社村田製作所に改組
個人経営から法人化
個人商店からの脱皮と本格的な企業経営への転換 - 本社を京都府長岡京市に移転
- ㈱福井村田製作所に資本参加
地域分業型の生産体制の端緒
現在100%所有の中核生産子会社 - 大阪証券取引所市場第二部に上場
1970年2月に市場第一部へ指定替え
公開会社として資本市場から成長資金を調達する体制に移行 - 米国販売会社を設立
現Murata Electronics North America, Inc.
戦後初の海外拠点。米国電機産業への部品供給体制を構築 - 東京証券取引所市場第二部に上場
1970年2月に市場第一部へ指定替え
- シンガポールに生産・販売会社を設立
Murata Electronics Singapore (Pte.) Ltd.
アジア初の生産拠点 - 欧州初の販売会社をドイツに設立
- 台湾の生産・販売会社を買収
現Taiwan Murata Electronics Co., Ltd.
初の本格的な海外M&A。台湾電子産業との連携 - カナダのErie Technological Products, Ltd.を買収
多国籍企業でセラミック部品を手掛ける。現在の米国・欧州子会社の一部
グローバル展開を決定づける大型買収。北米・欧州の事業基盤を一気に獲得 - 野洲事業所を開設
- タイに生産会社を設立
Murata Electronics (Thailand), Ltd.
東南アジア生産体制の拡充 - 横浜事業所を開設
- マレーシアに生産・販売会社を設立
Murata Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.
- 中国に初の生産会社を設立
Wuxi Murata Electronics Co., Ltd.
中国本土への製造拠点展開の嚆矢。後のMLCC供給体制の基盤 - 中国・深圳に生産会社を設立
Shenzhen Murata Technology Co., Ltd.
- 村田恒夫が代表取締役社長に就任
村田泰隆の後を継ぐ創業家3代目
創業家による経営継承 - 米Murata Power Solutions(旧C&D Technologies電源事業)を買収
開発・生産・販売会社。ハイパワー電源技術を獲得
電源モジュール事業への本格参入。後のサーバー向け電源事業の技術基盤 - リーマンショックで初の大幅な営業赤字に転落
USGAAP連結ベースで営業損失を計上
MLCC主軸の業績が世界金融危機の需要蒸発で直撃。単年度で大幅赤字に陥った - フィンランドのVTI Technologies(現Murata Electronics Oy)を買収
MEMS慣性力センサの開発・生産会社
ADASレベル3以降を睨んだ戦略買収。後の減損の伏線となる投資 - ルネサスエレクトロニクスのパワーアンプ事業を譲受
高周波事業の拡充
高周波モジュール事業の強化。後に主力事業の一つに成長 - 米pSemi Corporation(旧Peregrine Semiconductor)を買収
RF-SOI技術を持つ開発・生産・販売会社
高周波・RFフロントエンドモジュール事業の技術基盤を強化 - 仏Murata Integrated Passive Solutions SASを買収
開発・生産・販売会社
集積パッシブデバイス分野の強化 - ソニーグループの電池事業を譲受
リチウムイオン二次電池事業への参入
電池事業への本格参入。後に構造改革で苦しむ長期課題となる - 中島規巨が代表取締役社長に就任
村田恒夫は代表取締役会長兼社長を経て会長に退任
創業家から非創業家への経営トップの移行 - みなとみらいイノベーションセンターを開設
横浜市西区
研究開発拠点の集約 - 米Resonant社を買収
XBAR技術による高周波フィルタ開発会社。Wi-Fi7/FR3対応
XBAR技術獲得による次世代フィルタ戦略の要石。後に全額減損となる - 東証プライム市場に移行
東京証券取引所の市場区分見直しに伴う
- 中期経営計画MTD2024が終了、経済価値目標は未達
MTD2027として2兆円・営業利益率18%・ROIC12%を継承
MLCC以外の第二層ビジネス(高周波・電池)の失速が未達の主因 - MEMS慣性力センサ事業の設備減損104億円を計上
VTI Technologies(2012年買収)事業。ADASレベル3の普及遅延が原因
2012年の成長投資の前提崩壊を公式に認める - 電池事業の構造改革費用を通期145億円計上
リチウムイオン二次電池事業のリストラ継続
2017年譲受の電池事業の収益化に苦戦 - 自己株式取得枠を過去最大の1,000億円に拡大
買収活用も視野に入れた方針転換
キャピタル・アロケーション方針の柔軟化 - 米国政府とデータセンター供給でフレームワーク協定を締結
トランプ大統領来日時に署名。AIサーバー部品のサプライチェーン強靭化を約束
日本電子部品メーカーが米政府と直接協定を結ぶ異例の対応。AI覇権における日米連携の象徴 - Resonant社買収のれん全額438億円を減損
表面波フィルタ事業の中華圏競合台頭とFR3本格量産遅延(2030年以降)が要因
2022年買収から約3年での全額のれん減損。XBAR戦略の前提が崩壊 - マイクロ一次電池事業をマクセルに譲渡
電池事業ポートフォリオの選択と集中
非中核事業の切り出しによるリソース集中
歴史的証言
これからは世界を相手にしなければダメだと決意
現在の村田製作所には関東、関西両営業所がある。外国係を第3の営業部門に成長させて欲しい。まず、アメリカ市場を最初のターゲットとする
当社は安値商売はしない
ラジオ用コンデンサーが1個5円ほどのところ、テレビ用コンデンサーは30円、50円と高く売れたので、大変利益率の高い商売になった
生まれつき、人と競争するのがいやだったから、一歩、人の先を行くようになった
エリーはもともと米国の有力電子部品メーカーで、昭和32年頃からの親しい付き合い。52年頃、エリーが売りに出ているといううわさを聞き、翌年の夏、ブラッと行って一つぐらい工場を売ってくれと頼んだのがきっかけだが、その時は他に話があるというのでダメになった。その後、エリーは社長とマネジャーがオーナーから会社を買い取ったので、去年の5月に再度交渉しようと思ったら、それならいっそ全部買ってくれ、ということで話がスンナリまとまった
セラミックは不思議な石ころ。今後、無限とも言える可能性を持つ商品
他社は安い賃金を求めて海外進出したところが多いが、うちはそれをやらなかった
ライバルにもかかわらず懇意にしてもらい、お互いの工場を見せ合うようにもなった。信頼関係の基礎があったからこそ、海外で同業者を買収する話も紹介してもらえ、短期間で世界各国に拠点を設けられた
当社の強みはシーズ志向の体質の中から作られた高性能、高品質、低価格の単品部品を持っていることだ。この力を衰えさせてしまったら、そうした単品部品を複合させるモジュール部品事業の根底が崩れてしまう
円建ては、今回の円高のために手を打ったのではありません。15年ほど前の石油ショックの時代に、円建て、ドル建てに分かれていた取引形態を円建てに統一しました。為替によって収益が大きく変動しないようにすると同時に、営業の第一線にまで円でのコスト意識が徹底して伝わることが狙いでした
当社のコンデンサなど電子部品では、生産技術や原材料をブラックボックス化しているが、流出した人材が中国で教えるかもしれないし、技術流出を完全に防ぐことはできない。現在、ローエンドの製品では中国企業とも競争にさらされており、今後彼らが徐々にレベルを上げて中級品と呼ばれるものでも競争に巻き込まれるだろう