沿革年表 1941〜2026年における重要度別の出来事(合計37件)

年月区分社長/CEO出来事年度売上高純利益
重要事項
ヲサメ合成化学工業株式会社を設立
日本触媒の創業期を規定したのは、無水フタル酸の製造に伴う爆発リスクであった。1944年のプラント爆発事故で死者を出しながらも事業を継続した判断は、結果として競合他社の撤退を招き、1960年頃には国内シェア70%という独占的地位につながった。危険性が参入障壁として機能するという逆説的な構造は、化学工業における技術蓄積と事業継続の意思決定が競争優位を規定した事例である。
経営判断をよむ →
1941
1-12月
空襲で本社焼失。吹田工場に移転
大阪市内の工場(田川通)を焼失。土地を稲畑産業に売却して、本社を吹田工場(1944年稼働)に移転
1945
1-12月
商号を日本触媒化学工業に変更
歴史的意義yutaka sugiura
日本触媒の再出発において八谷泰造氏が定めた方針は、同族経営の回避と増資による持分希薄化という資本政策であった。創業者の納氏が経営を放棄した経験から、八谷氏は企業の公器性を重視し、自身の保有比率を意図的に下げる道を選んだ。富士製鐵による33%出資は、仕入先との取引関係を資本関係に転換した事例でもある。個人経営の失敗を起点に、開かれた企業統治を志向した資本設計の原型が形成された。
1950
1-12月
FY51
1951/11
売上高
3.79億円
当期純利益
0.95億円
大阪証券取引所第1部に株式上場
FY52
1952/11
売上高
4.36億円
当期純利益
0.52億円
無水マイレン酸の製造開始
無水フタル酸の副産物として製造。主な用途はポリエステル樹脂の塗料・農薬・医薬の原料など
重要事項
半期赤字に転落。富士製鐵が救済
歴史的意義yutaka sugiura
日本触媒の経営危機において、富士製鐵は仕入先と筆頭株主という二つの立場から救済に動いた。ナフタリンの現物出資という形式は、現金支出を伴わずに資本増強と原料確保を同時に実現する手法であった。取引関係を資本関係に転換した構造が、不況期の安全弁として機能した。売上の90%を無水フタル酸に依存する単一製品リスクが顕在化した局面で、サプライヤーとの資本的紐帯が企業存続を左右した事例である。
組織再編
大光海運を設立(現・日触物流)
物流子会社として大光海運株式会社を設立した。現在の日触物流株式会社にあたり、化学品輸送の社内インフラ整備の起点となった。
FY53
1953/11
売上高
5.24億円
当期純利益
0.34億円
FY54
1954/11
売上高
7.32億円
当期純利益
0.92億円
組織再編
日宝化学に資本参加
日宝化学株式会社に資本参加した。すなわち化学品グループ会社網を拡張する一環で連結子会社化に至った。
FY55
1955/11
売上高
10.2億円
当期純利益
1.8億円
株式上場
東京証券取引所に株式を上場
東京証券取引所に株式を上場した。1952年の大阪証券取引所上場に続き、東西両市場で資金調達基盤を整える動きとなった。
FY56
1956/11
売上高
16.7億円
当期純利益
3億円
FY57
1957/11
売上高
21.4億円
当期純利益
3.2億円
FY58
1958/11
売上高
22.3億円
当期純利益
2.5億円
酸化エチレンの量産開始
歴史的意義yutaka sugiura
日本触媒の石油化学転換は、資本金4.8億円の企業が9.8億円の設備投資を決断するという規模の判断であった。海外技術導入が主流の時代に国産技術で酸化エチレンの工業化に成功し、独立系コンビナートへの参画で量産体制を構築した。川崎と姫路の2拠点体制は、原料から製品までの一貫生産を可能にし、後のアクリル酸・SAP事業の基盤ともなった。身の丈を超えた投資判断が企業の成長段階を引き上げた事例である。
FY59
1959/11
売上高
35.8億円
当期純利益
3.9億円
姫路工場を新設
FY60
1960/11
売上高
55.4億円
当期純利益
5.3億円
組織再編
本社を高麗橋に移転、吹田に研究所
本社を大阪市東区高麗橋(現大阪市中央区高麗橋)に移転した。同時に吹田工場内に研究所を新設し、研究開発体制を整備する転機となった。
FY61
1961/11
売上高
69.7億円
当期純利益
4.4億円
FY62
1962/11
売上高
69億円
当期純利益
2.1億円
FY63
1963/11
売上高
71.8億円
当期純利益
2.6億円
FY64
1964/11
売上高
83.7億円
当期純利益
2.6億円
FY65
1965/11
売上高
90.9億円
当期純利益
2.3億円
FY66
1966/11
売上高
104億円
当期純利益
2.7億円
川崎第二工場を新設
FY67
1967/11
売上高
134億円
当期純利益
7.2億円
FY68
1968/11
売上高
155億円
当期純利益
8.5億円
FY69
1969/11
売上高
167億円
当期純利益
9億円
重要事項
アクリル酸の製造を開始
気相酸化技術を応用してアクリル酸の製造を開始(国内初)
経営判断をよむ →
FY70
1970/11
売上高
202億円
当期純利益
10.3億円
追浜工場を新設(1978年休止)
FY71
1971/11
売上高
225億円
当期純利益
9.2億円
セカンダリーアルコールエトキシレートの製造を開始
川崎第二工場(現・川崎製造所浮島工場)でセカンダリーアルコールエトキシレートの製造を開始した。すなわち界面活性剤分野への展開となった。
FY72
1972/11
売上高
244億円
当期純利益
9.8億円
FY73
1973/11
売上高
328億円
当期純利益
17.4億円
FY74
1974/11
売上高
569億円
当期純利益
32.2億円
FY75
1975/11
売上高
566.03億円
当期純利益
20.15億円
FY76
1976/11
売上高
656.33億円
当期純利益
22.21億円
FY77
1977/11
売上高
682.46億円
当期純利益
19.47億円
FY78
1978/11
売上高
695.58億円
当期純利益
15.35億円
FY79
1979/11
売上高
864.29億円
当期純利益
28.99億円
FY80
1980/11
売上高
997.37億円
当期純利益
23.42億円
姫路研究所・川崎研究所を設置
FY81
1981/11
売上高
982.52億円
当期純利益
12.51億円
メタクリル酸・同エステルの製造を開始
姫路製造所でメタクリル酸およびメタクリル酸エステルの製造を開始した。アクリル酸事業に隣接するメタクリル系への参入であり、後の住友化学との事業交換の伏線となった。
FY82
1982/11
売上高
956.42億円
当期純利益
14.49億円
姫路製造所で高吸水性樹脂(SAP)の製造を開始
姫路製造所で高吸水性樹脂の製造を開始した。すなわち1985年に量産化される主力製品SAPの工業化スタートに位置付けられ、後にP&G向け供給と欧州・アジア展開を支える基盤となった。
FY83
1983/11
売上高
945.83億円
当期純利益
12.69億円
FY84
1984/11
売上高
1,011.59億円
当期純利益
33.51億円
高級水性樹脂(SAP)の製造を開始
歴史的意義yutaka sugiura
日本触媒のSAP事業は、三洋化成とユニチャームが先行する市場に後発で参入しながら、短期間でシェア1位を獲得した。その要因は、アクリル酸からSAPまでの一貫生産体制にある。原料を内製できることで、外部調達に依存する競合に対してコスト競争力と供給安定性の双方で優位に立った。P&Gという世界最大の顧客を確保した上での参入も、量産規模の確保に寄与した。原料統合による構造的優位が後発逆転を可能にした事例である。
FY85
1985/11
売上高
1,068億円
当期純利益
31.8億円
FY86
1986/11
売上高
1,026億円
当期純利益
36.5億円
FY87
1987/11
売上高
1,050億円
当期純利益
56.2億円
NA Industries Inc.を設立(米国法人)
FY88
1988/11
売上高
1,171億円
当期純利益
63.9億円
FY89
1989/11
売上高
1,323億円
当期純利益
99.7億円
10ヵ年総合経営計画「テクノアメニティ」を策定
FY90
1990/11
社名を「株式会社日本触媒」に変更
社名を「日本触媒化学工業株式会社」から「株式会社日本触媒」に変更した。化学工業の枠を超えた事業領域拡大を打ち出すブランド変更となった。
FY91
1991/11
FY92
1992/11
売上高
1,526億円
当期純利益
39億円
FY93
1993/11
売上高
1,406億円
当期純利益
27億円
FY94
1994/11
売上高
1,365億円
当期純利益
37億円
FY95
1995/11
売上高
1,527億円
当期純利益
56億円
インドネシアに現地法人を設立
インドネシアに現地法人を設立し、現地生産を開始。日本触媒の東南アジアにおける主力生産拠点となった。
FY96
1996/11
売上高
1,584億円
当期純利益
54億円
FY97
1997/11
売上高
562億円
当期純利益
15億円
シンガポールに現地法人を設立
FY98
1998/11
売上高
1,718億円
当期純利益
52億円
近藤忠夫
欧州に現地法人を設立(ベルギー)
FY99
1999/11
売上高
1,601億円
当期純利益
44億円
近藤忠夫
FY00
2000/11
売上高
1,624億円
当期純利益
26億円
近藤忠夫
長期経営計画「テクノアメニティNV」を策定
日本触媒はFY2001〜FY2006の長期ビジョン「テクノアメニティNV」を策定し、グローバル展開と事業ポートフォリオ経営を打ち出した。アクリル酸と高吸水性樹脂をコア事業と定義しP&G向け供給責任のため積極投資を決定。一方で不飽和ポリエステル等の樹脂事業は再構築方針を掲げたが、撤退(合弁化)は2014年にずれ込んだ。管理指標はROAと営業CF・販売貢献利益を採用した。
海外成長で国内低迷を補う事業ポートフォリオ転換の功罪
FY01
2001/11
売上高
1,605億円
親会社株主に帰属する当期純利益
12億円
近藤忠夫
住友化学と事業交換。アクリル酸を取得し、メチルメタクリレートを譲渡
FY02
2002/11
売上高
1,597億円
親会社株主に帰属する当期純利益
15億円
近藤忠夫
中国に現地法人を設立
FY03
2003/11
売上高
1,635億円
親会社株主に帰属する当期純利益
55億円
企業買収海外進出
近藤忠夫
シンガポール・アクリリック等2社を取得
シンガポール・アクリリックPTE LTDおよびシンガポール・グレーシャル・アクリリックPTE.LTD.を取得し連結子会社化した。アクリル酸の海外生産能力をシンガポールで一気に拡張する買収となった。
FY04
2004/11
売上高
1,697億円
親会社株主に帰属する当期純利益
88億円
近藤忠夫
FY05
2005/11
売上高
1,972億円
親会社株主に帰属する当期純利益
157億円
近藤忠夫
FY06
2006/11
売上高
2,324億円
当期純利益
162億円
近藤忠夫
FY07
2007/11
売上高
2,665億円
当期純利益
139億円
企業買収海外進出
近藤忠夫
日本乳化剤と中日合成化學(台湾)を取得
日本乳化剤株式会社と、中日合成化學股份有限公司(台湾)を取得した。すなわち国内の乳化剤メーカーと台湾の化学品メーカーを同時に連結子会社化し、エトキシレート系・界面活性剤系の事業基盤を強化した。
FY08
2008/11
売上高
3,026億円
当期純利益
118億円
近藤忠夫
FY09
2009/11
売上高
2,891億円
当期純利益
-53億円
池田全德
FY10
2010/11
売上高
2,443億円
当期純利益
108億円
池田全德
FY11
2011/11
売上高
2,883億円
当期純利益
211億円
重要事項
池田全德
姫路製造所で爆発事故が発生
アクリル酸タンクの温度上昇による爆発事故が発生。消火活動にあたっていた消防士1名が死亡し、その他30名が重軽傷となった。
経営判断をよむ →
FY12
2012/11
売上高
3,207億円
親会社株主に帰属する当期純利益
212億円
池田全德
FY13
2013/11
売上高
2,695億円
親会社株主に帰属する当期純利益
84億円
池田全德
FY14
2014/11
売上高
3,021億円
親会社株主に帰属する当期純利益
105億円
池田全德
吹田工場を閉鎖(研究拠点として継続活用)
1943年に開設した吹田工場(大阪府)について、製品生産の終了を決定。生産品目の不飽和ポリエステル樹脂について、三井化学との合弁会社に事業譲渡したことで、生産設備の維持が困難となった。工場閉鎖後は、引き続き日本触媒の研究開発拠点として継続活用へ
FY15
2015/11
売上高
3,748億円
親会社株主に帰属する当期純利益
190億円
欧州で高吸水性樹脂の増産を決定
欧州における高吸水性樹脂および、その原料であるアクリル酸の増産を決定。ベルギーの子会社NSEを通じて、新工場の新設を決定した。投資額は455億円を予定し、2017年10月からの稼働開始を目標に据えた。
五嶋祐治朗
FY16
2016/11
売上高
3,231億円
親会社株主に帰属する当期純利益
260億円
五嶋祐治朗
SAPの収益性が低下。サバイバルPJを開始
戦略パートナーP&Gの値下げ圧力で主力の高吸水性樹脂(SAP)収益性が低迷し、欧州子会社NSEは慢性赤字に転落していた。そこで日本触媒は「サバイバルPJ」を発足し経営改革を開始。2020年度までの4ヵ年で設備投資900億円・戦略投資600億円・研究開発費570億円を投じる方針を公表し、SAP事業の収益力回復と新規事業創出を掲げた。
最大顧客P&Gの値下げ圧力が突きつけた一貫生産の限界
FY17
2017/11
売上高
2,939億円
親会社株主に帰属する当期純利益
193億円
五嶋祐治朗
FY18
2018/11
売上高
3,228億円
親会社株主に帰属する当期純利益
242億円
重要事項
五嶋祐治朗
三洋化成との統合(撤回)
日本触媒と三洋化成の経営統合は、SAP市場の成熟化に対する業界再編として構想された。しかし、統合準備期間中に日本触媒の欧州事業が急速に悪化し、ベルギー関連で119億円の減損を計上したことで、統合比率の前提が崩壊した。三洋化成の中国事業が安定していたことが業績格差を際立たせ、破談の直接的要因となった。統合判断時の業績と実行時の業績が乖離するリスクを示した事例である。
経営判断をよむ →
FY19
2019/11
売上高
3,496億円
親会社株主に帰属する当期純利益
250億円
五嶋祐治朗
FY20
2020/11
売上高
3,021億円
親会社株主に帰属する当期純利益
110億円
野田和宏
最終赤字108億円に転落
日本触媒は2021年3月期に108億円の最終赤字に転落した。欧州子会社NSEは現地での高吸水性樹脂の競争激化により設備の減損119億円を計上。さらに2017年に買収した米SIRRUS Inc.(接着剤の開発ベンチャー)も事業が軌道に乗らず92億円の減損を計上した。よって新規事業として期待されたSIRRUSは買収数年で減損に至った。
欧州増産とベンチャー買収――二つの投資判断が同時に裏目に出た期
FY21
2021/11
売上高
2,731億円
親会社株主に帰属する当期純利益
-108億円
野田和宏
FY22
2022/11
売上高
3,692億円
親会社株主に帰属する当期純利益
237億円
野田和宏
FY23
2023/11
売上高
4,195億円
親会社株主に帰属する当期純利益
193億円
野田和宏
FY24
2024/11
売上高
3,920億円
親会社株主に帰属する当期純利益
110億円
野田和宏
FY25
2025/11
売上高
4,093億円
親会社株主に帰属する当期純利益
173億円
FY26
2026/11
売上高
3,999億円
親会社株主に帰属する当期純利益
168億円
  1. 空襲で本社焼失。吹田工場に移転

    大阪市内の工場(田川通)を焼失。土地を稲畑産業に売却して、本社を吹田工場(1944年稼働)に移転

  2. 商号を日本触媒化学工業に変更
    日本触媒の再出発において八谷泰造氏が定めた方針は、同族経営の回避と増資による持分希薄化という資本政策であった。創業者の納氏が経営を放棄した経験から、八谷氏は企業の公器性を重視し、自身の保有比率を意図的に下げる道を選んだ。富士製鐵による33%出資は、仕入先との取引関係を資本関係に転換した事例でもある。個人経営の失敗を起点に、開かれた企業統治を志向した資本設計の原型が形成された。
  3. 大阪証券取引所第1部に株式上場
  4. 無水マイレン酸の製造開始

    無水フタル酸の副産物として製造。主な用途はポリエステル樹脂の塗料・農薬・医薬の原料など

  5. 半期赤字に転落。富士製鐵が救済
    日本触媒の経営危機において、富士製鐵は仕入先と筆頭株主という二つの立場から救済に動いた。ナフタリンの現物出資という形式は、現金支出を伴わずに資本増強と原料確保を同時に実現する手法であった。取引関係を資本関係に転換した構造が、不況期の安全弁として機能した。売上の90%を無水フタル酸に依存する単一製品リスクが顕在化した局面で、サプライヤーとの資本的紐帯が企業存続を左右した事例である。
  6. 組織再編
    大光海運を設立(現・日触物流)

    物流子会社として大光海運株式会社を設立した。現在の日触物流株式会社にあたり、化学品輸送の社内インフラ整備の起点となった。

  7. 組織再編
    日宝化学に資本参加

    日宝化学株式会社に資本参加した。すなわち化学品グループ会社網を拡張する一環で連結子会社化に至った。

  8. 株式上場
    東京証券取引所に株式を上場

    東京証券取引所に株式を上場した。1952年の大阪証券取引所上場に続き、東西両市場で資金調達基盤を整える動きとなった。

  9. 酸化エチレンの量産開始
    日本触媒の石油化学転換は、資本金4.8億円の企業が9.8億円の設備投資を決断するという規模の判断であった。海外技術導入が主流の時代に国産技術で酸化エチレンの工業化に成功し、独立系コンビナートへの参画で量産体制を構築した。川崎と姫路の2拠点体制は、原料から製品までの一貫生産を可能にし、後のアクリル酸・SAP事業の基盤ともなった。身の丈を超えた投資判断が企業の成長段階を引き上げた事例である。
  10. 姫路工場を新設
  11. 組織再編
    本社を高麗橋に移転、吹田に研究所

    本社を大阪市東区高麗橋(現大阪市中央区高麗橋)に移転した。同時に吹田工場内に研究所を新設し、研究開発体制を整備する転機となった。

  12. 川崎第二工場を新設
  13. 追浜工場を新設(1978年休止)
  14. セカンダリーアルコールエトキシレートの製造を開始

    川崎第二工場(現・川崎製造所浮島工場)でセカンダリーアルコールエトキシレートの製造を開始した。すなわち界面活性剤分野への展開となった。

  15. 姫路研究所・川崎研究所を設置
  16. メタクリル酸・同エステルの製造を開始

    姫路製造所でメタクリル酸およびメタクリル酸エステルの製造を開始した。アクリル酸事業に隣接するメタクリル系への参入であり、後の住友化学との事業交換の伏線となった。

  17. 姫路製造所で高吸水性樹脂(SAP)の製造を開始

    姫路製造所で高吸水性樹脂の製造を開始した。すなわち1985年に量産化される主力製品SAPの工業化スタートに位置付けられ、後にP&G向け供給と欧州・アジア展開を支える基盤となった。

  18. 高級水性樹脂(SAP)の製造を開始
    日本触媒のSAP事業は、三洋化成とユニチャームが先行する市場に後発で参入しながら、短期間でシェア1位を獲得した。その要因は、アクリル酸からSAPまでの一貫生産体制にある。原料を内製できることで、外部調達に依存する競合に対してコスト競争力と供給安定性の双方で優位に立った。P&Gという世界最大の顧客を確保した上での参入も、量産規模の確保に寄与した。原料統合による構造的優位が後発逆転を可能にした事例である。
  19. NA Industries Inc.を設立(米国法人)
  20. 10ヵ年総合経営計画「テクノアメニティ」を策定
  21. 社名を「株式会社日本触媒」に変更

    社名を「日本触媒化学工業株式会社」から「株式会社日本触媒」に変更した。化学工業の枠を超えた事業領域拡大を打ち出すブランド変更となった。

  22. インドネシアに現地法人を設立

    インドネシアに現地法人を設立し、現地生産を開始。日本触媒の東南アジアにおける主力生産拠点となった。

  23. シンガポールに現地法人を設立
  24. 欧州に現地法人を設立(ベルギー)
  25. 長期経営計画「テクノアメニティNV」を策定

    日本触媒はFY2001〜FY2006の長期ビジョン「テクノアメニティNV」を策定し、グローバル展開と事業ポートフォリオ経営を打ち出した。アクリル酸と高吸水性樹脂をコア事業と定義しP&G向け供給責任のため積極投資を決定。一方で不飽和ポリエステル等の樹脂事業は再構築方針を掲げたが、撤退(合弁化)は2014年にずれ込んだ。管理指標はROAと営業CF・販売貢献利益を採用した。

    海外成長で国内低迷を補う事業ポートフォリオ転換の功罪
  26. 住友化学と事業交換。アクリル酸を取得し、メチルメタクリレートを譲渡
  27. 中国に現地法人を設立
  28. 企業買収海外進出
    シンガポール・アクリリック等2社を取得

    シンガポール・アクリリックPTE LTDおよびシンガポール・グレーシャル・アクリリックPTE.LTD.を取得し連結子会社化した。アクリル酸の海外生産能力をシンガポールで一気に拡張する買収となった。

  29. 企業買収海外進出
    日本乳化剤と中日合成化學(台湾)を取得

    日本乳化剤株式会社と、中日合成化學股份有限公司(台湾)を取得した。すなわち国内の乳化剤メーカーと台湾の化学品メーカーを同時に連結子会社化し、エトキシレート系・界面活性剤系の事業基盤を強化した。

  30. 吹田工場を閉鎖(研究拠点として継続活用)

    1943年に開設した吹田工場(大阪府)について、製品生産の終了を決定。生産品目の不飽和ポリエステル樹脂について、三井化学との合弁会社に事業譲渡したことで、生産設備の維持が困難となった。工場閉鎖後は、引き続き日本触媒の研究開発拠点として継続活用へ

  31. 欧州で高吸水性樹脂の増産を決定

    欧州における高吸水性樹脂および、その原料であるアクリル酸の増産を決定。ベルギーの子会社NSEを通じて、新工場の新設を決定した。投資額は455億円を予定し、2017年10月からの稼働開始を目標に据えた。

  32. SAPの収益性が低下。サバイバルPJを開始

    戦略パートナーP&Gの値下げ圧力で主力の高吸水性樹脂(SAP)収益性が低迷し、欧州子会社NSEは慢性赤字に転落していた。そこで日本触媒は「サバイバルPJ」を発足し経営改革を開始。2020年度までの4ヵ年で設備投資900億円・戦略投資600億円・研究開発費570億円を投じる方針を公表し、SAP事業の収益力回復と新規事業創出を掲げた。

    最大顧客P&Gの値下げ圧力が突きつけた一貫生産の限界
  33. 最終赤字108億円に転落

    日本触媒は2021年3月期に108億円の最終赤字に転落した。欧州子会社NSEは現地での高吸水性樹脂の競争激化により設備の減損119億円を計上。さらに2017年に買収した米SIRRUS Inc.(接着剤の開発ベンチャー)も事業が軌道に乗らず92億円の減損を計上した。よって新規事業として期待されたSIRRUSは買収数年で減損に至った。

    欧州増産とベンチャー買収――二つの投資判断が同時に裏目に出た期