日本触媒の沿革(1941〜2025年)

日本触媒の創業から現在までの主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に一覧できる沿革(社史年表)ページです。 各年の売上高・純利益などの業績推移と、歴史的意義の解説をあわせて掲載しています。 社史・報道資料などの公開情報をもとに重要事項を判断の上、作成しています。

年度売上高純利益年月区分出来事歴史的意義
1941
1-12月
ヲサメ合成化学工業株式会社を設立
爆発リスクが生んだ参入障壁と国内シェア70%
1945
1-12月
空襲で本社焼失。吹田工場に移転
大阪市内の工場(田川通)を焼失。土地を稲畑産業に売却して、本社を吹田工場(1944年稼働)に移転
1950
1-12月
商号を日本触媒化学工業に変更
個人経営の破綻が生んだ「企業は公器なり」の資本設計
FY51
1951/11
売上高
3.79億円
当期純利益
0.95億円
FY52
1952/11
売上高
4.36億円
当期純利益
0.52億円
大阪証券取引所第1部に株式上場
無水マイレン酸の製造開始
無水フタル酸の副産物として製造。主な用途はポリエステル樹脂の塗料・農薬・医薬の原料など
半期赤字に転落。富士製鐵が救済
仕入先が筆頭株主として救済した創業期の経営危機
FY53
1953/11
売上高
5.24億円
当期純利益
0.34億円
FY54
1954/11
売上高
7.32億円
当期純利益
0.92億円
FY55
1955/11
売上高
10.2億円
当期純利益
1.8億円
FY56
1956/11
売上高
16.7億円
当期純利益
3億円
FY57
1957/11
売上高
21.4億円
当期純利益
3.2億円
FY58
1958/11
売上高
22.3億円
当期純利益
2.5億円
FY59
1959/11
売上高
35.8億円
当期純利益
3.9億円
酸化エチレンの量産開始
資本金の2倍を投じた「潰れる」と言われた石油化学転換
FY60
1960/11
売上高
55.4億円
当期純利益
5.3億円
姫路工場を新設
FY61
1961/11
売上高
69.7億円
当期純利益
4.4億円
FY62
1962/11
売上高
69億円
当期純利益
2.1億円
FY63
1963/11
売上高
71.8億円
当期純利益
2.6億円
FY64
1964/11
売上高
83.7億円
当期純利益
2.6億円
FY65
1965/11
売上高
90.9億円
当期純利益
2.3億円
FY66
1966/11
売上高
104億円
当期純利益
2.7億円
FY67
1967/11
売上高
134億円
当期純利益
7.2億円
川崎第二工場を新設
FY68
1968/11
売上高
155億円
当期純利益
8.5億円
FY69
1969/11
売上高
167億円
当期純利益
9億円
FY70
1970/11
売上高
202億円
当期純利益
10.3億円
アクリル酸の製造を開始
気相酸化技術を応用してアクリル酸の製造を開始(国内初)
追浜工場を新設(1978年休止)
FY71
1971/11
売上高
225億円
当期純利益
9.2億円
FY72
1972/11
売上高
244億円
当期純利益
9.8億円
FY73
1973/11
売上高
328億円
当期純利益
17.4億円
FY74
1974/11
売上高
569億円
当期純利益
32.2億円
FY75
1975/11
売上高
566億円
当期純利益
20.1億円
FY76
1976/11
売上高
656億円
当期純利益
22.2億円
FY77
1977/11
売上高
682億円
当期純利益
19.4億円
FY78
1978/11
売上高
695億円
当期純利益
15.3億円
FY79
1979/11
売上高
864億円
当期純利益
28.9億円
FY80
1980/11
売上高
997億円
当期純利益
23.4億円
FY81
1981/11
売上高
982億円
当期純利益
12.5億円
姫路研究所・川崎研究所を設置
FY82
1982/11
売上高
956億円
当期純利益
14.4億円
FY83
1983/11
売上高
945億円
当期純利益
12.6億円
FY84
1984/11
売上高
1,011億円
当期純利益
33.5億円
FY85
1985/11
売上高
1,068億円
当期純利益
31.8億円
高級水性樹脂(SAP)の製造を開始
後発参入でシェア逆転を実現した原料一貫生産の構造
FY86
1986/11
売上高
1,026億円
当期純利益
36.5億円
FY87
1987/11
売上高
1,050億円
当期純利益
56.2億円
FY88
1988/11
売上高
1,171億円
当期純利益
63.9億円
NA Industries Inc.を設立(米国法人)
FY89
1989/11
売上高
1,323億円
当期純利益
99.7億円
FY90
1990/11
10ヵ年総合経営計画「テクノアメニティ」を策定
FY96
1996/11
売上高
1,584億円
当期純利益
54億円
インドネシアに現地法人を設立
インドネシアに現地法人を設立し、現地生産を開始。日本触媒の東南アジアにおける主力生産拠点となった。
FY97
1997/11
売上高
562億円
当期純利益
15億円
FY98
1998/11
売上高
1,718億円
当期純利益
52億円
シンガポールに現地法人を設立
FY99
1999/11
売上高
1,601億円
当期純利益
44億円
欧州に現地法人を設立(ベルギー)
FY00
2000/11
売上高
1,624億円
当期純利益
26億円
FY01
2001/11
売上高
1,605億円
当期純利益
12億円
長期経営計画「テクノアメニティNV」を策定
日本触媒はFY2001〜FY2006における長期経営ビジョンとして「テクノアメニティNV」を策定。グローバル展開の本格化を明言するとともに、「事業ポートフォリオ」を軸とした経営指針を策定した。 日本触媒は歴史的な経緯により、汎用樹脂を中心とする低収益事業と、高吸水性樹脂を中心とする高収益事業が混在する事業構成であった。これを是正して全社の収益性を改善するため、事業ポートフォリオの入れ替えを本格化した。 積極投資の面では、アクリル酸と高吸水性樹脂を「コア事業」と定義して、グローバル生産体制のための投資を決定。P&Gへの供給責任を果たすべく、積極投資の姿勢を鮮明に打ち出した。 事業整理の観点では、樹脂事業(不飽和ポリエステル事業など)について事業再構築の方針を表明した。ただし、不飽和ポリエステルからの撤退(合弁会社による運営)に移行したのは2014年であり、撤退判断が遅れる形となっている。 長期経営計画にあたって、全社管理目標としてROA、事業管理目標として営業キャッシュフローおよび販売貢献利益(日本触媒が独自定義)を選定した。全社面では、資産効率を意識した投資効率の最適化、事業面では各事業への利益責任を明確化することを意図した。 日本触媒のグローバル戦略によって、2000年代および2010年代を通じて海外を中心に売上高を拡大した。ただし、日本国内では樹脂事業など不採算事業の占める割合が多く、売上高が長期的に低迷。結果として、売上構成の面では「海外の成長で、国内の低迷をカバー」する形となり、全社視点での売上成長は限定的となった。
海外成長で国内低迷を補う事業ポートフォリオ転換の功罪
FY02
2002/11
売上高
1,597億円
当期純利益
15億円
住友化学と事業交換。アクリル酸を取得し、メチルメタクリレートを譲渡
FY03
2003/11
売上高
1,635億円
当期純利益
55億円
中国に現地法人を設立
FY04
2004/11
売上高
1,697億円
当期純利益
88億円
FY05
2005/11
売上高
1,972億円
当期純利益
157億円
FY06
2006/11
売上高
2,324億円
当期純利益
162億円
FY07
2007/11
売上高
2,665億円
当期純利益
139億円
FY08
2008/11
売上高
3,027億円
当期純利益
118億円
FY09
2009/11
売上高
2,891億円
当期純利益
-53億円
FY10
2010/11
売上高
2,443億円
当期純利益
108億円
FY11
2011/11
売上高
2,883億円
当期純利益
211億円
FY12
2012/11
売上高
3,207億円
当期純利益
212億円
姫路製造所で爆発事故が発生
アクリル酸タンクの温度上昇による爆発事故が発生。消火活動にあたっていた消防士1名が死亡し、その他30名が重軽傷となった。
FY13
2013/11
売上高
2,695億円
当期純利益
84億円
FY14
2014/11
売上高
3,021億円
当期純利益
105億円
FY15
2015/11
売上高
3,749億円
当期純利益
190億円
吹田工場を閉鎖(研究拠点として継続活用)
1943年に開設した吹田工場(大阪府)について、製品生産の終了を決定。生産品目の不飽和ポリエステル樹脂について、三井化学との合弁会社に事業譲渡したことで、生産設備の維持が困難となった。 工場閉鎖後は、引き続き日本触媒の研究開発拠点として継続活用へ
欧州で高吸水性樹脂の増産を決定
欧州における高吸水性樹脂および、その原料であるアクリル酸の増産を決定。ベルギーの子会社NSEを通じて、新工場の新設を決定した。 投資額は455億円を予定し、2017年10月からの稼働開始を目標に据えた。
FY16
2016/11
売上高
3,231億円
当期純利益
260億円
FY17
2017/11
売上高
2,939億円
当期純利益
193億円
SAPの収益性が低下。サバイバルPJを開始
戦略パートナー顧客(=P&G)からの値下げ圧力により、主力の高吸水性樹脂(SAP)収益性が低迷。特に、欧州子会社のNSEについて慢性的な赤字に転落しており、経営改革が急務な状況であった。そこで、日本触媒は利益率改善のために「サバイバルPJ」を発足して経営改革をスタートさせた。 日本触媒は2020年度までの4ヵ年にわたり積極投資の方針を決定。設備投資に900億円、戦略投資に600億円、研究開発費に570億円を累計で投資する方針を公表した。事業観点では高吸水性樹脂事業における収益力の回復と、新規事業の創出加速を掲げた。
最大顧客P&Gの値下げ圧力が突きつけた一貫生産の限界
FY18
2018/11
売上高
3,228億円
当期純利益
242億円
FY19
2019/11
売上高
3,389億円
当期純利益
238億円
三洋化成との統合(撤回)
統合準備中の業績変動が破談させたSAP業界再編
FY20
2020/11
売上高
3,497億円
当期純利益
110億円
FY21
2021/11
売上高
2,732億円
当期純利益
-108億円
最終赤字108億円に転落
2021年3月期に日本触媒は108億円の最終赤字に転落。子会社(欧州および米国)における減損損失を計上したことが影響した。 日本触媒のヨーロッパ子会社(NSE)について、119億円の減損損失を計上。欧州地区における高吸水性樹脂の競争激化による収益低下により、設備(固定資産)の減損計上に至った。 米国の子会社SIRRUS Inc.(2017年買収)について、92億円の減損損失を計上。同社は接着剤の開発ベンチャー企業であったが、事業が軌道にのらず減損に至った。このため、新規事業として期待されていたが、買収からわずか数年での減損計上となった。
欧州増産とベンチャー買収――二つの投資判断が同時に裏目に出た期
FY22
2022/11
売上高
3,693億円
当期純利益
237億円
FY23
2023/11
売上高
4,196億円
当期純利益
193億円
FY24
2024/11
売上高
3,920億円
当期純利益
110億円
FY25
2025/11
売上高
4,093億円
当期純利益
173億円
  1. ヲサメ合成化学工業株式会社を設立
    爆発リスクが生んだ参入障壁と国内シェア70%
  2. 空襲で本社焼失。吹田工場に移転

    大阪市内の工場(田川通)を焼失。土地を稲畑産業に売却して、本社を吹田工場(1944年稼働)に移転

  3. 商号を日本触媒化学工業に変更
    個人経営の破綻が生んだ「企業は公器なり」の資本設計
  4. 大阪証券取引所第1部に株式上場
  5. 無水マイレン酸の製造開始

    無水フタル酸の副産物として製造。主な用途はポリエステル樹脂の塗料・農薬・医薬の原料など

  6. 半期赤字に転落。富士製鐵が救済
    仕入先が筆頭株主として救済した創業期の経営危機
  7. 酸化エチレンの量産開始
    資本金の2倍を投じた「潰れる」と言われた石油化学転換
  8. 姫路工場を新設
  9. 川崎第二工場を新設
  10. アクリル酸の製造を開始

    気相酸化技術を応用してアクリル酸の製造を開始(国内初)

  11. 追浜工場を新設(1978年休止)
  12. 姫路研究所・川崎研究所を設置
  13. 高級水性樹脂(SAP)の製造を開始
    後発参入でシェア逆転を実現した原料一貫生産の構造
  14. NA Industries Inc.を設立(米国法人)
  15. 10ヵ年総合経営計画「テクノアメニティ」を策定
  16. インドネシアに現地法人を設立

    インドネシアに現地法人を設立し、現地生産を開始。日本触媒の東南アジアにおける主力生産拠点となった。

  17. シンガポールに現地法人を設立
  18. 欧州に現地法人を設立(ベルギー)
  19. 長期経営計画「テクノアメニティNV」を策定

    日本触媒はFY2001〜FY2006における長期経営ビジョンとして「テクノアメニティNV」を策定。グローバル展開の本格化を明言するとともに、「事業ポートフォリオ」を軸とした経営指針を策定した。 日本触媒は歴史的な経緯により、汎用樹脂を中心とする低収益事業と、高吸水性樹脂を中心とする高収益事業が混在する事業構成であった。これを是正して全社の収益性を改善するため、事業ポートフォリオの入れ替えを本格化した。 積極投資の面では、アクリル酸と高吸水性樹脂を「コア事業」と定義して、グローバル生産体制のための投資を決定。P&Gへの供給責任を果たすべく、積極投資の姿勢を鮮明に打ち出した。 事業整理の観点では、樹脂事業(不飽和ポリエステル事業など)について事業再構築の方針を表明した。ただし、不飽和ポリエステルからの撤退(合弁会社による運営)に移行したのは2014年であり、撤退判断が遅れる形となっている。 長期経営計画にあたって、全社管理目標としてROA、事業管理目標として営業キャッシュフローおよび販売貢献利益(日本触媒が独自定義)を選定した。全社面では、資産効率を意識した投資効率の最適化、事業面では各事業への利益責任を明確化することを意図した。 日本触媒のグローバル戦略によって、2000年代および2010年代を通じて海外を中心に売上高を拡大した。ただし、日本国内では樹脂事業など不採算事業の占める割合が多く、売上高が長期的に低迷。結果として、売上構成の面では「海外の成長で、国内の低迷をカバー」する形となり、全社視点での売上成長は限定的となった。

    海外成長で国内低迷を補う事業ポートフォリオ転換の功罪
  20. 住友化学と事業交換。アクリル酸を取得し、メチルメタクリレートを譲渡
  21. 中国に現地法人を設立
  22. 姫路製造所で爆発事故が発生

    アクリル酸タンクの温度上昇による爆発事故が発生。消火活動にあたっていた消防士1名が死亡し、その他30名が重軽傷となった。

  23. 吹田工場を閉鎖(研究拠点として継続活用)

    1943年に開設した吹田工場(大阪府)について、製品生産の終了を決定。生産品目の不飽和ポリエステル樹脂について、三井化学との合弁会社に事業譲渡したことで、生産設備の維持が困難となった。 工場閉鎖後は、引き続き日本触媒の研究開発拠点として継続活用へ

  24. 欧州で高吸水性樹脂の増産を決定

    欧州における高吸水性樹脂および、その原料であるアクリル酸の増産を決定。ベルギーの子会社NSEを通じて、新工場の新設を決定した。 投資額は455億円を予定し、2017年10月からの稼働開始を目標に据えた。

  25. SAPの収益性が低下。サバイバルPJを開始

    戦略パートナー顧客(=P&G)からの値下げ圧力により、主力の高吸水性樹脂(SAP)収益性が低迷。特に、欧州子会社のNSEについて慢性的な赤字に転落しており、経営改革が急務な状況であった。そこで、日本触媒は利益率改善のために「サバイバルPJ」を発足して経営改革をスタートさせた。 日本触媒は2020年度までの4ヵ年にわたり積極投資の方針を決定。設備投資に900億円、戦略投資に600億円、研究開発費に570億円を累計で投資する方針を公表した。事業観点では高吸水性樹脂事業における収益力の回復と、新規事業の創出加速を掲げた。

    最大顧客P&Gの値下げ圧力が突きつけた一貫生産の限界
  26. 三洋化成との統合(撤回)
    統合準備中の業績変動が破談させたSAP業界再編
  27. 最終赤字108億円に転落

    2021年3月期に日本触媒は108億円の最終赤字に転落。子会社(欧州および米国)における減損損失を計上したことが影響した。 日本触媒のヨーロッパ子会社(NSE)について、119億円の減損損失を計上。欧州地区における高吸水性樹脂の競争激化による収益低下により、設備(固定資産)の減損計上に至った。 米国の子会社SIRRUS Inc.(2017年買収)について、92億円の減損損失を計上。同社は接着剤の開発ベンチャー企業であったが、事業が軌道にのらず減損に至った。このため、新規事業として期待されていたが、買収からわずか数年での減損計上となった。

    欧州増産とベンチャー買収――二つの投資判断が同時に裏目に出た期

参考文献・出所

有価証券報告書
産業フロンティア物語
逆境を生きぬく(八谷泰造著)
証券調査
ヤノレポート