沿革年表 1981〜2026年における重要度別の出来事(合計28件)
| 年月 | 区分 | 社長/CEO | 出来事 | 年度 | 売上高 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
重要事項会社設立 | 孫正義 | 日本ソフトバンクを設立 歴史的意義yutaka sugiura ソフトウェア流通の空白を突いた創業構想自体は合理的だが、注目すべきは23歳の孫正義氏がシャープ副社長や野村証券社長といった財界重鎮の人脈を動員して信用力を調達した点にある。卸売業は取引先の信頼が事業基盤となるため、大森氏の招聘と1000名規模の歓迎パーティーは、事業そのものの設計と同等に重要な信用構築の装置であったと考えられる。 | FY82 1982/3 | 売上高 23億円 | ||
| 孫正義 | FY83 1983/3 | 売上高 45億円 | ||||
| 孫正義 | FY84 1984/3 | 売上高 75億円 | ||||
| 孫正義 | FY85 1985/3 | 売上高 115億円 | ||||
| 孫正義 | ソフトバンクに商号変更 | FY90 1990/3 | ||||
| 孫正義 | FY92 1992/3 | 売上高 438億円 | ||||
| 孫正義 | FY93 1993/3 | 売上高 516億円 | 当期純利益 6億円 | |||
| 孫正義 | FY94 1994/3 | 売上高 640億円 | 当期純利益 9.3億円 | |||
| 孫正義 | 日本証券業協会にて店頭登録 1994年7月にソフトバンクは店頭登録により株式を公開 | FY95 1995/3 | 売上高 968億円 | 当期純利益 20.5億円 | ||
企業買収 | 米で展示場事業を買収・ベンチャー企業の情報収集へ 歴史的意義yutaka sugiura Ziff-Davisの買収は表面的にはメディア企業の取得だが、実態はシリコンバレーのベンチャー情報を収集するための情報基盤への投資であった。買収リターンをZiff-Davisの営業利益ではなくベンチャー投資の成果に依存させた構造は、のちのSVFにおける投資モデルの原型といえる。個人会社MACとの共同買収スキームも含め、従来の企業買収の枠組みに収まらない孫正義氏独自の投資設計が表れた案件であった。 | |||||
| 孫正義 | 社債調達を本格化 歴史的意義yutaka sugiura 売上高1711億円の企業が2200億円の社債を発行した事実は、通常の信用分析では説明しにくい。北尾吉孝氏の招聘に象徴されるように、ソフトバンクは証券市場の論理を社内に持ち込むことで銀行依存から脱却し、FA債という新方式で調達コストまで圧縮した。買収戦略と財務戦略を一体で設計した点に、この時期のソフトバンクの特徴がある。 | FY96 1996/3 | 売上高 1,711億円 | 当期純利益 57.9億円 | ||
重要事項業務提携 | 米国Yahooと合弁でヤフー株式会社を設立 歴史的意義yutaka sugiura 注目すべきは投資規模の非対称性である。米Yahoo株式5%を2億円で取得し、追加出資を含めても約102億円の投下資本が、ネットバブル期には3兆円超の含み益を生んだ。Ziff-Davis買収による情報ネットワークがYahoo発掘の起点となっており、約21億ドルの買収費用を回収する論理が、買収先企業の収益ではなく派生的なベンチャー投資のリターンにあった点が鮮明に表れた。 | |||||
事業売却 | テレビ朝日の株式を一部取得・衛星放送に投資 歴史的意義yutaka sugiura テレビ朝日株式21.4%を間接取得するスキームは財務的には合理的だったが、テレビ局側が経営の独立性を優先してIT企業の介入を排除した点が本件の核心である。1990年代の日本のメディア業界では、新聞社とテレビ局の資本関係が強固であり、外部資本による経営参画を受け入れる土壌がなかった。ソフトバンクのメディア構想は市場環境ではなく業界構造によって頓挫した。 | |||||
| 孫正義 | キングストンテクノロジーを買収・半導体に投資 ソフトバンクのキャッシュアウトは約1160億円で、1998年を期限とする4回分割払い。残りはソフトバンクが第三者割当増資で、キングストン創業者が約460億円のソフトバンクの株式を取得して捻出。つまりソフトバンクの高値の株価を活用して買収 | FY97 1997/3 | 売上高 3,597億円 | 当期純利益 90.9億円 | ||
企業買収 | トレンドマイクロ社の株式35%を取得 歴史的意義yutaka sugiura トレンドマイクロへの出資は、利益率29%の高収益企業を売上高の約5倍で評価した投資である。1996年のソフトバンクはZiff-Davis、Yahoo、テレビ朝日、キングストンと年間で数千億円規模の投資を連発しており、トレンドマイクロの35億円は相対的に小粒であった。しかし、パソコン普及に伴うセキュリティ需要の構造的拡大を見込んだ投資判断として、IT産業のインフラ層に広く投資する1996年のソフトバンクの方針が表れた案件であった。 | |||||
重要事項 | 孫正義 | 「孫流拡大路線に暗雲」と報じられるも、孫正義は買収の継続を明言 経営判断をよむ → | FY98 1998/3 | 売上高 5,133億円 | 当期純利益 103億円 | |
| 孫正義 | ソフトバンクインベストメンツ(現在SBIホールディングス)を設立 | FY99 1999/3 | 売上高 5,281億円 | 当期純利益 375億円 | ||
重要事項事業売却 | 孫正義 | ネットバブル崩壊・投資先の株式売却 歴史的意義yutaka sugiura ネットバブル期のソフトバンクの時価総額はYahooの含み益に依存しており、株価下落が即座に企業価値の毀損に直結する構造であった。バブル崩壊後の対応として、2年間で合計4000億円超の売却益を確保しつつ、Ziff-Davisや日本債券信用銀行など1990年代の投資資産を段階的に処分した点は、攻めの投資期から守りの資産整理期への切り替え速度を示している。 | FY00 2000/3 | 売上高 4,232億円 | 当期純利益 84.4億円 | |
| 孫正義 | FY01 2001/3 | 売上高 3,971億円 | 当期純利益 366億円 | |||
重要事項 | 孫正義 | ADSLに新規参入(ブロードバンド) 歴史的意義yutaka sugiura ADSL事業の本質は技術選択ではなく、先行投資で市場シェアを確保し数年後の黒字転換を狙う事業展開モデルの確立にある。売上高399億円に対して営業赤字962億円という数字は、通常の事業判断では許容されない水準であり、孫正義氏の「百数十万ユーザーで損益分岐」という計算に基づくリスクテイクであった。この手法は携帯電話事業やPayPayに継承され、ソフトバンクグループの消費者事業における一貫した行動様式となった。 | FY02 2002/3 | 売上高 4,053億円 | 当期純利益 -887億円 | |
| 孫正義 | FY03 2003/3 | 売上高 4,068億円 | 当期純利益 -999億円 | |||
| 孫正義 | FY04 2004/3 | 売上高 5,173億円 | 当期純利益 -1,070億円 | |||
重要事項 | 孫正義 | 日本テレコムを買収(光ファイバーに参入) 法人向け固定通信事業(BtoB)。法人向けにADSLの営業を強化するための顧客獲得を主眼とした買収。顧客基盤600万ユーザーを確保し、将来の携帯キャリアへの参入の布石とした 経営判断をよむ → | FY05 2005/3 | 売上高 8,370億円 | 当期純利益 -598億円 | |
重要事項企業買収 | ソフトバンクがホークス買収を表明。本命はサントリー・NTTドコモとされ懐疑的に見られる 経営判断をよむ → | |||||
| 孫正義 | FY06 2006/3 | 売上高 11,086億円 | 当期純利益 575億円 | |||
企業買収 | 孫正義 | ボーダフォンを買収・携帯キャリアに新規参入 歴史的意義yutaka sugiura ボーダフォン買収で注目すべきは買収金額の大きさよりも、ノンリコースローンによるLBOスキームの設計にある。ボーダフォンの資産を担保に1.2兆円を調達し、買収が不調でもソフトバンク本体への影響を限定する構造は、1990年代のZiff-Davis買収時にMAC(個人会社)を噛ませたスキームと通底する。リスクを限定しつつ巨額の資産を取得する財務設計がソフトバンクの買収における一貫した特徴である。 | FY07 2007/3 | 売上高 25,442億円 | 当期純利益 288億円 | |
| 孫正義 | FY08 2008/3 | 売上高 27,761億円 | 当期純利益 1,086億円 | |||
| 孫正義 | FY09 2009/3 | 売上高 26,730億円 | 当期純利益 431億円 | |||
| 孫正義 | FY10 2010/3 | 売上高 27,634億円 | 当期純利益 967億円 | |||
| 孫正義 | FY11 2011/3 | 売上高 30,046億円 | 当期純利益 1,897億円 | |||
| 孫正義 | SBエナジー株式会社を設立 2011年3月の東日本大震災を受けて、再生可能エネルギー事業に参入 | FY12 2012/3 | 売上高 32,024億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 3,137億円 | ||
携帯基地局を増強。2013年までに2500億円投資 | ||||||
| 孫正義 | FY13 2013/3 | 売上高 33,783億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,894億円 | |||
重要事項 | 孫正義 | 米スプリントを1.8兆円で買収 携帯キャリア事業で海外展開へ 経営判断をよむ → | FY14 2014/3 | 売上高 66,666億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 5,202億円 | |
| 孫正義 | Alibaba Group Holding Limitedがニューヨーク証券取引所に上場 | FY15 2015/3 | 売上高 85,041億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 6,683億円 | ||
| 孫正義 | アローラ・ニケシュ氏が副社長に就任 孫正義氏の後継者候補として副社長に就任 | FY16 2016/3 | 売上高 88,817億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 4,741億円 | ||
ソフトバンクグループに商号変更 | ||||||
重要事項 | 孫正義 | 英ARM社を約3.3兆円で買収 半導体の需要増大を見据えて、半導体の設計企業を買収。スマホ向けに強み。巨額買収の資金は、アリババを中心とした保有株式の売却で充当 経営判断をよむ → | FY17 2017/3 | 売上高 89,010億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 14,263億円 | |
重要事項 | 孫正義 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドを組成 歴史的意義yutaka sugiura SVF1では外部投資家が運用額の3分の2を占め、ソフトバンクのリスクは限定的であった。しかしSVF2では資金調達の不調により自己資金比率が96%に達し、投資先の評価変動がほぼ直接的にソフトバンクの損益に反映される構造となった。WeWorkの損失に象徴されるように、ファンドの成績が企業価値を規定する体制への移行は、ソフトバンクの財務構造を根本的に変容させた局面であった。 | FY18 2018/3 | 売上高 91,587億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 10,389億円 | |
| 孫正義 | FY19 2019/3 | 売上高 60,935億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 14,111億円 | |||
重要事項 | 孫正義 | 4.5兆円の資産売却。最大2.5兆円の自社株買いを公表 ソフトバンクグループの保有株式(ソフトバンク・アリババ・ARMなど)の時価に対して、ソフトバンクグループの株式は安価で推移した。このため、孫正義氏は割安と判断し、過去最大規模の2.5兆円の自社株買いを公表。資金を捻出するために保有資産(アリババの株式など)の売却に舵を切った 経営判断をよむ → | FY20 2020/3 | 売上高 52,389億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -9,615億円 | |
| 孫正義 | スプリントとTモバイルと合併 経営不振だったスプリントの再建で苦戦。業界3位を争ったTモバイルと合併し、スプリントの株式は売却へ | FY21 2021/3 | 売上高 56,281億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 49,879億円 | ||
| 孫正義 | ARMのNvidiaへの売却破談 米連邦取引委員会(FTC)がNvidiaへのARMの売却が市場独占につながるとして提訴。売却は破談へ | FY22 2022/3 | 売上高 62,215億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -17,080億円 | ||
| 孫正義 | 社債発行で2.9兆円を資金調達(アリババの株式を先渡売買契約) | FY23 2023/3 | 売上高 65,704億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -9,701億円 | ||
| 孫正義 | FY24 2024/3 | 売上高 67,565億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -2,276億円 | |||
| 孫正義 | FY25 2025/3 | 売上高 72,437億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 11,533億円 | |||
FY26 2026/3 | 売上高 77,986億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 50,023億円 |
- 日本ソフトバンクを設立ソフトウェア流通の空白を突いた創業構想自体は合理的だが、注目すべきは23歳の孫正義氏がシャープ副社長や野村証券社長といった財界重鎮の人脈を動員して信用力を調達した点にある。卸売業は取引先の信頼が事業基盤となるため、大森氏の招聘と1000名規模の歓迎パーティーは、事業そのものの設計と同等に重要な信用構築の装置であったと考えられる。
- ソフトバンクに商号変更
- 日本証券業協会にて店頭登録
1994年7月にソフトバンクは店頭登録により株式を公開
- 米で展示場事業を買収・ベンチャー企業の情報収集へZiff-Davisの買収は表面的にはメディア企業の取得だが、実態はシリコンバレーのベンチャー情報を収集するための情報基盤への投資であった。買収リターンをZiff-Davisの営業利益ではなくベンチャー投資の成果に依存させた構造は、のちのSVFにおける投資モデルの原型といえる。個人会社MACとの共同買収スキームも含め、従来の企業買収の枠組みに収まらない孫正義氏独自の投資設計が表れた案件であった。
- 社債調達を本格化売上高1711億円の企業が2200億円の社債を発行した事実は、通常の信用分析では説明しにくい。北尾吉孝氏の招聘に象徴されるように、ソフトバンクは証券市場の論理を社内に持ち込むことで銀行依存から脱却し、FA債という新方式で調達コストまで圧縮した。買収戦略と財務戦略を一体で設計した点に、この時期のソフトバンクの特徴がある。
- テレビ朝日の株式を一部取得・衛星放送に投資テレビ朝日株式21.4%を間接取得するスキームは財務的には合理的だったが、テレビ局側が経営の独立性を優先してIT企業の介入を排除した点が本件の核心である。1990年代の日本のメディア業界では、新聞社とテレビ局の資本関係が強固であり、外部資本による経営参画を受け入れる土壌がなかった。ソフトバンクのメディア構想は市場環境ではなく業界構造によって頓挫した。
- キングストンテクノロジーを買収・半導体に投資
ソフトバンクのキャッシュアウトは約1160億円で、1998年を期限とする4回分割払い。残りはソフトバンクが第三者割当増資で、キングストン創業者が約460億円のソフトバンクの株式を取得して捻出。つまりソフトバンクの高値の株価を活用して買収
- トレンドマイクロ社の株式35%を取得トレンドマイクロへの出資は、利益率29%の高収益企業を売上高の約5倍で評価した投資である。1996年のソフトバンクはZiff-Davis、Yahoo、テレビ朝日、キングストンと年間で数千億円規模の投資を連発しており、トレンドマイクロの35億円は相対的に小粒であった。しかし、パソコン普及に伴うセキュリティ需要の構造的拡大を見込んだ投資判断として、IT産業のインフラ層に広く投資する1996年のソフトバンクの方針が表れた案件であった。
- ソフトバンクインベストメンツ(現在SBIホールディングス)を設立
- ボーダフォンを買収・携帯キャリアに新規参入ボーダフォン買収で注目すべきは買収金額の大きさよりも、ノンリコースローンによるLBOスキームの設計にある。ボーダフォンの資産を担保に1.2兆円を調達し、買収が不調でもソフトバンク本体への影響を限定する構造は、1990年代のZiff-Davis買収時にMAC(個人会社)を噛ませたスキームと通底する。リスクを限定しつつ巨額の資産を取得する財務設計がソフトバンクの買収における一貫した特徴である。
- SBエナジー株式会社を設立
2011年3月の東日本大震災を受けて、再生可能エネルギー事業に参入
- 携帯基地局を増強。2013年までに2500億円投資
- Alibaba Group Holding Limitedがニューヨーク証券取引所に上場
- アローラ・ニケシュ氏が副社長に就任
孫正義氏の後継者候補として副社長に就任
- ソフトバンクグループに商号変更
- スプリントとTモバイルと合併
経営不振だったスプリントの再建で苦戦。業界3位を争ったTモバイルと合併し、スプリントの株式は売却へ
- ARMのNvidiaへの売却破談
米連邦取引委員会(FTC)がNvidiaへのARMの売却が市場独占につながるとして提訴。売却は破談へ
- 社債発行で2.9兆円を資金調達(アリババの株式を先渡売買契約)