イビデンの沿革(1912〜2024年)
イビデンの創業から現在までの主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に一覧できる沿革(社史年表)ページです。 各年の売上高・純利益などの業績推移と、歴史的意義の解説をあわせて掲載しています。 社史・報道資料などの公開情報をもとに重要事項を判断の上、作成しています。
| 年度 | 売上高 | 純利益 | 年月 | 区分 | 出来事 | 歴史的意義 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1912 1-12月 | 揖斐川電力株式会社を設立 1912年に立川勇次郎は岐阜県大垣市にて揖斐川電力株式会社(現イビデン)を設立した。立川は美濃を拠点とする裕福な元藩士の家系に生まれ、地元で養老鉄道などの事業を立ち上げた実業家であった。一級河川である揖斐川の豊富な水力資源を活用し、水力発電所を設置して電力事業に参入した。
ただし、当時の大垣周辺には電力需要そのものが乏しかった。発電所を建設しても、電力の買い手が十分にいなければ事業は成り立たない。立川は発電と需要創出を同時に設計する必要があった。
立川は安価な水力電力を武器に、紡績工場を大垣周辺に誘致する戦略をとった。大正期は繊維産業が発展しつつあり、電力コストの低減は紡績会社にとって立地選定の重要な要素であった。大日本紡績をはじめとする大手企業が大垣に進出し、揖斐川電力の安定的な顧客基盤が形成された。
この結果、高度経済成長期まで大垣では繊維産業が発展し、立川の構想どおりの展開となった。立川は大垣の経済発展に寄与した人物として地域の歴史に記憶されており、イビデンもまた本社を構える大垣において「名門企業」として位置づけられてきた。 | 発電所と需要を同時に設計した地方実業家の産業誘致モデル | ||||
1917 1-12月 | 大垣工場を新設。カーバイドの製造を開始 | |||||
1921 1-12月 | 商号を揖斐川電気株式会社に変更 | |||||
1942 1-12月 | divestiture | 電力事業から撤退。カーバイドに業態転換 | 売電から自家消費へ、電力の用途転換による垂直統合モデルの構築 | |||
1949 1-12月 | 東京証券取引所に株式上場 | |||||
1960 1-12月 | 建材に本格参入 | |||||
1970 1-12月 | プリント配線板に参入 | 建材のエッチング技術が半導体基板への転身を可能にした技術転用の構造 | ||||
FY71 1971/3 | 売上高 133億円 | 経常利益 2.87億円 | ||||
FY72 1972/3 | 売上高 136億円 | 経常利益 3.11億円 | ||||
FY73 1973/3 | 売上高 155億円 | 経常利益 2.26億円 | ||||
FY74 1974/3 | 売上高 212億円 | 経常利益 7.49億円 | ||||
FY75 1975/3 | 売上高 280億円 | 経常利益 7.28億円 | ||||
FY76 1976/3 | 売上高 258億円 | 経常利益 0.7億円 | 緊急合理化対策を発表 1973年のオイルショックを契機に、それまでのイビデンの主力事業であった「カーバイド」に対する需要が減少した。加えて、業界内におけるカーバイドの過剰生産も問題となり、イビデンはそれまでの主力事業が行き詰まってしまう。
1976年にイビデンは、緊急合理化対策を発表し、社員200名のリストラを決定した。この決定について、のちにイビデンの社長に就任した遠藤氏は苦しい思いをしたことを述懐しており、今後は二度とリストラをしないことを誓ったという。 | |||
FY77 1977/3 | 売上高 273億円 | 経常利益 8.47億円 | ||||
FY78 1978/3 | 売上高 256億円 | 経常利益 4.82億円 | ||||
FY79 1979/3 | 売上高 278億円 | 経常利益 6.55億円 | ||||
FY80 1980/3 | 売上高 351億円 | 経常利益 16.5億円 | ||||
FY81 1981/3 | 売上高 380億円 | 経常利益 19.9億円 | ||||
FY82 1982/3 | 売上高 382億円 | 経常利益 20.6億円 | 商号をイビデンに変更 | |||
FY83 1983/3 | 売上高 401億円 | 経常利益 26億円 | ||||
FY84 1984/3 | 売上高 435億円 | 経常利益 29.3億円 | ||||
FY85 1985/3 | 売上高 507億円 | 経常利益 33.6億円 | ||||
FY87 1987/3 | プラスチックパッケージ基板の生産開始 | セラミック全盛期にプラスチックを選んだ素材戦略の先見と時間差 | ||||
FY94 1994/3 | インテル攻略プロジェクトを発足。遠藤社長が直轄でPJを率先 | 全社の研究開発費を一事業に集中投入した「心中覚悟」の資源配分 | ||||
FY97 1997/3 | 売上高 881億円 | 経常利益 60億円 | ||||
FY98 1998/3 | 売上高 1,051億円 | 経常利益 92億円 | ||||
FY99 1999/3 | 乗用車向けDPFの実用化 | |||||
FY01 2001/3 | フィリピンにパッケージ基板の製造拠点を設置 | |||||
FY03 2003/3 | 売上高 2,101億円 | 経常利益 93億円 | ||||
FY04 2004/3 | 売上高 2,205億円 | 経常利益 131億円 | ハンガリーにてDPFの生産開始 | |||
FY05 2005/3 | 売上高 2,475億円 | 経常利益 217億円 | ||||
FY06 2006/3 | 売上高 3,190億円 | 経常利益 425億円 | ||||
FY07 2007/3 | 売上高 3,966億円 | 経常利益 736億円 | ||||
FY08 2008/3 | 売上高 4,135億円 | 経常利益 675億円 | 自己資金で618億円の設備投資。マレーシア新工場の建設開始 | 全額自己資金による618億円投資と借入非依存の財務規律 | ||
FY09 2009/3 | 売上高 3,093億円 | 経常利益 34億円 | 最終赤字87億円に転落 | |||
FY10 2010/3 | 売上高 2,742億円 | 経常利益 194億円 | ||||
FY11 2011/3 | 売上高 3,049億円 | 経常利益 335億円 | パッケージ基板をマレーシアで量産開始 FY2017にイビデンは約600億円の事業改革構造費用を特別損失として計上し、最終赤字628億円を計上した。損失の主な内訳は、グループ会社の事業用資産の減損であった。電子セグメントでは、マレーシアを中心としたパッケージ基板の製造設備に関する減損が累計約381億円に及んだ。 | |||
FY12 2012/3 | 売上高 3,008億円 | 経常利益 162億円 | ||||
FY13 2013/3 | 売上高 2,859億円 | 経常利益 108億円 | ||||
FY14 2014/3 | 売上高 3,102億円 | 経常利益 284億円 | ||||
FY15 2015/3 | 売上高 3,180億円 | 経常利益 313億円 | ||||
FY16 2016/3 | 売上高 3,141億円 | 経常利益 207億円 | ||||
FY17 2017/3 | 売上高 2,664億円 | 経常利益 23億円 | デンソーと業務資本提携を締結 | |||
FY18 2018/3 | 売上高 3,004億円 | 経常利益 176億円 | パッケージ基板への投資再開 2010年代後半からAWSなどのクラウドサービスが世界的に普及し、データセンターの増設ラッシュが沸き起こった。このため、半導体業界ではデータセンター向けのプロセッサーの生産が急増し、イビデンの顧客であるインテルの半導体生産量の増大が予想された。
そこで、2018年にイビデンは、3年間でICパッケージ基板に投資する方針を示した。特に、FY2020における設備投資額を従来計画よりも250億円増大させた900億円に修正し、その大半をパッケージ基板向けの投資に当てる方針を決定した。
イビデンとしては、2017年に最終赤字を計上していたものの、すぐに投資を再開するという異色の決断を下す形となった。そもそも、赤字を計上したもののイビデンの財務体質が良好であり、設備投資にあたって借入金に依存していなかったため、巨額投資を追加決定しやすかったものと推察される。 | |||
FY19 2019/3 | 売上高 2,911億円 | 経常利益 126億円 | ||||
FY20 2020/3 | 売上高 2,959億円 | 経常利益 213億円 | ||||
FY21 2021/3 | 売上高 3,234億円 | 経常利益 407億円 | ||||
FY22 2022/3 | 売上高 4,011億円 | 経常利益 743億円 | インテル向け復調 2018年以降、Intelはイビデンに対するパッケージ基板の発注量を毎年増大させ、イビデンの売上拡大を牽引した。
この結果、イビデンはパッケージ基板の販売を拡大し、FY2021にインテル向けの販売高が1736億円(イビデンの全社売上高の約40%)に及び、電子セグメントの売上高セグメント利益率も40%という驚異的な水準に達した。 | |||
FY23 2023/3 | 売上高 4,175億円 | 経常利益 761億円 | ||||
2024 1-12月 | 河間事業所新棟を稼働 |
- 揖斐川電力株式会社を設立
1912年に立川勇次郎は岐阜県大垣市にて揖斐川電力株式会社(現イビデン)を設立した。立川は美濃を拠点とする裕福な元藩士の家系に生まれ、地元で養老鉄道などの事業を立ち上げた実業家であった。一級河川である揖斐川の豊富な水力資源を活用し、水力発電所を設置して電力事業に参入した。 ただし、当時の大垣周辺には電力需要そのものが乏しかった。発電所を建設しても、電力の買い手が十分にいなければ事業は成り立たない。立川は発電と需要創出を同時に設計する必要があった。 立川は安価な水力電力を武器に、紡績工場を大垣周辺に誘致する戦略をとった。大正期は繊維産業が発展しつつあり、電力コストの低減は紡績会社にとって立地選定の重要な要素であった。大日本紡績をはじめとする大手企業が大垣に進出し、揖斐川電力の安定的な顧客基盤が形成された。 この結果、高度経済成長期まで大垣では繊維産業が発展し、立川の構想どおりの展開となった。立川は大垣の経済発展に寄与した人物として地域の歴史に記憶されており、イビデンもまた本社を構える大垣において「名門企業」として位置づけられてきた。
発電所と需要を同時に設計した地方実業家の産業誘致モデル - 大垣工場を新設。カーバイドの製造を開始
- 商号を揖斐川電気株式会社に変更
- 電力事業から撤退。カーバイドに業態転換売電から自家消費へ、電力の用途転換による垂直統合モデルの構築
- 東京証券取引所に株式上場
- 建材に本格参入
- プリント配線板に参入建材のエッチング技術が半導体基板への転身を可能にした技術転用の構造
- 緊急合理化対策を発表
1973年のオイルショックを契機に、それまでのイビデンの主力事業であった「カーバイド」に対する需要が減少した。加えて、業界内におけるカーバイドの過剰生産も問題となり、イビデンはそれまでの主力事業が行き詰まってしまう。 1976年にイビデンは、緊急合理化対策を発表し、社員200名のリストラを決定した。この決定について、のちにイビデンの社長に就任した遠藤氏は苦しい思いをしたことを述懐しており、今後は二度とリストラをしないことを誓ったという。
- 商号をイビデンに変更
- プラスチックパッケージ基板の生産開始セラミック全盛期にプラスチックを選んだ素材戦略の先見と時間差
- インテル攻略プロジェクトを発足。遠藤社長が直轄でPJを率先全社の研究開発費を一事業に集中投入した「心中覚悟」の資源配分
- 乗用車向けDPFの実用化
- フィリピンにパッケージ基板の製造拠点を設置
- ハンガリーにてDPFの生産開始
- 自己資金で618億円の設備投資。マレーシア新工場の建設開始全額自己資金による618億円投資と借入非依存の財務規律
- 最終赤字87億円に転落
- パッケージ基板をマレーシアで量産開始
FY2017にイビデンは約600億円の事業改革構造費用を特別損失として計上し、最終赤字628億円を計上した。損失の主な内訳は、グループ会社の事業用資産の減損であった。電子セグメントでは、マレーシアを中心としたパッケージ基板の製造設備に関する減損が累計約381億円に及んだ。
- デンソーと業務資本提携を締結
- パッケージ基板への投資再開
2010年代後半からAWSなどのクラウドサービスが世界的に普及し、データセンターの増設ラッシュが沸き起こった。このため、半導体業界ではデータセンター向けのプロセッサーの生産が急増し、イビデンの顧客であるインテルの半導体生産量の増大が予想された。 そこで、2018年にイビデンは、3年間でICパッケージ基板に投資する方針を示した。特に、FY2020における設備投資額を従来計画よりも250億円増大させた900億円に修正し、その大半をパッケージ基板向けの投資に当てる方針を決定した。 イビデンとしては、2017年に最終赤字を計上していたものの、すぐに投資を再開するという異色の決断を下す形となった。そもそも、赤字を計上したもののイビデンの財務体質が良好であり、設備投資にあたって借入金に依存していなかったため、巨額投資を追加決定しやすかったものと推察される。
- インテル向け復調
2018年以降、Intelはイビデンに対するパッケージ基板の発注量を毎年増大させ、イビデンの売上拡大を牽引した。 この結果、イビデンはパッケージ基板の販売を拡大し、FY2021にインテル向けの販売高が1736億円(イビデンの全社売上高の約40%)に及び、電子セグメントの売上高セグメント利益率も40%という驚異的な水準に達した。
- 河間事業所新棟を稼働