JTの沿革・歴史的証言

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1949年〜2025

JTの1949年〜2025年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言

年度売上高純利益年月区分出来事歴史的意義
1949
1-12月
日本政府により日本専売公社を設立
官営でも民営でもない「公社化」が残した経営制約
1957
1-12月
ホープ(10)を発売
1977
1-12月
たばこ工場の集約再編を開始
専売公社では国内の葉たばこ産地に隣接して数十箇所の工場が存在した。だが小規模かつ老朽化が進み、生産効率が低下していた。そこで1970年代後半から国内工場の再編に着手。1986年までに4工場を新設する一方で8工場を閉鎖し、生産性改善を図った。しかし地方の雇用拠点であり政治色も強く閉鎖は難航し、再編がほぼ完了したのは2010年代であった。したがってJTは1970年から約50年以上をかけて統廃合を進める形となり、経営上のボトルネックとなった。
1982
1-12月
専売公社の民営化を検討開始
1980年代前半まで、海外のたばこ企業は「資本自由化の対象外」とされて日本に進出できない状況が続き、貿易摩擦の問題に発展。そこで、1982年に日本政府は「臨時行政調査会」を通じて専売公社の民営化を提言。自動車や半導体の日米貿易摩擦が深刻化する中で、規制緩和による懐柔の一手として「外国産たばこの進出容認」と「専売公社の民営化」が具現化した。
FY86
1986/3
会社設立
日本たばこ産業を発足
政府全株保有のまま発足した「段階的民営化」の設計思想
組織再編
福岡・鳥栖両工場を廃止し北九州工場を新設
たばこ製造の近代化と効率化を進めるために福岡・鳥栖両工場を廃止し、新たに北九州工場を設置した。1970年代後半から続く国内工場集約再編の一環として位置づけられる。
FY89
1989/3
JTのブランドを採用
FY93
1993/3
売上高
33,334億円
当期純利益
503億円
FY94
1994/3
売上高
33,935億円
当期純利益
636億円
組織再編
医薬総合研究所を設置
医薬事業の研究開発体制を充実・強化するため医薬総合研究所を設けた。1980年代から育成してきた医薬事業を中核第二事業へ押し上げる意図がにじむ布石となった。
FY95
1995/3
売上高
35,024億円
当期純利益
694億円
東京証券取引所に株式上場
日本政府(大蔵大臣)による株式保有を希薄化させるために、株式上場及び政府保有株式の売却を実施
FY96
1996/3
売上高
35,488億円
当期純利益
679億円
FY97
1997/3
売上高
36,974億円
当期純利益
801億円
政府保有株式の第二次売出し
1994年の上場・第一次売出しに続き、政府保有比率を段階的に低下させる第二次売出しを実施した。すなわち民営化の設計思想に沿った株主構成の希薄化が進んだ。
FY98
1998/3
売上高
35,969億円
当期純利益
580億円
事業撤退
塩専売事業が終了
塩専売制度の廃止に伴い、専売公社時代から継承していた塩専売事業が終了した。同時にたばこ共済年金を厚生年金に統合した。すなわち専売公社の遺制が法制度面でも整理された節目となった。
FY99
1999/3
売上高
38,765億円
当期純利益
746億円
ユニマットコーポレーションと飲料事業で提携
清涼飲料に参入するために、ユニマットコーポレーションと提携へ
企業買収
鳥居薬品を公開買付で過半数取得
医薬事業強化に向け、鳥居薬品の発行済株式の過半数を公開買付(TOB)により取得した。よって鳥居薬品はJTグループに組み込まれ、医薬事業の中核子会社となった。
FY00
2000/3
売上高
43,712億円
当期純利益
507億円
企業買収
RJRナビスコ社のたばこ事業(米国以外)を買収
「時間を資本で代替」した72億ドルの海外進出決断
旭化成の食品事業を買収
鳥居薬品と業務提携を締結
FY01
2001/3
売上高
45,017億円
当期純利益
436億円
FY02
2002/3
売上高
45,441億円
当期純利益
368億円
FY03
2003/3
売上高
44,922億円
当期純利益
753億円
希望退職4000名を募集。不採算工場を閉鎖
縮小する国内たばこ需要に対応するため、生産性の低い国内工場の閉鎖を継続
FY04
2004/3
売上高
46,251億円
当期純利益
-76億円
組織再編
広島・府中・松山・那覇工場を閉鎖
国内たばこ需要の縮小に対応するため、広島・府中・松山・那覇の各工場を閉鎖した。前年度の仙台・名古屋・橋本工場閉鎖に続く工場集約再編の継続となった。
FY05
2005/3
売上高
46,645億円
当期純利益
625億円
政府保有株式の第三次売出し
民営化スキームに沿って政府保有株式の第三次売出しを実施した。したがって政府保有比率はさらに低下し、株主構成の希薄化が進展した。
国内8工場を閉鎖(上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城)
FY06
2006/3
売上高
46,376億円
当期純利益
2,015億円
事業撤退
マールボロ国内ライセンス契約終了
1972年から続いていたマールボロ製品の日本国内における製造・販売ライセンス契約を終了した。すなわちフィリップ・モリスの自販体制移行に伴いJTは国内における外資ブランド受託事業を失った。
FY07
2007/3
売上高
47,693億円
当期純利益
2,107億円
FY08
2008/3
売上高
64,097億円
当期純利益
2,387億円
企業買収
Gallaher社を買収
国内コスト改革の蓄積が2兆円規模の買収余力を生んだ構造
加ト吉をTOBにより買収
FY09
2009/3
売上高
68,323億円
当期純利益
1,234億円
組織再編
金沢工場を閉鎖
国内たばこ需要縮小に対応する工場集約の一環として金沢工場を閉鎖した。
FY10
2010/3
売上高
61,346億円
当期純利益
1,384億円
組織再編
盛岡・米子工場を閉鎖
国内たばこ需要縮小に対応する工場集約の一環として盛岡・米子両工場を閉鎖した。
FY11
2011/3
売上収益
20,593億円
当期利益
2,433億円
国内1工場を閉鎖(小田原)
FY12
2012/3
売上収益
20,338億円
当期利益
3,208億円
国内1工場を閉鎖(防府)
FY13
2013/3
売上高
21,201億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,435億円
「マイルドセブン」を「メビウス」に刷新
国内主力ブランドであった「マイルドセブン」を、海外展開を見据えて「メビウス」へ刷新した。1977年発売以来35年使われた基幹ブランドの統合が、グローバル展開の象徴となった。
1600名を人員削減。不採算工場の閉鎖を継続
縮小する国内たばこ需要に対応するため、生産性の低い国内工場の閉鎖を継続
FY14
2014/3
売上高
20,197億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,629億円
FY15
2015/3
売上高
22,528億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4,856億円
企業買収
American Spiritを買収
数量ではなく「価格帯と顧客層を買う」6000億円の投資判断
FY16
2016/3
売上高
21,432億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4,216億円
飲料事業から撤退(飲料事業部の廃止)
JTの飲料事業は2015年時点で売上高500億円規模・業界10位と低迷した。飲料業界は過当競争が進み、2013年時点で営業赤字13億円を計上するなど採算が取れない状況に陥った。よって1988年に参入した飲料事業は約30年で行き詰まった。2015年にJTは飲料事業からの撤退を決定。「桃の天然水」など強いブランドを保持していたこともあり、同業のサントリー食品インターナショナルに対し約1500億円で事業売却を決めた。
FY17
2017/3
売上高
21,396億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,924億円
FY18
2018/3
売上高
22,159億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,856億円
FY19
2019/3
売上高
21,756億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,481億円
加熱式たばこの発売
FY20
2020/3
売上高
20,925億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,102億円
FY21
2021/3
売上高
23,248億円
親会社株主に帰属する当期純利益
3,384億円
組織再編
本社を東京都港区虎ノ門に移転
本社所在地を従来の港区赤坂から港区虎ノ門四丁目(神谷町トラストタワー)に移転した。
FY22
2022/3
売上高
26,578億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4,427億円
たばこ事業の本社機能をジュネーブに統合
FY23
2023/3
売上高
28,410億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4,822億円
FY24
2024/3
売上高
30,567億円
親会社株主に帰属する当期純利益
1,792億円
FY25
2025/3
売上高
34,676億円
親会社株主に帰属する当期純利益
5,101億円
企業買収
米Vector Group Ltd.を取得
米国の中堅たばこメーカーVector Group Ltd.の発行済株式を取得した。これにより米国市場におけるディスカウントブランドのプレゼンス拡大を狙った布石となった。
事業撤退
医薬事業を塩野義製薬に譲渡
1993年の医薬総合研究所設立から30年余で築いた医薬事業を塩野義製薬に譲渡した。同年5月に承継合意を締結、9月に鳥居薬品の全株式を譲渡したうえで12月に医薬事業本体の譲渡を完了した。すなわちJTは医薬から撤退し、たばこ事業への集中を一段と強めた。
  1. 日本政府により日本専売公社を設立
    官営でも民営でもない「公社化」が残した経営制約
  2. ホープ(10)を発売
  3. たばこ工場の集約再編を開始

    専売公社では国内の葉たばこ産地に隣接して数十箇所の工場が存在した。だが小規模かつ老朽化が進み、生産効率が低下していた。そこで1970年代後半から国内工場の再編に着手。1986年までに4工場を新設する一方で8工場を閉鎖し、生産性改善を図った。しかし地方の雇用拠点であり政治色も強く閉鎖は難航し、再編がほぼ完了したのは2010年代であった。したがってJTは1970年から約50年以上をかけて統廃合を進める形となり、経営上のボトルネックとなった。

  4. 専売公社の民営化を検討開始

    1980年代前半まで、海外のたばこ企業は「資本自由化の対象外」とされて日本に進出できない状況が続き、貿易摩擦の問題に発展。そこで、1982年に日本政府は「臨時行政調査会」を通じて専売公社の民営化を提言。自動車や半導体の日米貿易摩擦が深刻化する中で、規制緩和による懐柔の一手として「外国産たばこの進出容認」と「専売公社の民営化」が具現化した。

  5. 会社設立
    日本たばこ産業を発足
    政府全株保有のまま発足した「段階的民営化」の設計思想
  6. 組織再編
    福岡・鳥栖両工場を廃止し北九州工場を新設

    たばこ製造の近代化と効率化を進めるために福岡・鳥栖両工場を廃止し、新たに北九州工場を設置した。1970年代後半から続く国内工場集約再編の一環として位置づけられる。

  7. JTのブランドを採用
  8. 組織再編
    医薬総合研究所を設置

    医薬事業の研究開発体制を充実・強化するため医薬総合研究所を設けた。1980年代から育成してきた医薬事業を中核第二事業へ押し上げる意図がにじむ布石となった。

  9. 東京証券取引所に株式上場

    日本政府(大蔵大臣)による株式保有を希薄化させるために、株式上場及び政府保有株式の売却を実施

  10. 政府保有株式の第二次売出し

    1994年の上場・第一次売出しに続き、政府保有比率を段階的に低下させる第二次売出しを実施した。すなわち民営化の設計思想に沿った株主構成の希薄化が進んだ。

  11. 事業撤退
    塩専売事業が終了

    塩専売制度の廃止に伴い、専売公社時代から継承していた塩専売事業が終了した。同時にたばこ共済年金を厚生年金に統合した。すなわち専売公社の遺制が法制度面でも整理された節目となった。

  12. ユニマットコーポレーションと飲料事業で提携

    清涼飲料に参入するために、ユニマットコーポレーションと提携へ

  13. 企業買収
    鳥居薬品を公開買付で過半数取得

    医薬事業強化に向け、鳥居薬品の発行済株式の過半数を公開買付(TOB)により取得した。よって鳥居薬品はJTグループに組み込まれ、医薬事業の中核子会社となった。

  14. 企業買収
    RJRナビスコ社のたばこ事業(米国以外)を買収
    「時間を資本で代替」した72億ドルの海外進出決断
  15. 旭化成の食品事業を買収
  16. 鳥居薬品と業務提携を締結
  17. 希望退職4000名を募集。不採算工場を閉鎖

    縮小する国内たばこ需要に対応するため、生産性の低い国内工場の閉鎖を継続

  18. 組織再編
    広島・府中・松山・那覇工場を閉鎖

    国内たばこ需要の縮小に対応するため、広島・府中・松山・那覇の各工場を閉鎖した。前年度の仙台・名古屋・橋本工場閉鎖に続く工場集約再編の継続となった。

  19. 政府保有株式の第三次売出し

    民営化スキームに沿って政府保有株式の第三次売出しを実施した。したがって政府保有比率はさらに低下し、株主構成の希薄化が進展した。

  20. 国内8工場を閉鎖(上田・函館・高崎・高松・徳島・臼杵・鹿児島・都城)
  21. 事業撤退
    マールボロ国内ライセンス契約終了

    1972年から続いていたマールボロ製品の日本国内における製造・販売ライセンス契約を終了した。すなわちフィリップ・モリスの自販体制移行に伴いJTは国内における外資ブランド受託事業を失った。

  22. 企業買収
    Gallaher社を買収
    国内コスト改革の蓄積が2兆円規模の買収余力を生んだ構造
  23. 加ト吉をTOBにより買収
  24. 組織再編
    金沢工場を閉鎖

    国内たばこ需要縮小に対応する工場集約の一環として金沢工場を閉鎖した。

  25. 組織再編
    盛岡・米子工場を閉鎖

    国内たばこ需要縮小に対応する工場集約の一環として盛岡・米子両工場を閉鎖した。

  26. 国内1工場を閉鎖(小田原)
  27. 国内1工場を閉鎖(防府)
  28. 「マイルドセブン」を「メビウス」に刷新

    国内主力ブランドであった「マイルドセブン」を、海外展開を見据えて「メビウス」へ刷新した。1977年発売以来35年使われた基幹ブランドの統合が、グローバル展開の象徴となった。

  29. 1600名を人員削減。不採算工場の閉鎖を継続

    縮小する国内たばこ需要に対応するため、生産性の低い国内工場の閉鎖を継続

  30. 企業買収
    American Spiritを買収
    数量ではなく「価格帯と顧客層を買う」6000億円の投資判断
  31. 飲料事業から撤退(飲料事業部の廃止)

    JTの飲料事業は2015年時点で売上高500億円規模・業界10位と低迷した。飲料業界は過当競争が進み、2013年時点で営業赤字13億円を計上するなど採算が取れない状況に陥った。よって1988年に参入した飲料事業は約30年で行き詰まった。2015年にJTは飲料事業からの撤退を決定。「桃の天然水」など強いブランドを保持していたこともあり、同業のサントリー食品インターナショナルに対し約1500億円で事業売却を決めた。

  32. 加熱式たばこの発売
  33. 組織再編
    本社を東京都港区虎ノ門に移転

    本社所在地を従来の港区赤坂から港区虎ノ門四丁目(神谷町トラストタワー)に移転した。

  34. たばこ事業の本社機能をジュネーブに統合
  35. 企業買収
    米Vector Group Ltd.を取得

    米国の中堅たばこメーカーVector Group Ltd.の発行済株式を取得した。これにより米国市場におけるディスカウントブランドのプレゼンス拡大を狙った布石となった。

  36. 事業撤退
    医薬事業を塩野義製薬に譲渡

    1993年の医薬総合研究所設立から30年余で築いた医薬事業を塩野義製薬に譲渡した。同年5月に承継合意を締結、9月に鳥居薬品の全株式を譲渡したうえで12月に医薬事業本体の譲渡を完了した。すなわちJTは医薬から撤退し、たばこ事業への集中を一段と強めた。

歴史的証言

長岡實(日本たばこ産業 初代社長)
5年後には輸入たばこのシェアは5%位までにはなるだろう
JT経営陣
先進国の需要は頭打ちですが、これから所得水準が上がる途上国では逆に需要が伸びます。だから国際的に見れば、たばこ事業は成長の余地が大きい。たばこ事業を中核としていく限り、国際化は避けて通れません

参考文献・出所

有価証券報告書
日本専売公社史
日経新聞 1987/6/22
日経新聞 1993/11/25
決算説明会 FY15
日経新聞朝刊 1999/3/10
日経産業新聞 1999/3/11
日経ビジネス 1999/4/19
週刊東洋経済 2006/1/28
日経新聞 2014/2/2
東洋経済オンライン 2015/1
統合報告書
日経産業新聞 2016/12/28
テレ東プラス 2021/8
決算説明会 FY24
統合報告書 2024
日経ビジネス 2024/5