東日本旅客鉄道の沿革・歴史的証言
1987年〜2025年
東日本旅客鉄道の1987年〜2025年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言
| 年度 | 売上高 | 純利益 | 年月 | 区分 | 出来事 | 歴史的意義 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1987 1-12月 | 会社設立 | 国鉄分割民営化によりJR東日本を設立 日本国有鉄道の事業を引き継ぎ、旅客鉄道事業・旅客自動車運送事業等を開始。6旅客鉄道会社および日本貨物鉄道が同時に設立 | 戦後最大の行政改革の一つ。国鉄の累積債務約37兆円を清算事業団に移管し、地域分割・民営化によって経営の自律性を確保した | |||
企業買収 | 東日本キヨスクの株式取得・子会社化 現JR東日本クロスステーション | |||||
1988 1-12月 | 組織再編 | 開発事業本部を設置 関連事業の推進体制強化を目的 | ||||
事業売却 | バス事業部門を分離 ジェイアールバス東北・ジェイアールバス関東を設立し営業譲渡 | |||||
1989 1-12月 | ジェイアール東日本高架開発を設立 現JR東日本都市開発 | |||||
事業売却 | 情報システム部門を分離 JR東日本情報システムを設立し営業譲渡 | |||||
FY92 1992/3 | 営業収益 22,223億円 | 当期純利益 600億円 | 設備投資 | 東北・上越新幹線の東京駅乗り入れ開始 東京〜上野間3.6km開業 | 都心ターミナルへの直結により東北・上越新幹線の利便性が飛躍的に向上。東京駅の新幹線ハブ機能が確立した | |
設備投資 | 新幹線鉄道施設を新幹線鉄道保有機構から譲受け 東北・上越新幹線の車両を除く鉄道施設 | リース方式から自社保有への転換により、新幹線インフラの経営自由度が大幅に拡大した | ||||
FY93 1993/3 | 営業収益 23,388億円 | 当期純利益 568億円 | 設備投資 | 山形新幹線の運転開始 東北新幹線から奥羽線(福島〜山形間)への直通運転 | ミニ新幹線方式の初適用。在来線の改軌で新幹線直通を実現し、フル規格建設に比べ大幅に投資を抑えた | |
FY94 1994/3 | 営業収益 23,433億円 | 当期純利益 567億円 | 株式上場 | 東京・大阪・名古屋の各証券取引所第一部に株式上場 国鉄清算事業団所有の250万株を売却 | 国鉄民営化6年で東証一部上場を達成。政府保有株の放出を通じた完全民営化への第一歩となった | |
FY95 1995/3 | 営業収益 24,480億円 | 当期純利益 655億円 | ||||
FY96 1996/3 | 営業収益 24,732億円 | 当期純利益 684億円 | ||||
FY97 1997/3 | 営業収益 25,138億円 | 当期純利益 707億円 | 設備投資 | 秋田新幹線の運転開始 東北新幹線から田沢湖線・奥羽線(盛岡〜秋田間)への直通運転 | 山形に続く2例目のミニ新幹線。東北エリアの新幹線ネットワークが拡大した | |
FY98 1998/3 | 営業収益 25,148億円 | 当期純利益 662億円 | 設備投資 | 北陸新幹線(高崎〜長野間)開業 | 長野オリンピック開催に合わせた部分開業。北陸方面へのフル規格新幹線の最初の区間となった | |
FY99 1999/3 | 営業収益 24,836億円 | 当期純利益 219億円 | ||||
FY00 2000/3 | 営業収益 25,029億円 | 当期純利益 670億円 | 設備投資 | 山形新幹線を新庄駅まで延伸 | ||
FY01 2001/3 | 売上高 25,460億円 | 当期純利益 692億円 | ||||
FY02 2002/3 | 営業収益 25,434億円 | 当期純利益 475億円 | 組織再編 | JR会社法の適用対象から除外 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の改正 | 法的な政府関与が解除され、JR東日本は純粋な民間企業として経営の完全な自由度を獲得した | |
企業買収 | 東京モノレールを子会社化 株式取得による子会社化 | 羽田空港アクセスの強化。鉄道ネットワークの補完戦略の一環 | ||||
FY03 2003/3 | 営業収益 25,657億円 | 当期純利益 979億円 | 組織再編 | 完全民営化を達成 日本鉄道建設公団所有の最後の50万株を売却 | 設立から15年で政府保有株が全て放出され、名実ともに完全民間企業となった | |
設備投資 | 東北新幹線(盛岡〜八戸間)開業 | 東北新幹線の北方延伸。本州北端への新幹線ネットワーク拡大が進展 | ||||
FY04 2004/3 | 営業収益 25,423億円 | 当期純利益 1,198億円 | ||||
FY05 2005/3 | 営業収益 25,375億円 | 当期純利益 1,115億円 | ||||
FY06 2006/3 | 営業収益 25,923億円 | 当期純利益 1,575億円 | 社長交代 | 清野智が代表取締役社長に就任 | 有報記載のFY05期社長 | |
FY07 2007/3 | 営業収益 26,573億円 | 当期純利益 1,758億円 | ||||
FY08 2008/3 | 営業収益 27,035億円 | 当期純利益 1,896億円 | ||||
FY09 2009/3 | 営業収益 26,969億円 | 当期純利益 1,872億円 | ||||
FY10 2010/3 | 営業収益 25,737億円 | 当期純利益 1,202億円 | ||||
FY11 2011/3 | 営業収益 25,373億円 | 当期純利益 762億円 | 設備投資 | 東北新幹線(八戸〜新青森間)開業 | 東北新幹線が新青森まで全線開業。本州最北端への高速鉄道ネットワークが完成した | |
FY12 2012/3 | 営業収益 25,321億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,087億円 | 社長交代 | 冨田哲郎が代表取締役社長に就任 | 東日本大震災直後の社長交代 | |
FY13 2013/3 | 営業収益 26,718億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,753億円 | 企業買収 | 東急車輛の鉄道車両製造事業を取得 総合車両製作所として子会社化 | 車両製造の内製化により、技術開発から製造までの一貫体制を構築した | |
FY14 2014/3 | 営業収益 27,029億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,999億円 | ||||
FY15 2015/3 | 売上高 27,561億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,803億円 | 設備投資 | 北陸新幹線(長野〜上越妙高間)開業 | 北陸新幹線の金沢方面延伸(JR東日本管轄区間)。東京〜金沢間が直結し、北陸エリアへのアクセスが大幅に改善した | |
FY16 2016/3 | 売上高 28,671億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,453億円 | ||||
FY17 2017/3 | 売上高 28,808億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,779億円 | ||||
FY18 2018/3 | 売上高 29,501億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,889億円 | ||||
FY19 2019/3 | 売上高 30,020億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,952億円 | 社長交代 | 深澤祐二が代表取締役社長に就任 | コロナ禍前夜の社長交代。技術イノベーション推進本部を設置 | |
FY20 2020/3 | 売上高 29,466億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,984億円 | コロナ禍で運輸事業が大幅減収 FY20の連結営業収益が1兆7645億円に急減(前年比40%減) | コロナ禍による移動需要の激減で、鉄道依存型の経営モデルの脆弱性が露呈した | ||
FY21 2021/3 | 売上高 17,645億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -5,779億円 | 初の純損失5779億円を計上 FY20期に純損失5779億円 | JR東日本発足以来初の赤字。運輸事業の営業損失は5323億円に達し、コロナ禍の影響の深刻さを示した | ||
FY22 2022/3 | 売上高 19,789億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -949億円 | 組織再編 | 駅ナカ事業の4社統合 JR東日本リテールネット・JR東日本フーズ・JR東日本ウォータービジネス・鉄道会館がJR東日本クロスステーションに統合 | ||
FY23 2023/3 | 売上高 24,055億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 992億円 | 組織再編 | グループ経営戦略本部・マーケティング本部・イノベーション戦略本部を新設 コロナ後の構造改革に向けた組織再編 | コロナ後の事業構造転換を推進するための本社機能強化 | |
FY24 2024/3 | 売上高 27,301億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,964億円 | ||||
FY25 2025/3 | 売上高 28,875億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,242億円 | 社長交代 | 喜勢陽一が代表取締役社長に就任 | 「2軸の経営」を掲げ、鉄道と生活サービスの両輪体制を志向 |
- 国鉄分割民営化によりJR東日本を設立
日本国有鉄道の事業を引き継ぎ、旅客鉄道事業・旅客自動車運送事業等を開始。6旅客鉄道会社および日本貨物鉄道が同時に設立
戦後最大の行政改革の一つ。国鉄の累積債務約37兆円を清算事業団に移管し、地域分割・民営化によって経営の自律性を確保した - 東日本キヨスクの株式取得・子会社化
現JR東日本クロスステーション
- 開発事業本部を設置
関連事業の推進体制強化を目的
- バス事業部門を分離
ジェイアールバス東北・ジェイアールバス関東を設立し営業譲渡
- ジェイアール東日本高架開発を設立
現JR東日本都市開発
- 情報システム部門を分離
JR東日本情報システムを設立し営業譲渡
- 東北・上越新幹線の東京駅乗り入れ開始
東京〜上野間3.6km開業
都心ターミナルへの直結により東北・上越新幹線の利便性が飛躍的に向上。東京駅の新幹線ハブ機能が確立した - 新幹線鉄道施設を新幹線鉄道保有機構から譲受け
東北・上越新幹線の車両を除く鉄道施設
リース方式から自社保有への転換により、新幹線インフラの経営自由度が大幅に拡大した - 山形新幹線の運転開始
東北新幹線から奥羽線(福島〜山形間)への直通運転
ミニ新幹線方式の初適用。在来線の改軌で新幹線直通を実現し、フル規格建設に比べ大幅に投資を抑えた - 東京・大阪・名古屋の各証券取引所第一部に株式上場
国鉄清算事業団所有の250万株を売却
国鉄民営化6年で東証一部上場を達成。政府保有株の放出を通じた完全民営化への第一歩となった - 秋田新幹線の運転開始
東北新幹線から田沢湖線・奥羽線(盛岡〜秋田間)への直通運転
山形に続く2例目のミニ新幹線。東北エリアの新幹線ネットワークが拡大した - 北陸新幹線(高崎〜長野間)開業長野オリンピック開催に合わせた部分開業。北陸方面へのフル規格新幹線の最初の区間となった
- 山形新幹線を新庄駅まで延伸
- JR会社法の適用対象から除外
旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の改正
法的な政府関与が解除され、JR東日本は純粋な民間企業として経営の完全な自由度を獲得した - 東京モノレールを子会社化
株式取得による子会社化
羽田空港アクセスの強化。鉄道ネットワークの補完戦略の一環 - 完全民営化を達成
日本鉄道建設公団所有の最後の50万株を売却
設立から15年で政府保有株が全て放出され、名実ともに完全民間企業となった - 東北新幹線(盛岡〜八戸間)開業東北新幹線の北方延伸。本州北端への新幹線ネットワーク拡大が進展
- 清野智が代表取締役社長に就任有報記載のFY05期社長
- 東北新幹線(八戸〜新青森間)開業東北新幹線が新青森まで全線開業。本州最北端への高速鉄道ネットワークが完成した
- 冨田哲郎が代表取締役社長に就任東日本大震災直後の社長交代
- 東急車輛の鉄道車両製造事業を取得
総合車両製作所として子会社化
車両製造の内製化により、技術開発から製造までの一貫体制を構築した - 北陸新幹線(長野〜上越妙高間)開業北陸新幹線の金沢方面延伸(JR東日本管轄区間)。東京〜金沢間が直結し、北陸エリアへのアクセスが大幅に改善した
- 深澤祐二が代表取締役社長に就任コロナ禍前夜の社長交代。技術イノベーション推進本部を設置
- コロナ禍で運輸事業が大幅減収
FY20の連結営業収益が1兆7645億円に急減(前年比40%減)
コロナ禍による移動需要の激減で、鉄道依存型の経営モデルの脆弱性が露呈した - 初の純損失5779億円を計上
FY20期に純損失5779億円
JR東日本発足以来初の赤字。運輸事業の営業損失は5323億円に達し、コロナ禍の影響の深刻さを示した - 駅ナカ事業の4社統合
JR東日本リテールネット・JR東日本フーズ・JR東日本ウォータービジネス・鉄道会館がJR東日本クロスステーションに統合
- グループ経営戦略本部・マーケティング本部・イノベーション戦略本部を新設
コロナ後の構造改革に向けた組織再編
コロナ後の事業構造転換を推進するための本社機能強化 - 喜勢陽一が代表取締役社長に就任「2軸の経営」を掲げ、鉄道と生活サービスの両輪体制を志向
歴史的証言
住田正二(JR東日本・社長)
金の卵を抱え、関連事業の限りない展開の可能性を秘めてはいるものの、商売と割り切って活動できる領域は案外、狭いのかもしれない
住田正二(JR東日本・社長)
日本最大の含資産保有会社といってもいいだろう
住田正二
国鉄清算事業団との関係もあって、自社所有の土地であっても簡単にいじれない。唯一、自由にできるのは主要駅の上空や、高架下などだろう。具体的には山手線・上野駅、中央線・御茶ノ水駅、さらに埼京線高架下などが考えられる
住田正二
JR東日本だけで現有人員8.3万人に対して約1万人の余剰人員がある。この人たちの有効活用を一刻も早く考えなければならない。合理化、省力化の世の中に逆行するような言い方だが、なるべく人手がかかるようなものがいい。そう考えると駅ビルもホテルもいま一つだ。どんな分野が当社に適しているか現在勉強中だ
住田正二(JR東日本・社長)
JRにとって、駅は、多角化の芽を広げる重要な拠点である。従来は交通の通過点として機能させているだけだったが、今後は駅の潜在的ポテンシャルを十分引き出して、物販、飲食、文化施設から行政出張所まで加えた“地域の核”として発展させていきたい。それを弾みにして、事業の枝葉を多方面に伸ばしていきたい。
住田正二(JR東日本・社長)
物販について言えば、将来はぜひとも直営で百貨店をやってみたい。流通のド素人集団には不可能との指摘もあるが、焦らなければいずれ、可能性が見えてくるはずだ。とりあえず、ルミネなどの専門店事業を通じてこの分野のノウハウを蓄えるとともに、外部からエキスパートを入れて、実力を養っていこうと思う。駅ビジネスの拡大は、余剰人員対策としても、非常に魅力的だ。
松田昌士(JR東日本・社長)
主要駅構内への面積100㎡以上の日用品ショップや本屋、レストランなどの設置を推進する。対象は1日平均乗降客3万人以上の計217駅。このうち7割近くを占める未利用スペースの多い駅を中心に、2000年度までに40駅強で店舗などを新設する
松田昌士
JRになって本業をしっかりさせないといけないということで、どんどん鉄道を強化してきた。これから鉄道周辺の駅の開発とか町づくりとかに取り組む。例えば、まだまだ(駅構内で)店舗展開をする余地はものすごくある。1日当たり乗降客3万人以上の駅は217あるが、そのうち使っているのは3割の77駅しかない。今年からきちんと店を展開していく準備を始めている。3年ぐらいで、120駅まで広げる。それを全部広げていくと数百億円という収益になる
参考文献・出所
有価証券報告書
東洋経済オンライン 2024/09/04
日経新聞 1987/07/26
日経流通新聞 1989/08/31
日経流通新聞 1992/08/18
日経新聞 1998/04/07
日経金融新聞 1998/04/14
日経MJ 2003/06/05
週刊東洋経済 2006/06/17
日経新聞・地方埼玉 2008/12/26
日経産業新聞 2010/03/10
日経産業新聞 2010/03/16
日経新聞 2017/04/01
東洋経済オンライン 2021/12/17
日経ビジネス 1987/06/08
日経ビジネス 2025/11/07
JR東日本プレスリリース 2022/4/21